ドン・トランプとイーロン・マスクは今四方八方をぶち壊しておりますが、発達障害の人にはよくある症状のひとつです。私は医者ではありませんが、自分の近くにいた、同じ病を持つであろう人々を見るとつくづくそう思います。そんな変人オヤジが横町の飲屋で大騒ぎをしても世界中が困ることはないと思います。彼が大国の大統領職にいるので困っているのです。その被害者のひとりは、免税特権剥奪を示唆されたハーバード大でしょう。

知らない方は以下の記事を読んでみてください。ご存知の方はスキップして先へどうぞ。
Trump says the government will revoke Harvard’s tax-exempt status. The university’s president says that would be illegal

彼はいわゆるクリスチャンではありそうですが、それはクリスチャンをどう定義するかによるでしょう。pope第1期の時の選挙運動で、彼はクリスチャンかどうかを尋ねられたとき、自分はそうではない、という趣旨の回答をしていましたし、聖書の理解度はかなり低いので、彼がそうは思わないだけではなく、一部あるいは大多数のクリスチャンはそう認定しないでしょう。では、彼はなぜevangelistあるいはfundamentalistのような言動をするのでしょうか。この写真はXからですが、このようなおちゃらけの画像を国家元首がすることに、驚きというよりも、とまどいを感じますね。

それは兎も角として、恐らく彼の頭の中には、Department of Educationを解体したいという希望と、あるひとりの有名な人物のことがあるでしょう。その人物の名前はCharles W. Eliot (1834–1926) です。彼は約40年間ハーバード大の学長の座にあり、ハーバード大を田舎のいち大学から、今日のようなprestigiousな大学に高めたという評価が一般的です。入試改革により高めた、と言われています。有名な詩人T.S. Eliot (アメリカ生まれのイングランド人、ノーベル文学賞受賞)とは別人です。ハーバード大は元々高位聖職者を養成するための学校として設立されましたが、Charles Eliotは無神論者だったはず。19世紀末から20世紀初頭にかけて、彼の見るところでは、やがて宗教はほとんど顧みられなくなるだろうという趣旨の演説をし、アメリカの保守系のクリスチャンから猛反対されました。ハーバード大創立からの歴史に対する皮肉ですね。しかし、当時から自然科学は猛烈な勢いで加速的に進化していましたので、Charles Eliotの見方は私は極めて順当だと思います。

一方、キリスト教がユダヤ教、イスラム教とは違う点は、Jesusという独自の存在を信じることにあります。日本語では「キリストの再臨」というような訳語を当てるのが普通ですが、英語ではもっとストレートでSecond ComingあるいはParousiaと呼びます。その時のために備えることがクリスチャンにとって必要だと真剣に考えています。

キリスト教徒は長い間ユダヤ人を、Jesusを殺した民族だとみなして来ました。そのためにユダヤ人弾圧を繰り返しました。しかしその一方で、国なきユダヤ人に同情的な人々もキリスト教の中に、特にCalvanistの中にいました。アメリカのプロテスタントの有力な部分はこの価値観を伝統的に引き継いでいます。つまり、ユダヤ人国家をサポートしたい、と考えるのです。この辺りは、簡単な説明ではカバーしきれない位大きなテーマですので、あまり断片的な理屈で考えるよりも、そのような信条、価値観を持つ人々がプロテスタントの中にいる、ということで十分だと私は思います。そしてそのような人々はアメリカの南部から中西部にかけての、いわゆるBible Beltと呼ばれる地域に多いと言われています。

おそらく読者の中には、上でfundamentalist、つまり原理主義者という言葉に違和感を持つ人がいるかも知れません。しかし、原理主義者はイスラム教で始まったのではなく、キリスト教で始まったものです。聖書に書かれたことは一字一句正しいという考え(=scriptural inerrancyと言います)を持つ人々のことです。これが20世紀後半に転用されてイスラム教徒の過激派を指すようになっただけです。つまり、fundamentalistはキリスト教にもいるし、イスラム教にもいますが、キリスト教での方が先輩にあたります。

さて、少し戻ってEliotですが、彼は独自の価値観を持っており、たとえば、まともなスポーツはボートとテニスだけだと考えていたと言われています。一方アメフトはスポーツというよりは、戦闘行為だとみなして反対していました。かなり強いキャラクターの人物だったようです。今日は雑談ということで。