字幕なしの英語聴き取り応援団

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2024年03月

アメリカの新聞で一番つまらないページは、私の場合、政治です。それに対してアメリカ人は、知能の高い人もそうでない人も、所得の多い人もそうでない人も、おおむね政治を好むように見えます。少なくとも政治の話をするのは大好きです。それはなぜでしょうか。私の意見では、大統領を国民投票で直接選挙するからでしょう。そして二大政党制が徹底しているからでしょう。そして最大のポイントはアメリカが世界で最初の民主主義国だと学校で教わるから。そしてそれらが自分の日々の生活に直結しているから。まあ、細かいところではいくらでもツッコミどころはあります。例えば、アメリカ人が言う(modern) democracyでは女性の参政権は含まれていないようです。1960年代まで南部諸州では黒人の投票を妨害するために白人たちは知恵を絞っていましたし、投票に行った黒人を白人がlynchするのは当然のことでした。新聞も警察も判事もほぼ全員がracistでしたので、容疑者にはほとんど気晴らしのようなものでした。ただそんな私でもなんとかアメリカの政治の潮流に関して最低限の理解を持ちたいと常々思っております。そんな私が本日のpostを書いても良いものかどうか迷いながら書いておりますが、批判的に読んでみてください。(以下でD=Democrat, R=Republican)

先ず、第1に、今我々が見ているアメリカの政治ではRとDは互角の勝負を繰り広げており、一方が圧倒的に優勢ということはありません。アメリカの政治ではこんな時代はあまりありませんでした。例えば、エイブラハム・リンカン(D)の時代はDがずっと優勢でした。大恐慌の後のニューディール政策の時代もFDR (D)が国民の圧倒的支持を得て経済を回復させました。一方で、Rが優勢だったと私が記憶しているのはロナルド・レーガン(R)の時代です。彼は時代を大きく回転させました。今我々が見ている政治の中には彼のlegacyと呼びうるものがいくつもあります。トランプのMAGAもレーガンのlegacyです。この先、R,Dのいずれが有利に立場に立つのでしょうか。それともこの拮抗状態は長く?

第2に、互角の対立の時代には、casting voterとなる立場が相対的に強まります。本来、ユダヤ系の人々の政治献金、投票の力はたいしたことはないはずなのですが、R/Dが互角であるがゆえに、ユダヤ系の票が自陣に来るのか敵陣に行くのかが大きな役割を果たす場合があります。それと同じで、アメリカの上下院においてFreedom Caucusという小さなグループがかなりの存在感を発揮しております。caucusというのは「議員グループ」という意味です。日本語では「自由議員連盟」というような訳が多いです。このFCは、立場から言えば、相当な右寄りであり、トランプ支持派でもあります。たしか7,8人の議員グループです。ボスと目されている人はBob Good (R, VA)という下院議員です。このFCのメンバーが議決において重要な意味を持つようになるのは上記のユダヤ系の話と同様です。以前はもっとメンバー数が多かったのですが、現在所属を明確にしているのは7,8人のようです。あからさまに言えば、我々のような外国人から見ると、FCがあたかもアメリカの連邦レベルの政治を動かしているかのように見えます。その理由は彼らがcasting voterだから。それだけでもハラハラなのに、そこにもういちどドン・トランプが大統領として2期目を務めるために戻るのであれば、日本、EU、NATO、ウクライナ、中国にとっては舵取りは大変です。Freedom Caucus、覚えておくとアメリカの政治がぐっと身近に見えるようになります。以下のwikiはよくまとまっていると思います:
Freedom Caucus

今週Xi Jinpingは北京にアメリカ巨大企業のCEOなどを集めて中国への投資を要請しました。この人のその際の言動は私の理解を越えていますね。(あなたがこのニュースをご存知だとしても、この中の写真だけでも一覧の価値があるはず。 私はWang Yiの画像を久々に見ました。)アメリカと敵対し、アメリカに挑戦し、最近はアメリカ製のCPUを積んだ製品をブロックする、という発言をする一方で、アメリカの実業家には中国に投資を、と呼びかけるというこの神経。あまり頭が良い方ではない、と言われてますので、特に私を驚かせることはありませんでしたが、どの面下げて言っているんだろう、という疑問が湧いてきましたね。彼は若い時にアメリカに留学していましたのでアメリカのことを良く知っているはずなのですが、あまり勉強しなかったクチかも知れません…
China’s Xi meets American CEOs to boost confidence in world’s second largest economy

