私は政治の話はあまり得意ではありませんし、学校で専攻したこともありません。そんな老人から見える、今のアメリカの政治について。
アメリカの政治においてかつて伝統的不文律があり、そのひとつは、大統領職は2期まで、というもの。もう1期と、周囲に勧められても、全員固辞したそうですが、例外が。20世紀前半、FDRという大統領がいました。彼は4回選挙で大統領に選ばれました。それは世界大戦中という非常事態であったから、というのが彼の理由でした。彼が在職中に死んだ後、2期まで、ということが憲法に明記されました(憲法が改正されました)。彼は民主党を代表する政治家で、戦後長い間アメリカは民主党優位の時代が続きました。一言で言えば、それは庶民のための政治で、リベラルな気風の時代でした。ただ黒人の差別については、公民権運動の時代までほぼ何も変わらずでしたが・・・ 私の意見では、ベイビーブーマーが成人したから戦後長く民主党優位の時代となったのだと思います。
その後1980年代に入り、ロン・レーガン Ron Reagan という、アイリッシュ系アメリカンが大統領になりましたが、彼は俳優労組の出身でしたが、共和党で、2期務めました。私の意見では彼は、それまで大したことのなかった共和党をみごとに復活させた大統領でした。さしたる学歴もなく、ブレーンも少し怪しい人たちが多かったのですが、それでもとにかくソ連を黙らせ、アメリカこそが世界のリーダーであるということをアピールしました。その最大の成果は強いドルと彼の後に起きたソ連崩壊でしょう。彼の在任中、ドル円はほとんど240、250円辺りにありました。おそらくトランプの頭の中にはレーガン時代のことが色濃く残っているはずです。
共和党はかつては「富裕層」の政党でした。ここでいう富裕層とはForbesに出るような人々のことではなくて、言わば「小金持ち」という意味です。このため貧乏人向けの政策には冷淡でした。薬物中毒患者、アルコール依存症患者は普通、勤労することはありませんが、もし彼らにも公的医療保険が拡大されたら、納税せずに、医療支出は膨大な金額になる、自分たちにも請求書が回ってくるのは止めてくれ、という考えです。逆に、民主党は昔から若者に支持されて来ました。どちからというと、大学卒、専門職で、リベラルですが、若いので大した資産を持っていません。このため、同じ人物が、若い時は民主党支持派、リタイヤしてから共和党支持派というようなイメージが今までずっと共有されていました。
ここに新しい楔(くさび)を打ち込んだのがDon Trump (Republican)です。彼はラストベルトの人々にアピールすべく、移民を悪役にし、公害、大量に炭素を排出する製造業を守ると約束しました。アメリカに潜り込もうとする移民達は、労働して賃金を稼ぎたいと思っている人々なのです。犯罪を犯すのは一部の人達です。ですので、彼らに対する締め付けとしては、不法就労者を雇用する側の刑法の罰則を厳しくすれば十分なのです。これだと一銭もかけることなくアメリカで働いている不法移民を一掃することができます。「こんなに厳しくなったのなら、アメリカに入国する意味はないな」と思わせればそれで不法移民は事実上、止まるだろうと私は思います。しかし本当にそれをやると非熟練労働市場が相当逼迫して、労働力不足によるインフレが起こる可能性が高いでしょう。しかも、分析によると、今回トランプを支持した人々の中にプエルトリコ系などの非白人、Latinoが相当含まれているとのことでした。彼らは移民であり、非白人であり、多くは非熟練労働なのですが、インフレに対する抗議の意味があったのでしょう。その一方で、もし本当にトランプが中国製品に10%以上の関税を上乗せするのであれば、それは単純に価格転嫁され、輸入品は値上がりするでしょう。つまり、それ自体がインフレ要因です。上記の楔とは共和党がこの経済の底辺層を、民主党から引きはがして、共和党側に引き込んだことを指します。つまり単なる「富裕」層中心の党から、富裕層から底辺層をへと脱皮させました。これが彼がswing state各州で勝利した理由です。
民主党が、きれい事、理想論ばかりを並べて、国内の庶民を犠牲にしているように見えますので、このセンティメントを私は理解できます。民主党は生まれ変わりを真剣に模索しないと、これからのしばらくは共和党の時代が続くように私には見えます。しかも、このトランプの選挙手法は、次の大統領候補、例えば、それはJD Vanceでは更に変化し、進化し、激化するかも知れません。その結果起こることは、アメリカ国内の分断だけではなく、西側世界の分断、解体がありうると私は見ます。
