字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2023年07月

あなたはcolonial lag という言葉を聞いたことあります?意味は「本国では廃れたものが植民地では生き残っている」ということです。字面から、時間的なズレを表現したものでしょう。普通は「言葉」の世界の事柄を指しますが、着るもの等の文化を指すこともあります。AE(American English)の場合、最も典型的な colonial lag は rhotic sound だと指摘されます。つまり、かつてBEでもRが母音の後に付く場合には、AEではrhoticな発声だったのですが、BEではそれは廃れて、一部の方言で残っているだけ、と言われます。ですが、AEでは廃れることなく生きています。というかそれがAEの大きな要件のひとつです。

さらに極端な例があると言われていて、それはケベック州で話されているフランス語です。英語でQuebec French と言います。植民地時代初期のフランス系の人々が使っていた言葉が結構残っているそうです。他の国のフランス語話者が聞くと、目を回すような変わった言葉遣いが多いのだとか。というか、我々が「フランス語」と呼ぶ言葉は、フランスの北部のフランス語です。古典的ラテン語の世界が地中海海域に沿って存在したことを考えると、本来的には南部のフランス語がロマンス諸語の役割を担うはずですが、中世の数世紀をかけて、「フランス」の権力は北部に集中するようになり、特にパリが文化の中心として位置づけられるようになりました。このため、フランス語の北部方言が標準フランス語となりましたので、「イタリア語」「スペイン(カスティーリァ)語」と比べるとフランス語だけが突出して変です。その代わり、ブリテン島に入ったフランス語は、ノルマンディー訛りのフランス語ですが、その後はパリのフランス語が流入しましたので、なんとかバランスを保った形と言えます。これがもし逆であれば、ブリテン島はもしかすると「フランス語」にひれ伏すのは止めていたかも知れません。さて、そのQuebec Frenchなる言語の元は、フランス語圏のどこかから今我々がカナダと呼ぶエリアに移住した人々の言葉になるでしょうが、その移住者がパリ近郊の人々ではなく、非正規なフランス語が源流のひとつである、という歴史も反映されているようです。

この用語 colonial lag を作った人は、Albert Marckwardtという言語学者で、彼の著作American English (1958)の中で言及されている用語だそうです。言語学用語としてはかなり新しいと思います。なお、彼は字面から判断して、オランダ系かドイツ系の人でしょうね。以下のpostは専門的な話題を一般向けに解説するサイトで信頼できます。興味のある方は読んでみてください。短いpostです。Kiwi Englishの奇妙な例文が載っていますよ。

The Hypothesis of Colonial Lag

我々はややもするとEV用新品バッテリーの生産工場に注意を向けがちですが、もうひとつの大事な要素もある、という話題です。私はロイター社の、ある和文の記事を興味深く読みました。元の英文記事を見つけましたので、このブログの趣旨に合わせてぜひ英文で読んでみましょう。(ハイパーリンクの下に私の各種コメントを書きますので、忙しい方は、それを読んだ上で当該英文記事を読む価値があるかどうか判断してもよいでしょう。)

Dead EV batteries turn to gold with US incentives

日付は7/22で、updatedと書かれています。Poole, Englandとは私には馴染みのない土地ですが、Southamptonの西側にある、ドーヴァー海峡に面した町のようです。ここに記事の写真のバッテリー回収工場があるために、記事の発信地がPooleとなったのでしょう。

この記事の中にはいくつかの馴染みのない会社名が登場します。そのひとつが、Li-Cycle ですが、発音は /láisáikl/となるようです。名前からLithium /líθiəm/ 回収業でしょう。他は読むのに苦労しないはず。単語としては唯一気になったのが written-off という語句。write off とは「(抹消線で)帳簿から消す」ことを言います。それよりは、普通に「捨てる、廃棄する」ことを指すのであれば dispose of という普通の語のはず。これを使わずに、write offというのは何か理由(例えばBEで特殊な意味?)、connotationがあるのかも知れません。(日産に関する、本postの後述部分も参照されたし。)

私はEVの評論家ではありません。ただ強い関心を持って見ている者に過ぎませんが、このようなEV用バッテリーのリサイクルをめぐって、中国、アメリカ、EUが綱引きを始めているということを見るのは少し複雑な気持ちですね。日本はまるで入っていないようです。