さて、いつかはやりたいと思っていた、ガザ地区の将来像、これが本日の話題です。

(1)まず人口動態を知る
用語の整理から。ガザ地区とはGaza Stripのことです。Gaza Stripとはthe state of Palestineの南部の一部です。stripとは地形から名付けられた呼称です。アメリカだと普通は belt という言葉が使われると思いますが、アメリカだとそれは巨大なベルトになります。Bible Belt, Rust Beltなど。

検索すると以下のサイトに色々なデータがあります。ここから抽出すると次の表に:
Demographic history of Palestine (region)
(people in 1000)

Year         Jews Christians Muslims Total 
--------------------------------------------------------------------------
1922 84 71 589 752
1931 175 89 760 1,033
1945 1,061 135 553 1,764
2019 0 ? 2,000 2,000

Gaza Stripにはおおよそ2 millionが住んでいるだろうと推定されています。イスラエルの建国直前の1945年にはユダヤ人が百万人もいたようです。これらはWW2が終わって移住してきたユダヤ人が多かったためでしょう。

20世紀初頭にはこの地区は基本的にUKの委託統治になっていてその時期には周辺の国からこの地区に、経済的メリットを求めて移住してきた人々が多かったようです。それ以前はオスマン帝国領土であり、荒廃していました。

キリスト教徒が1,2割いますので、それを反映すると上記の、2019年の数字を少し増減させねばなりませんが、本質的なことではありません。

これらは単に推定値に過ぎませんし、全体像が必ずしも明らかになるとも思えません。ですが、おそらくキーポイントはUKの委託統治時代に、このエリアが周辺諸国と比べて相対的に住みやすくなったために、それを目指して周辺国からイスラム教徒が入り込んできたという側面は大事でしょう。これらの人々を「パレスチナ人」と呼ぶべきかどうか私にはわかりません。ということは住民はまともな統治を求めているはずなのです。

(2)以上の事から、ざっくりと次のようなことを私は提案します:
  1. 現在のconflictが終結した後、Gaza Stripにまともなパレスチナ人の自治国家をつくる。そのためには、中立的な組織あるいは国家が形式的に統治する。国連が最適に見えます。
  2. ホームレスに施しを与えるような援助を永久にしない。ただしある程度安定的に自治が行われるまでは最低限の食料援助を続けても良い。
  3. 建設国債を発行して復興資金をまかなう。国債の担保としてヨルダン川西岸の土地の集団の共同使用権を設定する。
  4. 公務員の給料は小麦などの現物支給で(すぐに換金して武器を買う資金にさせない)
  5. 民主的選挙を定期的に行い政治的リーダーを選出する。早々に自治政府と憲法を制定させる。
まあ、小学生並みの提案ですよね。UNRWA (United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East)が担っていた食料などの無償援助というものに私はまったく賛成しません。先進国が運営資金を拠出する必要もありません。こんなものがあるからなんでも先進国に依存する、さもしい、たかりをなりわいとする人々を再生産するだけなのです。何度もニュースで見るガザでの栄養失調の人々、それはほぼ全員が幼児、子供です。大人はなんとかして食べているのです。あるいは子供のものを取り上げて食べているのです。それが彼らの生き方なのでしょう。私は自分の信念として施しをしませんが、働く人々をサポートすることは尊いことだと思います。

ざっくりこんなことを考えております。あまり良い出来ではありませんね。ではあなたのアイディアは?

