字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2023年06月

アメリカ映画で軍隊もの、戦争ものはものすごく大きなジャンルです。アメリカは「建国」以来2世紀半経ちますが、その間の90%の期間は常に戦争に従事していたという、信じられない位に好戦的な国です。アメリカは大きな内戦を1度だけ経験し、それは4年間です。それ以外は常に外国と、ということになります。ちなみに、アメリカの南北戦争 Civil War は、北部の州と南部の州の戦いですが、世界で初めて工業力の差が軍隊の強さの差につながった戦いと位置づけられています。つまり、工業化の進んだ北部は鉄鋼業も発達していたし、鉄道網も発達していました。南部はそれに対して、イングランドへの綿花供給という農業国に甘んじていましたので、工業を発達させる必要性はあまりないという状況でした。南部は独立して別の国となるつもりでしたが、北部はそれを許さず、力で押さえつけたわけです。

ひるがえって、大東亜戦争を始めた時の日本は、この工業力の差をどう思っていたのでしょうか。GDPは1940年でアメリカ943、UK316、日本192 (bln dollars)ということですので、仮想敵2国合わせて日本の6倍ですね。アメリカはヨーロッパと太平洋で戦いましたし、日本はヨーロッパでは戦わなかったので、実際のところは6倍よりは多少割り引くにしても、ちょっと勝つ見込みは薄いでしょうね。しかし、日本の職業軍人はこれを精神力で補えば互角に戦えるとどうも本気で考えていたようです。これが戦前から戦中に精神力に過度にたよる文化を国民に押し付けていた理由です。まあ、バカにつける薬はありませんね。コテンパンにやられたのには理由がある、ということです。加えて、軍人と外務省の国辱ものの外交音痴。ソ連に停戦の仲介を本気でお願いしていました。これではバカを治す薬がないどころではなく、自分で自分の首をしめるバカです。ちなみに、アメリカは日本の電信の暗号を全文解読していましたので、日本の対ソ連の動きをすべて知っていました。これが原爆を急いだ理由のひとつです。ちなみに、日本の軍部は英語を敵性語という、私にはよくわからない造語をして、日常生活から英語などを駆逐し、研究もさせないようにしておりました。本当に軍人はバカですねえ。ちなみにそれは適正語ではありませんよ。もしかすると、東條英樹は子供のとき英語のクラスのせいで英語嫌いになったのかも。一方アメリカ軍は戦争中も日本語、日本文化の研究を継続し、それは戦後のGHQ統治で生かされました。歴史的名著『菊と刀』を書いたRuth Benedict (1887-1948)は一度も日本を訪れたことはありません。戦後しばらく自衛隊関係者は不遇ですが、その気持ちは日本人の記憶に当時新しかった、このことの裏返しでしょうね。軍人をトップに据えて良いことはなにもありません。

さてさて、アメリカの戦争もの映画で、階級としてcolonelがあります。「大佐」でしょうか。将校 officerの階級です。でもこれ映画で聞くと、kernel /kə́ːrnəl/と発音されていますよね。しかもほぼすべてで最後のLはvocalizeされています。(その発音記号は/ɫ/という記号です。これには簡単な呼称があってdark L と呼ばれます。専門的なものもあります。以下のアーカイブ等に少し詳しく出ていますよ):https://sttl.livedoor.blog/archives/25948057.html

私の場合、耳から入りましたので、最初はかなり真剣に悩みました。しかもインターネットもない時代。なぜそれはkernelに聞こえるのか?もしかすると、それはColonel Kernelという地位と固有名詞がセットだからなのか?などと。多分英語の辞書も見たはずですが… その後、ある機会に辞書でcolonel という見出し語の発音が/kə́ːrnəl/となっているのを偶然知って(あるいは2度目に知って)、救われました。また、逆に言えば、なぜ日本人の間でこのことを指摘する人がいないのだろうとも。おそらく日本人で発音にエネルギーを割く人はほんの少数派だったのでしょうね。

さて、このcolonelと書いてkernelとなった理由ですが、あちこちに書かれています。dissimilationと英語で言います。まあ、要するに音が省略されたり、置換されたりする現象です。それがために綴り字と発音に乖離が生まれたのです。その理由をM-Wは説明しておりますが、全然良い説明ではありません。wikiをご覧ください:

https://en.wikipedia.org/wiki/Dissimilation

まあ、理由、イキサツはともかくとして、綴り字と発音とは乖離しても、ASは気にしないという例のひとつ、ということですね。こうしてみると、日本人のいい加減な英語の発音もdissimilationに入れるべきではないか、というのが私の持論。

先日調べ物をしていてこんな興味深いタイトルのpostを見つけました。今日はそれを扱いましょう。

Was Leonardo Da Vinci a Vegetarian?

