ドン・トランプなしには、ただの外交ショーであるG7すら成立しないかの様です。それはともかく、急にアメリカからの報道では、アメリカがイランに対して軍事行動をとる可能性が急浮上してきました。これに関して今日は3つのpostをピックアップしましょう。

先ず第一に思い出すべきことは、アメリカ憲法では、交戦権の行使は議会の専任事項だということ。大統領にはそれを行う権限はありません。ここでいう交戦権の行使とは、宣戦布告をし、予算を付けて、兵、兵器を動員することです。ですが、ここしばらくアメリカは宣戦布告をすることなく外国で軍事行動を起こしてきました。アメリカが最後に宣戦布告をしたのは、WWIIです。その後の朝鮮戦争以降一度も宣戦布告をしたことはありません。一方、大統領は、陸海軍のcommander-in-chiefとして、軍事行動を起こすことを命令する権限を持っています。アメリカの軍隊は大統領命令があればただちに行動を起こさねばなりません。事実上、大統領が戦争を始めることができる、ということです。これを阻止するには弾劾するしかありませんが、普通はそれまで軍事行動は大方終了しているでしょう。この曖昧さは昔からずっと指摘され続けてきました。

bunker busterと呼ばれる兵器が地下深くの施設を爆撃できるようです。ただ、問題の核燃料加工サイトFordow, Iran は地下数十メートルにあるため、使用できるにしても1つのタイプGBU-57F/Bsのみに限定されるようです。これが1基10トン以上あるために輸送できるものがアメリカの持つ戦略爆撃機のみ、ということは、イスラエル空軍は輸送する能力がない、ということになります。つまり、bunker busterをイランに対して使うのであれば、それはアメリカが輸送し、アメリカが投下するしかない、ということです。艦船で最寄りの港まで輸送し、そこから地上の基地で爆撃機に積み込むしかないはず。(空母に搭載して、戦闘機で投下という選択肢はないはず。)添付の記事によるとChagos Islandsで保管だそうです。Chagosはインド最南端から南西に1000km位の場所にあります。赤道の南側ですね。

ここまで来るともうそれはイスラエルの軍事行動と呼ぶことはあり得ず、単にアメリカが参戦、ということになるでしょう。そこまでアメリカが介入(関与)する可能性は低いだろうと私は見ます。ただ、トランプは予測不能なところがありますので、anything goesかも知れません。

Lawmakers move to limit Trump's war powers as Israel-Iran war escalates  |  CBS news

What is a bunker buster bomb? US weapon could be key to destroying Iran’s nuclear sites | Independent

ただし、素人考えでも、複数の異なるタイプの爆弾を使って前座をやらせて、最後のトドメをラスボスのGBU57で刺す、という形でFordowを集中的に攻撃すれば目的を遂げられそうに見えます。イランにそれを防ぐだけの空軍力があるかですが、疑問に思います。ロシアにはイランを助ける余裕はないでしょう。

Bunker buster
  |  wiki   この兵器の歴史はWWIIまで遡るのですね。