なぜ多くの単語には複数の意味があるのか。その本の著者はその方が便利だから、という説明です。strong bookshelf, strong relationship, strong coffeeでstrongの意味が違うことを著者は挙げております。本当でしょうか。私は違うと思います。なお私はその本の名前を伏せて話を続けますがお許しください。著者はそこでそのことを論じたいのではありません。別のことを話していてこの話題に軽く入っただけです。ですが、あなたも私も英語における単語の数が多いことに苦労しています。そして多くの単語には複数の異なる意味があるのが普通です。その理由はそうすることで「言語の経済性」を向上させているのだそう。

もうちょっと考えてみましょう。こんな時はまず、ChatGPTに聞いてみるのが便利でしょう。彼の回答に私は心から同意いたします。
  1. Semantic Change: Over time, the meanings of words can shift due to changes in usage, context, and cultural factors. This can result in words acquiring multiple meanings as they evolve.
  2. Polysemy: Polysemy is the linguistic phenomenon where a single word has multiple related meanings. This occurs when a word's semantic range encompasses different but related concepts. For example, "bank" can refer to a financial institution, the side of a river, or a verb meaning to tilt to one side.
  3. Contextual Nuance: Words may take on different meanings depending on the context in which they are used. For example, the word "light" can refer to illumination, the opposite of heavy, or a source of insight or understanding.
  4. Efficiency of Language: Having multiple meanings for a single word allows for greater efficiency in communication. It enables speakers to convey nuanced ideas using a relatively limited vocabulary.
  5. Historical Factors: Some words may have acquired multiple meanings due to historical influences, such as borrowing from other languages or undergoing semantic shifts over time.
Overall, the existence of multiple meanings for words adds richness and depth to language, allowing for flexibility and precision in communication. However, it can also lead to ambiguity and misunderstanding if context is not clear. unquote

つまり、この本の著者は4.番目のポイントだけを挙げていたわけですが、実際にはこれらの5個の要素が入り交じり、様々な方向に異なる力を与えて、語義が膨らんで行くものだ、ということですね。これだと私は納得できます。Chattieが挙げたポイントはどれもわかりやすく、私の補足的説明を必要としていませんね。言葉は生き物だということですね。

ただし、上記の「理由」にはすべて反対の含みがありますよね。典型的な例では4. Efficiency of Language ですが、このために、話がややこしく、わかりにくくなることもあります。ある言語学者は演繹と帰納に代わる推論の仕方を考え、それにabductionという名前を付けました。困ったことにはM-Wにはこの用法でのabductionの定義が全くされていません。efficiencyに逆行しています。

先日、Martin Luther  (1483-1546)のドキュメンタリーを見ていたら面白いセリフがありました。教皇レオX世が大聖堂建築資金捻出のためにindulgenceを売らせていた時、Martinのspeech bubble(吹き出し)のいdudeわく"Dude pay it yourself."

映画をみるあなたはご存知でしょうが、これはアメリカ映画でよく使われる「呼びかけの言葉」terms of addressのひとつです。つまり、それは Pay it yourself, man と同じ。それを他のterms of addressに置き換えてみましょう。Friend, Buddy, Pal, Mate, Partner, Chap, Fella, Amigoなどなど。毎回、日本語に置き換える必要はありません。ただし、西部劇映画ではdude は、東部から来た、都会風の外見の男を指すという特別な用法もあります。これは覚えておいた方がよろしいでしょう。この場合の意味は「色男」「優男(やさおとこ)」「野郎」になります。つまり、軟弱な、という意味が含まれます。

Leo Xは当時ヨーロッパ一の大富豪メディチ家の出身です。日本語でいうサンピエトロを再建したいのならば、死んでも天国の門をくぐれないほどの金銀財宝を抱えたLeo Xの出身母体の金、つまりメディチ家の金でまかなえ、というのは、清貧を旨とする、聖アウグスチヌス修道会の修道士であったMartinから見たら当然の提案でしょうね。彼はそうせずに、各地で免罪符(贖宥状)を売らせて、金を吸い上げていました。そのおかげで、現代の我々はサンピエトロ大聖堂に行くと、壮麗な建築、世界最高峰の美術品を見ることができます。

軽い話題のつもりで選んだことだったのですが、随分と字数を使ってしまいました。私が書こうとしている話題はなぜ言葉には複数の意味があるのか、です。最近読んだある本ではstrong bookshelf, strong relationship, strong coffeeではstrongの意味が違うが、strongひとつで間に合わせることができるのは便利である、と書かれていました。そうでしょうか?明日に続きます。