私は日本の優秀な若者が上級公務員になろうとした過去の風潮を嘆かわしく思っておりました。しかし一面では、これは個人としては非常に優れたキャリアデザインでしょうね。日本では各層で労働移動が極端に低いために、50歳位まで上級公務員としてキャリアを積み、その後、大学などの民間企業に転職をする、あるいは政治家になる、などの選択は、個人の視点からはOKでしょう。(ただ、転職をするのはよろしいのですが、「天下り」を肯定する気にはまるでなれません。それは後進国の文化です。)上級公務員が、日本の輸送機産業の将来の中心的要素であるバッテリーの開発あるいはリサイクルに対してグランドデザインを持っていない、いなかったのであれば、それはとてつもなく大きな損失ですね。トヨタの間違ったEVへの認識の責任の一端は経産省にあるはず。トヨタ、ホンダが水素ガスという馬鹿な施策を捨て去ることができないために、世界のバッテリーリサイクルの潮流からも取り残されようとしていることをこの記事は改めて教えていると私は感じました。

この記事の英文は、まるで普通のレベルの英語で、高尚な何かを感じさせるものはありません。しかしロイター、ブルームバーグのような、通信社が使う英語というのは、実はそのような実用的な英語です。おそらく、英語の高級紙例えば、イングランドのTimes、アメリカのNew York Timesの記者が使うような英語を使えば、ロイターの編集長は書き直しを命じると思います。書き直しは時間の無駄ですので、自然と編集方針に沿ったレベルの言葉遣いを最初から記者はするはずです。

このようなEV用バッテリーのリサイクルをめぐって、中国、アメリカ、EUが綱引きを始めているということを見るのは少し複雑な気持ちですね。日本企業はまるで入っていないようです。なお、UKでは日産のプレゼンスは歴史的に結構高いです。おそらくトヨタ以上です。

私は日本の優秀な若者が上級公務員になろうとした過去の風潮を嘆かわしく思っておりました。しかし一面では、これは個人としては非常に優れたキャリアデザインでしょうね。日本では各層で労働移動が極端に低いために、50歳位まで上級公務員としてキャリアを積み、その後、大学などの民間企業に転職をする、あるいは政治家になる、などの選択は、個人の視点からはOKでしょう。(ただ、転職をするのはよろしいのですが、「天下り」を肯定する気にはまるでなれません。それは後進国の文化です。)上級公務員が、日本の輸送機産業の将来の中心的要素であるバッテリーの開発あるいはリサイクルに対してグランドデザインを持っていない、いなかったのであれば、それはとてつもなく大きな損失ですね。トヨタの間違ったEVへの認識の責任の一端は経産省にあるはず。トヨタ、ホンダが水素ガスという馬鹿な施策を捨て去ることができないために、最新バッテリー工場のみならず、世界のバッテリーリサイクルの潮流からも取り残されようとしていることをこの記事は改めて教えていると私は感じました。

この記事の英文は、まるで普通のレベルの英語で、高尚ななにかを感じさせるものはありません。しかしロイター、ブルームバーグのような通信社が使う英語というのは、実はそのような実用的な英語です。おそらく、英語の高級紙例えば、イングランドのTimes、アメリカのNew York Timesの記者が使うような英語を使えば、編集長は書き直しを命じると思います。書き直しは時間の無駄ですので、自然と編集方針に沿ったレベルの言葉遣いを最初から記者はするはずです。

また、個人的に感じることはこのPooleにある会社(Charles Trent)はこの市場でBrexitの受益者なのか被害者なのか、言及されていませんね。また取材の日(写真のキャプション)から記事の日付まで結構日数がかかっている理由に私は個人的な興味がありますね。そんな悠長なことが…?また顔写真のあるこの記者以外に随分と多くの人々がクレジットされているのは小さな驚きでした。なお、この写真に出ている「コンテナー」はfire-safeには私には見えませんね。おそらく回収された「危険物」を貯蔵するために許可を受けた地区にそれは設置されているはず。

なお、US IRAの詳細は以下にあります:
https://www.whitehouse.gov/cleanenergy/inflation-reduction-act-guidebook/

今日は、ちょっと高校の英語の授業のようなレベルの話です。あまり高級ではありませんが、語感を知れば済む言葉がある一方で、直感的な語感だけでは不十分で意味の違いをまとめることで正しい語感を得ることがある、ということを示す話題を取り上げます。

数か月前NHKで立花隆氏の、生前のドキュメンタリーが放送されました。NHKの、あるディレクターが述べるには、立花氏が大事な言葉として説明してくれたのは「『自分が誰なのか、今どこにいるのか、今がいつなのか?』を医学の分野で「見当識」という。見当識は大事である」。へえ、そんな医学用語があるんだねえ。どれどれとスマホで検索すると、その英語は、なんと orientation という言葉なのだそうです。英語で言うとなんともない、普通の言葉が、日本語に訳されるときに、かなり面妖な言葉になる、ということは非常に頻繁にあります。これもその例の一つでしょう。

orientationという、わかったようなわからないような言葉を語源学者はどのように説明するのか私には興味があります。etymonlineによると、見出し語 orientate (v) に以下の説明を与えています:

1849, "to turn or cause to turn toward the east," a back-formation from orientation. Intransitive sense of "assume an easterly direction" is by 1850. Figurative meaning "take one's proper bearings mentally" is by 1866. Related: Orientated; orientating.