欧米人社会では自分で考えた意見を言うことは非常に大事ですよ。あなた自身の意見を持ちましょう。
アメリカの政治においてかつて伝統的不文律があり、そのひとつは、大統領職は2期まで、というもの。もう1期と、周囲に勧められても、全員固辞したそうですが、例外が。20世紀前半、FDRという大統領がいました。彼は4回選挙で大統領に選ばれました。それは世界大戦中という非常事態であったから、というのが彼の理由でした。彼が在職中に死んだ後、2期まで、ということが憲法に明記されました(憲法が改正されました)。彼は民主党を代表する政治家で、戦後長い間アメリカは民主党優位の時代が続きました。一言で言えば、それは庶民のための政治で、リベラルな気風の時代でした。ただ黒人の差別については、公民権運動の時代までほぼ何も変わらずでしたが・・・ 私の意見では、ベイビーブーマーが成人したから戦後長く民主党優位の時代となったのだと思います。
その後1980年代に入り、ロン・レーガン Ron Reagan という、アイリッシュ系アメリカンが大統領になりましたが、彼は俳優労組の出身でしたが、共和党で、2期務めました。私の意見では彼は、それまで大したことのなかった共和党をみごとに復活させた大統領でした。さしたる学歴もなく、ブレーンも少し怪しい人たちが多かったのですが、それでもとにかくソ連を黙らせ、アメリカこそが世界のリーダーであるということをアピールしました。その最大の成果は強いドルと彼の後に起きたソ連崩壊でしょう。彼の在任中、ドル円はほとんど240、250円辺りにありました。おそらくトランプの頭の中にはレーガン時代のことが色濃く残っているはずです。
共和党はかつては「富裕層」の政党でした。ここでいう富裕層とはForbesに出るような人々のことではなくて、言わば「小金持ち」という意味です。このため貧乏人向けの政策には冷淡でした。薬物中毒患者、アルコール依存症患者は普通、勤労することはありませんが、もし彼らにも公的医療保険が拡大されたら、納税せずに、医療支出は膨大な金額になる、自分たちにも請求書が回ってくるのは止めてくれ、という考えです。逆に、民主党は昔から若者に支持されて来ました。どちからというと、大学卒、専門職で、リベラルですが、若いので大した資産を持っていません。このため、同じ人物が、若い時は民主党支持派、リタイヤしてから共和党支持派というようなイメージが今までずっと共有されていました。
ここに新しい楔(くさび)を打ち込んだのがDon Trump (Republican)です。彼はラストベルトの人々にアピールすべく、移民を悪役にし、公害、大量に炭素を排出する製造業を守ると約束しました。アメリカに潜り込もうとする移民達は、労働して賃金を稼ぎたいと思っている人々なのです。犯罪を犯すのは一部の人達です。ですので、彼らに対する締め付けとしては、不法就労者を雇用する側の刑法の罰則を厳しくすれば十分なのです。これだと一銭もかけることなくアメリカで働いている不法移民を一掃することができます。「こんなに厳しくなったのなら、アメリカに入国する意味はないな」と思わせればそれで不法移民は事実上、止まるだろうと私は思います。しかし本当にそれをやると非熟練労働市場が相当逼迫して、労働力不足によるインフレが起こる可能性が高いでしょう。しかも、分析によると、今回トランプを支持した人々の中にプエルトリコ系などの非白人、Latinoが相当含まれているとのことでした。彼らは移民であり、非白人であり、多くは非熟練労働なのですが、インフレに対する抗議の意味があったのでしょう。その一方で、もし本当にトランプが中国製品に10%以上の関税を上乗せするのであれば、それは単純に価格転嫁され、輸入品は値上がりするでしょう。つまり、それ自体がインフレ要因です。上記の楔とは共和党がこの経済の底辺層を、民主党から引きはがして、共和党側に引き込んだことを指します。つまり単なる「富裕」層中心の党から、富裕層から底辺層をへと脱皮させました。これが彼がswing state各州で勝利した理由です。
民主党が、きれい事、理想論ばかりを並べて、国内の庶民を犠牲にしているように見えますので、このセンティメントを私は理解できます。民主党は生まれ変わりを真剣に模索しないと、これからのしばらくは共和党の時代が続くように私には見えます。しかも、このトランプの選挙手法は、次の大統領候補、例えば、それはJD Vanceでは更に変化し、進化し、激化するかも知れません。その結果起こることは、アメリカ国内の分断だけではなく、西側世界の分断、解体がありうると私は見ます。
欧米人社会では自分で考えた意見を言うことは非常に大事ですよ。あなた自身の意見を持ちましょう。