コンピューターの能力にはいくつかの判定基準のようなものがあります。代表的なもの3つを取り上げますので、読みながら一緒に考えてみてください。

電子コンピューターが実用化されたのは1940年代です。知られている有名な例はイングランド人のAlan Turingという数学者がやったドイツ軍の暗号解読で、これは『イミテーション・ゲーム』という名前で映画化されました。この映画の主役はAlan Turingという実在の天才数学者です。今見るとこのブログで扱ったつもりでいましたが、そうではないようですね。それはさておき、彼は「人工知能」が発達した時に採用すべき試験は、ある問題を人間と「人工知能」に課して、返ってきた回答を見て、評価者がどちらが人間でどちらが「人工知能」であるかを正しく判定できるかどうか、ということでした。これを専門家はTuring testと呼びます。つまり、これにより差があり、正しく判定される限りは「人工知能」は発展途上だ、というわけです。回答者、判定者双方が専門家という場合もあれば、両方とも素人もあるでしょうし、片方だけが専門家という場合も。そのような時にはどうなるのでしょうか。しかも問題作成は人間なのかAIなのか…色々細かい点では面倒かも知れませんね。Turingは数学者で、認識科学の研究者ではありませんでした。ここが大事なポイントかも知れません。

次に有名なテストがあります。これにも名前がありChinese Room Problemといい、略はCRPです。John Searleという哲学者が1980年に考え出しました。これは、ある部屋に中国語を理解しない人を入れます。彼は1冊の本を持っています。その本には「この字(漢字)があればこうせよ」という指示が書かれています。その部屋に漢字で書いた一枚の紙を入れて、中の人はそれと手元の本を照らし合わせて、あーでもないこーでもない、という仕事をして、回答を作成し、紙に書いてその部屋から外に出します。さて、この中の人は中国語を理解していると言えるのか、というのがCRPの問いかけです。この場合、この部屋の中には人でなく、コンピューターがあります。このコンピュータはその「本」に従って仕事をしただけです。これで「彼」は中国語を理解したと言えるのか?これも別にそれは中国語である必要はなく、何語であっても良いはず。そもそも何語であっても、文字から解釈できることがそのまま作成者(著者)の見解、意見とは限らない場合があるはずですが、このような場合はどちらが採用されるのでしょうか?

Symbols Grounding Problemという名前の別のテストもあります。これは日本語では記号接地問題と言われます。これはSteven Harnadという認知科学者が1990年の論文で提起しました。この英語あるいは日本語の名前ではよくわかりませんが、要するに、コンピューターが「リンゴ」を十分正しく認識したとして、それは丸く、赤く(あるいは別の色の)、甘酸っぱい果物という経験を経ずして「認識した」と言えるのか、ということです。この呼称は少しわかりにくいですが、詳しく知るとかなり理解できますので、必要ならば検索してみてください。

私は専門家ではないので、断定的なことは避けますが、問いかけ自体がTuringからHarmadまで少しずつ進化していますね。言葉とはなにか、経験とどう結びつくべきことなのか、ということが問われています。昨今のAIの進歩を見ると、どうもTuringのテストにAIは合格しているようですね。しかもそれは言語だけではなく、静止画、動画でも人を欺くことができるレベルまで来ています。

これら以外にもいくつか判定のためのtestがあります。末尾のサイトにもっと記載されています。ここに我々が自分なりの工夫をする余地はあるのでしょうか。

さておまけふたつです。
(1)YouTubeでAIに関する動画を探しましたが、何も見つけられませんでした。唯一私が見つけたのは以下のものでした。出だしだけ見て参考になりそうかどうかご自分で判断してみてください。

AI Is Dangerous, but Not for the Reasons You Think | Sasha Luccioni | TED



(B) もっと本格的な資料を読みたいという方向けには以下のサイトはいかがでしょうか。私は挫折しました。
Stanford Encyclopedia of Philosophy/The Chinese Room Argument

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