このassume の用法はたまに見ます。「仮定する」「就任する」ではなくて、もうひとつ別の「担う」という、やや広めの意味のグループになります。ただ、ここでは「担う」では少し変です。我々はその意味するところを理解しているはずですが、言語化できるのが望ましい。それ(青インク)は「東寄りの方向に関係する」という意味ですね。なお、easterlyとeasternとは品詞としては共に形容詞ですが、意味が若干違います。

easternは方向を示す形容詞で、easterlyは東方向からの動きを示す言葉です。風の向きだと、easterly windは気象で普通に使う言葉ですが、estern windは使われません。代わりに素人が使う言葉としては、east windがあります。意味はeasterly windと同じです。なお、easterly というと、日本語では「東寄りの」という言葉を充てますが、英語でも日本語でも「寄りの」の意味は「おおむね」「だいたい」という意味で厳密な「真東」ではありません。なお、仲間の言葉としてはsoutherly northerly westerlyがあります。

さて、立花氏に重要と言わしめたorientationですが、逆成された動詞で見る限りは1866年頃登場、ということです。念のため、名詞 orientation の方もチェックしましょう。こちらでは1870年となっています:

1839, "arrangement (of a building, etc.) to face east or any other specified direction," noun of action from orient (v.). Meaning "process of determining the points of the compass is by 1868, hence the extended sense of "action of determining one's mental bearings," with reference to new ideas, etc. (1870). Meaning "introduction to a situation" is from 1942. Sense of "the position or arrangement (of something) relative to the points of the compass" is from 1875. Related: Orientational.

また、日本語化に少し苦労する言葉 mental bearings がありますね。見るからにこれは orientation 見当識を言い換えた言葉でしょう。bearingは実は多義語で、日本語では「姿勢」「状況の把握、認識」などの意味があります。一度英和でチェックしておきましょう。引用禁止ですので、リンクを貼ります:

英辞郎でのbearingの訳語

あーでもない、こーでもない、とここまで見てきて、orientation という言葉が plain Englishに置き換えることが可能であるとすると、それは mental bearings である、と私は考えます。ただ、この対応を見ると、technical termすなわちorientationの方が、plain Englishである mental bearings よりも易しいような気がしますが、それは私だけでしょうか。ですが、指し示す事柄がやはり orientation の方が明確ですよね。

このような機会を通じて我々の、英単語の知識を増やしてゆく、整理することは、いちいち英和辞書に頼らないことと同じように重要なことだと私は思います。このようにして覚えた知識は、丸ごと忘れて頭から抜け落ちるということがありません。両方とも大事な勉強法です。ご自分の性格、英語レベルに合わせてうまくバランスを取りながらword powerを伸ばして行きましょう。

ビッグモーター前社長の記者会見があちこちで取り上げられています。この会社がこの騒動を乗り越えて存続していく可能性は低そうです。それにしても、日本のメディアの感情論には改めて驚きますね。具体的に何を批判しているのか明らかにしないまま、ビッグモーターを悪しざまにののしる…こんな感情優先の編集手法ではメディアの責任を果たすのはちょっと無理でしょうね。

損害保険とは契約者間の相互扶助を事業の根幹に据える民間事業です。事業者は経費として自社の運営コストを差し引き残余を相互扶助資金としてプールし保険金請求に備えます。仮に、そこから本来的保険金以上の金が支払われていればそれはこの相互扶助の精神に違反している事業者である、ということになりますので、この損保会社に対して金融庁は事実を調べて、妥当な場合には相当厳しい対応を迫ることになるでしょう。いままでは一中古車屋の話でしたが、これからは、右往左往が得意のメディアは、この損保会社に関して次々と記事で攻撃するのでしょうね。ここで金融庁が正義の御旗を振り回すと脳死メディアは一層際限なくゴシップを垂れ流すだろうと私は見ております。

さて、私は今回、窪田順生(くぼた・まさき)氏なるメディア記者が書いたものに注目いたしました。特に新しいことが書かれているわけではありませんが、日本の現在の文化、とくに企業文化の由来が日中戦争と大東亜戦争にある、ということを中心に、以下の記事を読んでみてください:

