Trump 2.0は、ものすごく派手な花火で始まりました。それはUSAIDを事実上閉鎖する、ということです。(他にもいくつかの行政サービスが停止しています。)日本ではそう報道されていますが、アメリカではそもそも論も沸騰しています。つまりトランプ式の暴力的行政手法の法的根拠はあるのか、ということです。
USAの憲法の第2条に、次のような有名な一文があります(Article 2, section 1):
"The executive Power shall be vested in a President of the United States of America."
Constitution of the United States
USAの憲法には、大統領以外にこれを付与されたfunctionはないそうです。極めてシンプルです。何の問題もありません。しかし、今のトランプ政権の解釈はここに留まらずに、裁判所、議会であっても、executive power に関して干渉できない、と解釈しますが、これは十分正しいと言えるのでしょうか。
私はそうは考えませんね。理由は以下の通りです。
アメリカの上院と下院の議員には選挙がありますので民意が反映されます。大統領にも選挙があります。しかし、連邦最高裁判事は終身制なので、死ぬか本人がリタイヤを希望するまで在職し、その間に民意による直接的チェックは行われません。従って、大統領の持つ行政権に歯止めをかけるのは議会の重要な任務ということになります。下院で共和党が優勢であるとはいえ、たった1議席に過ぎません(定数435席のうち現在219R, 215D)ので、実際に決議するまではなんとも言えないだろうと思います。219 Republicansのうち、一定数はドン・トランプに対して批判的です。しかも、連邦最高裁には選挙がないことは誰でも知っていますので、議会がその役目を果たすことになります。これは不完全であり、完全に果たすことはできませんが、連邦最高裁といえども、無視することはありえません。
教訓があります。アメリカで Depression と言えば、それは1930sの「大恐慌」のことを指します。FDR (Dem)は労働者を救うために、政府が産業に関与する、いわば社会主義的なアプローチを取ろうとし、NIRAというacronymで呼ばれた法律を制定させました(後述)。ですが、これは政府が民間に介入しないというアメリカの伝統的政策を放棄することになるため、議会が抵抗し、最高裁はNIRAは違憲であると裁定しました。このために、民主党はいくつかの個別の法律を制定させ、労働者を保護しようとしました。それにより今度はNRAという組織が発足し、機能しました。他に、週40時間労働、union結成の自由などはこの時代に成立した法律によるものです。これにより、アメリカ経済は大恐慌から回復して行きました。
これは最初の、NIRAを生み出そうとした動きがFDRの考えに由来するのか、民主党の考えに由来するものかは、厳密に検討する価値があるかも知れませんが、私はそこまでは知りません。それはヒューマニズムであったのですが、それすら、アメリカのlaissez-faireという文化との対比の前では敗れたわけです。大統領といえども、無制限の権力を持つわけではない、ということの事例としてこれはよく取り上げられます。(なお、FDRは、建国以来、慣例的に2期までとされてきた大統領職在任期間を、世界大戦を理由として、延長して、4回選挙で選ばれて、4回就任し、4期目の途中で急死しました。その後、憲法の修正が行われて2期までと明文化されました。)
今回のUSAID、PBS、NPRへのトランプ流の破壊的介入は、議会が承認した予算の執行を妨げようとするものです。とてもその権利がトランプにあるとは思えませんね。さらに、勝手に想像すれば、どうもトランプは、減税をするための資金をひねり出そうとしているかのようです。関税をいじって政府の収入を増やす。政府機関、準政府機関への支出を突然カットして余剰資金を生み出そうとする。その先にあるのは減税でしょう。そんな思いつきのバラマキをしても、混乱によるマイナスの方が大きい可能性が非常に高いだろうと私は思います。
USAの憲法の第2条に、次のような有名な一文があります(Article 2, section 1):
"The executive Power shall be vested in a President of the United States of America."
Constitution of the United States
USAの憲法には、大統領以外にこれを付与されたfunctionはないそうです。極めてシンプルです。何の問題もありません。しかし、今のトランプ政権の解釈はここに留まらずに、裁判所、議会であっても、executive power に関して干渉できない、と解釈しますが、これは十分正しいと言えるのでしょうか。
私はそうは考えませんね。理由は以下の通りです。
アメリカの上院と下院の議員には選挙がありますので民意が反映されます。大統領にも選挙があります。しかし、連邦最高裁判事は終身制なので、死ぬか本人がリタイヤを希望するまで在職し、その間に民意による直接的チェックは行われません。従って、大統領の持つ行政権に歯止めをかけるのは議会の重要な任務ということになります。下院で共和党が優勢であるとはいえ、たった1議席に過ぎません(定数435席のうち現在219R, 215D)ので、実際に決議するまではなんとも言えないだろうと思います。219 Republicansのうち、一定数はドン・トランプに対して批判的です。しかも、連邦最高裁には選挙がないことは誰でも知っていますので、議会がその役目を果たすことになります。これは不完全であり、完全に果たすことはできませんが、連邦最高裁といえども、無視することはありえません。
教訓があります。アメリカで Depression と言えば、それは1930sの「大恐慌」のことを指します。FDR (Dem)は労働者を救うために、政府が産業に関与する、いわば社会主義的なアプローチを取ろうとし、NIRAというacronymで呼ばれた法律を制定させました(後述)。ですが、これは政府が民間に介入しないというアメリカの伝統的政策を放棄することになるため、議会が抵抗し、最高裁はNIRAは違憲であると裁定しました。このために、民主党はいくつかの個別の法律を制定させ、労働者を保護しようとしました。それにより今度はNRAという組織が発足し、機能しました。他に、週40時間労働、union結成の自由などはこの時代に成立した法律によるものです。これにより、アメリカ経済は大恐慌から回復して行きました。
これは最初の、NIRAを生み出そうとした動きがFDRの考えに由来するのか、民主党の考えに由来するものかは、厳密に検討する価値があるかも知れませんが、私はそこまでは知りません。それはヒューマニズムであったのですが、それすら、アメリカのlaissez-faireという文化との対比の前では敗れたわけです。大統領といえども、無制限の権力を持つわけではない、ということの事例としてこれはよく取り上げられます。(なお、FDRは、建国以来、慣例的に2期までとされてきた大統領職在任期間を、世界大戦を理由として、延長して、4回選挙で選ばれて、4回就任し、4期目の途中で急死しました。その後、憲法の修正が行われて2期までと明文化されました。)
今回のUSAID、PBS、NPRへのトランプ流の破壊的介入は、議会が承認した予算の執行を妨げようとするものです。とてもその権利がトランプにあるとは思えませんね。さらに、勝手に想像すれば、どうもトランプは、減税をするための資金をひねり出そうとしているかのようです。関税をいじって政府の収入を増やす。政府機関、準政府機関への支出を突然カットして余剰資金を生み出そうとする。その先にあるのは減税でしょう。そんな思いつきのバラマキをしても、混乱によるマイナスの方が大きい可能性が非常に高いだろうと私は思います。
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