先ず、読む速度についてごメモしますのでご参考に。この文章には一部ラテン語が含まれていますが、それを含めて1539 wordsあります。英語だけで丸めて1500 wordsということに。Wordで約4ページの量です。ストップウォッチで私はこれを読むのに8分丁度かかりましたので、私のこれを読む速度は188 wpmとなります。色々な音源で声に出して、話す、読むスピードはだいたい150から200程度ですので、私の場合の読む速度は話すときの、やや速めの速度と同じ位ということです。あまり難しい単語はありませんが、知っているかいないか微妙な単語が、私の場合いくつかありましたが、読み進むのに障害ではなかったと思います。あなたも読む速度をたまに測定してみましょう。

これを教材とした理由。私はダビンチがvegetarianかどうか考えたこともなかったのですが、どうも熱心な人々はそう考えたがっているのかも、と感じたからです。加えて、少し用語を整理することで皆様の参考になるかも知れない、と考えるからです。

先ず、ちょっと驚いたのは、厳格なvegetarianism (=veganism) は、manureを使った農法を否定している?たしかに、欧米では organic food advocatesがいます。veganであり、なおかつorganic food advocateである場合には、食物の選択は相当に狭くなりそうですが大丈夫なのでしょうか。(なお、ヒトラーは医者から内臓に原因があって、動物性のものを食べないように言われていたので、意にそぐわないvegetarianでした。これに加えて彼は晩年にはモルヒネに完全に依存していましたので、食欲は相当落ちていたはず。このため彼はかなり悪い栄養状態であっただろうと言われています。自殺した時、実年齢は50歳位でしたが、実際の体は70歳だったと言われています。なお、これは現代の50,70ではありませんよ。当時のスケールでの話。年齢とともに栄養の吸収率は下がります。)

ominivore 植物性、動物性の両方を食べること、およびその食性の人々
herbivore  植物性のものだけを食べること、およびその食性の人々
肉食中心の人々のことをcreophagyと言います。-phageは何度もここで登場。creoはギリシャ語で「肉体」を指します。

さて、日本人は江戸時代に四つ足を食べないこととなっていたと言われていますので、多くの欧米人は当時の日本人がvegetarianだったと漠然と考えているようです。しかし、日本人は獣の代わりに魚を食べていました。このような食生活をする人のことをpescatarianと言います。語源はイタリア語の「魚」pesceです。イタリア語での発音はともかく、英語では/peʃei/が多いと思います。(なお、ラテン語ではpiscisとなります。なお、フランス語では poisson ポワソンとなるのは有名な話です。1個だけのsだとpoison ポワゾン/プワゾン、「毒」となります。ディオールの香水の名前ですね。)

加えて、最近目にするようになった新しい語句social omnivore というのもあります。これは一人での(家庭の?)食事と、他の人たちとの会食では肉について異なる選択をする、つまり会食の際にはomivoreとなるタイプの人です。以下の、最近の記事があります:

https://parade.com/health/social-omnivore

以上の知識を持って上で、そのpostを読んでみてはいかがでしょうか。

大谷翔平選手はWBCの頃にピークを持ってくるように調整しているように見えました。そろそろ調子は下降線かなと思って早3か月。彼には投打双方で調子の波あるいはスランプというものはなさそうに見えます。まさに怪物ですね。

さて、今日の話題は、詰め込む必要のない語源の知識が役に立つかも知れないという話です。先日『ヒューマニエンス』NHKBSPという番組を見ていたら「(血清)フェリチン」という言葉が登場しました。その回は、人間と「鉄」についてのお話。主に体内の生化学の話です。この番組を見ていない方のために、私なりに要約すると、鉄は人間を含むほぼすべての生物にとって必須の元素のひとつですが、トラブルの元でもあるので、鉄のイオンのやりとり(=体内への溶け出し)を制限するために、人間の体の場合、「フェリチン」というタンパク質の球状のネットのようなものが体内に存在している、という話でした。