ビッグモーター前社長の他人事発言が、東京裁判「元陸軍大将の釈明」と重なる理由

個人的には窪田順生氏のいう、すべての根っこが日中戦争と大東亜戦争にある、というのは少し無理があると思います。突然、員数主義が生まれ、定着し、根を下ろした、というよりは、すくなくとも部分的にはそれ以前から日本文化の中にあったのでしょう。それを恥ずかしくもなく、公に堂々とやったのが職業軍人である、というのは実態に近いだろうと私は想像します。と言って、何か明確な根拠があるわけでもありませんが。

日本人は1930年代から40年代にかけて、日本が戦争に従事した際の事実に向き合わずに来たし、これからも向き合うということはないだろうと私は思います。別に中国人、コーリアンがいうことを無批判で受け入れろ、ということでは全くありません。それは彼らが歴史にどう向き合うかという事柄です。一部の知識人、言論人を除き、日本は戦争に向き合うことなく7 decades以上生きてきました。本来それは市井の普通の市民レベルでなすべきことがらです。

ドイツ人はどうか。かれらも日本人とさほど違いはありません。多くの人々はドイツの犯した戦争犯罪に対して、驚くほど寛容です。別の言い方をすると、まるで向き合っていない。ただ、ナチズムに対する称賛、擁護は犯罪とする法律があるように、政治家レベルでは、最低限のことはやっています。つまり、ドイツ国内で、言論の自由、表現の自由をこの部分では抑圧しているわけです。しかし、日本では、政治家も国民もまるで向き合っていません。私はこれは本当に残念なことだと思います。

窪田順生氏のこのpostは、この事柄をうまく要約しているように私は思いますので、若い方々にぜひ読んでいただきたいと思い、本日紹介させていただきました。

以下の書物が参考になるかも知れません:
山本七平  『一下級将校の見た帝国陸軍』
山本七平  『日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条』および小松真一『虜人日記』
会田雄二  『アーロン収容所』

聖書には「ヘテ人(びと)」と呼ばれる民族が登場しますが、それはおそらく「ヒッタイト」のことだろうと言われています。英語での綴りは Hittite /hítait/ ですので、日本語には英語から入ったのでしょう。この語源はヘブライ語のようです。etymonlineのいわく:

Hittite (adj.)
c. 1600, "of or pertaining to an Indo-European people whose empire (c. 1900-700 B.C.E.) covered much of modern Turkey and Syria," from Hebrew Hitti "Hittite" (plural Hittim), from Hittite Hatti. The biblical use (Genesis xv.20, etc.) refers to Canaanite or Syrian tribes that probably were genuine scions of the Hittites. They were called khita or kheta in Egyptian; in Late Latin Hethaeus.

これだけ読むと、khitaとはもしかすると「スキタイ」の元かも、という気になりますが、おそらく別でしょう。スキタイには英語ではScythia他の綴りがあります。ちなみに発音は/síθiə/ です。Cathay Pacific Airlinesという会社が香港にありますが、このCathayとは中国のことで我々の知識では契丹のことだと私は思います(いずれにせよ大きな視点で言えばそれは「中国」ですけど…)でも、この地域(中央アジアから東アジアにかけてのエリア)のことを英語で切り込むとかなりややこしいことになりますのでほどほどにしましょう。つまり英語は決して万能ではないのです、当たり前のことですけどね。ちなみにetymonlineの説明は:

Cathay (n.)
1560s, poetic name for "China," from Medieval Latin Cataya, from Turkish Khitai, from Uighur (Turkic) Khitai, name of a Tatar dynasty that ruled Beijing 936-1122.
ですが、最後の下線部は何のことか私にはわかりませんね。書いた人は解っているのでしょうかねえ?

英語が十分機能するエリアとしては、フランスおよび一段下がってロマンス諸語あたりまででしょう。歴史的にはラテン人とラテン人が崇拝したギリシャ文明まで。それ以外には英語はあまり関心を持ちません。それはつまり、ドイツ語圏、スカンジナビア圏、スラブ圏です。逆に植民地支配をした姉妹国家(オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、香港など)、インド亜大陸、中近東、アフリカ諸国のうち非フランス語圏、カリブ海には関与が強かったし、ある程度影響力もありました。これら以外の国ではイングランドはあまり存在感はありませんね。この力が今でも残るのが、諜報活動ですね。通称MI6と呼ばれます。かつての大国ですが、今では普通の国となったUKとは言え、その諜報活動の力はかつての大国の強さを彷彿とさせますよね。その強さの一端を示すのが、暗号解読力です。彼らはドイツ軍の電信をほぼ100%把握していました。それはアラン・テューリングの貢献を含んで、の話。(このブログで取り上げた映画で詳しく描かれています。)本日は軽めの話題でした。

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