フェリチンという言葉について私は何も知りません。初めて聞く言葉に「ら行」の音があるとき、例えば、上記の「フェリチン」という言葉ですが、これはR音なのかL音なのか迷う時があります。ですが、この場合、「鉄」と「フェリチン」ですので、それは ferr-を意味するラテン語由来のパーツと、化学でよくつかう-tinというパーツを組み合わせて使ったものだろう、とこのブログの読者ならば気づくはず。ということは、おそらく ferritin だろう、という予測の元にその言葉を探すことができます。まあ、これは例としては簡単な方でしょうが、上記の予測で正しくその単語を探すことができました。(なお、元素記号Feはラテン語のferrumに由来します。ただし由来不明の単語です。)

木琴(もっきん)という楽器、日本では「シロホン」と呼ぶ人がいますが、英語の場合それは xylophone /záiləfòun/ ですね。チューインガムなどに使われるキシリトールは甘味料の名前ですが、英語などではxylitol /záilətɔ̀ːl/と綴ります。発音にも注意しましょう。xylo-はwoodを意味します。-itolはerythritolなど「糖アルコール」の語尾で使われますね。木版画のことをxylographと呼びますが、それと同じですね。では木を食べる昆虫をなんと呼ぶべきか。celluloseは極めて頑丈な炭水化物ですが、一部の昆虫は木を食べます。語源の知識があるとxylo+phageという言葉をすぐに作ることができますね。この単語はちゃんとした用語です。なお先日biblophageの後ろのパーツですのことを話題にしたpostが最近ありましたね。(余談ながら、xyloの発音はドイツ語では英語と同じ発音ですが、フランス語では少し珍妙な/ɡzilɔ/の音になります。)

これらの知識は、別に詰め込む必要はなく、なぜかはわかりませんが、自然と頭に入ってくれます。そして上記のように時として私を助けてくれます。あなたも、たまに語源を知り、知識の整理に役立てて、必要な時に自分で言葉を作ってみるのはいかがでしょうか。ちょうど我々が子供の頃に新しい漢字をつくろうとしたように。

26日23時台のNHKの『時事公論』を少しだけ見ました。どうも石川解説委員は、ロシアから伝わる、プリゴージンがべラルスへ移動などのニュースを頭から信じているようです。私は本件でもまったくの素人ですが、それはどうかな、と思います。ロシア発の政治ニュース、これは疑いの塊です。おそらくすべて嘘と思って聞くのが普通でしょう。つまり、ルカシェンコの仲介は嘘、プリゴージンの移動も嘘、ワグネルの本部の捜査中止は本当かも知れないがプーティンが中止を指示したというよりは、おそらくプリゴージンがいなくなったので操作の必要が薄れたからでしょう。こんな視点でNHKの報道を組み立てるのでNHKの報道がバカに見えるのでしょう。石川氏も、もう少し知恵を出して仕事をせねば、ね。これではNHKの報道が国際的にまるで相手にされていないのは納得ですね。


最近教材にふさわしいとは思えない映画にしかあたりません。少し古い映画です。トレッキングなどが好きな方には良い教材かも知れません。短いので語句の解説が下についております。

★ ★ ★ ★ ★

映画: 『ザ・スナイパー』(原題: The Contract)

公開: 2006年

ジャンル: サスペンス

時間: 96分 

脚本: Stephen Katz
 
原作: -

監督: Bruce Beresford

配役: Morgan Freeman as Frank Carden
John Cusack as Ray Keene

あらすじ: 男子ティーンエージャーの息子と男親がキャンプにでかける途中で、殺し屋と遭遇し追われるはめに。地元警察、FBIが関与して捜索が始まります。無事に帰宅できるのでしょうか。

聞き所: 特にはありませんが、最初のパートで概ね映画の必要な設定が語られますので、聞き逃すことのないように。

訛り: なし

私の評価:
エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★ 少ない
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い 
------------------------------------------------------
合計           9★(満点15★)

台本総語数:6.9k 平均より3割少ない

スピード:    6.9k/96/2=143 wpm 

難解語割合:32/6.9k=0.5% 少ない

予告編:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)



スクリプト:

コメント:
あまり映画としての完成度は高くありませんが、一流の俳優が出ています。


語句解説:
32 words/phrases
tamele メキシコ料理 普通の英語ではbig cheeseの意味だろう。
get off with sth ~で済む
smoke a pot マリワナを吸う
knock oneself out 全力で頑張る(徹底的に楽しむの意味も)
reefer 普通は「冷蔵庫」の意味だがマリワナの意味も
next of kin 近親者
burg=town
alliteration 頭韻(cf. rhyme)
(it had) better be good そう願うぜ
hot potato 揉め事
save one’s ass 守る
stem-cell 幹細胞
pot マリワナ
gorge 峡谷
Nine lives: cat has nine livesと言われる。「簡単に死なない」
embankment 土手
cupidity 欲
qualm 良心の呵責
toehold 足場
termite シロアリ
mercenary 傭兵
hick 田舎者
double back 折り返す
make the cut 決勝に進む
covert ops 秘密作戦
spook スパイ
wind up 終える
pester つべこべ言う
moraine氷堆石
flimsy 薄っぺらな
keep one's head down 身を潜める
at liberty to do 勝手に

先日読者から短いコメントをいただきました。このブログの読者の多くはだんまり型文化なのですが、コメントをいただくのは嬉しいものです。その方は『解法のテクニック』が懐かしいと感じていました。私にとって懐かしいものの第1は、『オールナイトニッポン』というラジオ深夜放送のテーマ曲 Bittersweet Samba ですね。昨今ビールのTVCMで使われるものと少し違います。



参考書類だと私にとっては、『試験に出る英単語』(通称『出る単』)と呼ばれた、森なんとか氏の書いた新書サイズの、大学入試頻出単語リストの本も懐かしいもののひとつです。それと原仙作氏の『標準問題精講』シリーズ。英文法、長文読解など数冊ありました。名前は標準問題ですが、実際には上級の大学を狙う高校生向けでした。(当時は各大学が独自に試験問題を作成していました。)今でもハラセンの「弟子」らしき人が同じタイトルの問題集を、同じ旺文社から出しています。

さて、本日の最初の話題はoxymoronという単語です。上記の曲のタイトルの言葉 bittersweet は、one word です。two wordではありません。後半の-moronは今日の英語で使われるアレと同じ綴り、同じ意味です。oxy-の方はoxygenで既知。ただし、字面はoxy-ですが、PIEではak-というものがあり、これが「鋭い」という意味を持っています。acid, acute, dioxinなどと共通ということになります。このふたつを無理やりくっつけると、矛盾っぽいですよね。etymonlineでの解説は:
https://www.etymonline.com/search?q=oxymoron

日本語では「矛盾語法」という訳が当てられます。形容詞はoxymoronicです。これは修辞学での用語なのですが、面白いので実に広く使われます。検索でこんな「用例」を見つけました:

"A contradiction in terms is also called an oxymoron. Debates are often started by asking whether a term is an oxymoron. For example, is artificial intelligence an oxymoron? Jokes are often based in oxymorons; is military intelligence an oxymoron?"

こんなジョークも併せて:
"Her husband got hit by a bus. What was Gemma supposed to say? More to the point, what did Helen want to hear?
" 'Well,' said Gemma, going to sit on the bed beside Helen, who looked a little taken aback as she shifted to make room. 'You can't have an accident on purpose,' Gemma went on. 'That's an oxymoron. If there was intent, it wasn't an accident.'
" 'I guess I'm wondering if there isn't hidden intent in everything we do,' said Helen."
引用元:https://www.thoughtco.com/figure-of-speech-term-1690793

おそらく最も有名なoxymoronic wordsはdeafening silence という言葉でしょう。ちょっと読みづらいですが、それはdeafという単語から生成された言葉だと気づくとすぐわかります。それは「耳をつんざくような沈黙」という意味です。気まずい感じが伝わります。我々日本人には、これでどうしても連想してしまうのが松尾芭蕉の有名な俳句でしょう。普通の英訳を見ると:

閑けさや 岩にしみいる 蝉の声
Oh, tranquility!
Penetrating the very rock,
A cicada’s voice.

Translated by Helen Craig Mccullough

最初をdeafening silence と訳すと、間違いとは言えなさそうですが、相当意味が乖離していそうです。日本人としてはムズカシイところです。Helenさんの頭の片隅をdeafening silence という語句は横切ったのでしょうか。

英語には、one wordでoxymoronicな言葉もあります。dust という単語。名詞では「塵」ですが、動詞では「ホコリを払う」という意味です。「どっちやねん」という突っ込みを入れたくなります。

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