字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2023年04月

最近FOXニュースが、2020年の大統領選挙の報道において、投票機器メーカーの名誉棄損裁判の直前に和解し、巨額の賠償金を支払うことに同意した、という報道がありました。それは誰でも知りうるニュースですが、我々はもう少し深掘りして、学ばねばなりません。Time 誌が平易な英語で報道しておりますので、先ずそれを読みましょう。

What to Know About the Fox-Dominion Defamation Trial

まず、これは名誉棄損 defamation のケースである、ということです。最も肝要な部分を引用します:

the high “actual malice” standard established by the 1964 Supreme Court case New York Times Co. v. Sullivan for proving defamation in cases involving public figures and matters of public concern.

wikiにその裁判 New York Times Co. v. Sullivan についての概要が簡潔に示されています:
https://en.wikipedia.org/wiki/New_York_Times_Co._v._Sullivan
(Sullivanとは公民権運動を警官を動員して弾圧した南部の警察署長)
public figure 公人

このTimeの記事のkey wordは actual malice です。英辞郎は単に「現実的悪意」と説明しているだけですが、Weblioには次のすばらしい説明があります:

現実的悪意(げんじつてきあくい、英: actual malice)は、アメリカ合衆国連邦最高裁の判例上、名誉毀損に基づく損害賠償請求を認めるにあたって要求される要件としての表現者の認識。unquote

なお、法学関係の方は、M-Wの語義にあるいくつかの法律用語もチェックすべきでしょう:
https://www.merriam-webster.com/dictionary/malice#legalDictionary

つまり、平たく言うと、FOXが「これは嘘っぽいな」と認識していたという証拠を原告は提示せねばなりません。FOXが裁判開始前に和解に応じた、ということは、FOXの弁護士は原告がその証拠を持っていることを知った、ということに他なりません。つまり、法廷の陪審員の前でそれを開陳されたのでは、それに対してFOX側弁護士がどう抗弁しても、actual maliceの厳たる証拠として採用されるだろう、ということです。つまり、裁判開始前に「勝負」が付いた、ということです。

では、その持つ意味は何か?それは、報道機関の報道の自由と、国民の知る権利をどうやってバランスさせるか、ということです。過度に報道を規制すると公人の言動に関して国民の知る権利が侵される可能性があります。過度に放置すると、報道機関は無責任な報道をする可能性があり、公人はその犠牲となりえます。そのために、アメリカの最高裁は1つの基準を設けた、ということです。それが actual malice というわけです。ただ、私はCNNの報道で示されている事柄(下記のURLでリンクされたもの)にイマイチ納得できませんでしたが、今週放送された、BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV」で、FOX側がかなり報道の時点で「やばい」と知っていたことを示す、社内の証拠が示されていました。つまり、FOX社にwhisle blowerがいる/いたということですね。(ご参考にその証拠なるものを羅列した記事をリンクします)
https://edition.cnn.com/2023/04/17/media/dominion-fox-news-allegations/index.html

次の私の関心事は、今回FOXをクビになったTucker Carlsonは、人気のあるアンカーパースンですが、次も同じ仕事かどうか。アメリカには偏向報道専門の報道機関がたくさんありますので、そこから声がかかるかも知れませんし、あるいはこんなやばいmad dogと同一視されることは嫌だと思うのかも。彼が残した最後のスピーチがYouTubeにあります。そこのコメントをザっと見た限りでは、彼に対して好意的なコメントが多いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=N32UPXGChgo

なお、以下のpostでは数年前のGeorge Floydの件についてコメントをしておりますが、興味を引くのはベイズ統計学を使ってなんとか、と書かれている点です。気になる方はチェックしてください:
https://www.london.edu/think/what-the-blue-wall-of-silence-means-for-police-reform

New EnglandでBUというと、2つの候補があります。(「候補が2つ」よりも、私は「2つの候補」の方が素敵だと思いますが、いかが?)Boston UniversityとBrown University ですが、前者はMAにあり、後者はRI (Rhode Island)にあります。ややこしいのは、両方とも私立大学です。州立はUMassと呼ばれます。ちなみに、日本語の事柄ですが「州」といいながら「州経営」のことです。日本語も英語同様かそれ以上にややこしいようです。

さて、先日BUの図書館の検索でこんな情報が出てきました。調べていた事柄は標題の語句:

Origins of "Banned in Boston"
“During the 1920s the phrase banned in Boston became famous because the long-established Watch and Ward Society of the so-called Hub of the Universe was forever getting the city censor to ban books from sale. Many publishers actively sought to have their books banned in Boston because they knew the label would increase their sales in the rest of the country…”

Morris Dictionary of Word and Phrase Origins, 2d ed, 1988. Unquote.

source: https://library.bu.edu/banned/boston

私はこんな辞書を知りませんでした。下線を施した箇所が興味深いです。出版社がわざわざそのような格付けを希望するとは…

さて、その中に登場する団体 Watch and Ward Society のwatchはわかりますが、wardがいまいち。これに似た単語でwarden つまり「刑務所長」、これはアメリカの映画によく登場しますよね。それと同じような仲間の言葉だろうと察しがつきます。ということは似たような意味の、同じ子音で始まる2つの単語が並んでいるわけですので、注意すべき用語かも知れませんので、辞書をチェック。M-Wでの説明語句は:
continuous unbroken vigilance and guard

というわけです。ちなみに、このunbrokenの意味ですが、continuousと同じはずなのですが、並べて使っているので、ほんの少し違った意味があるのかも知れません。辞書を調べましたがわかりませんでした。wikiにはWatch and Ward Societyを見出し語とするページがあります。

https://en.wikipedia.org/wiki/Watch_and_Ward_Society

これを読むと、MA州の伝統的「文化」を反映していたようですね。右側のシールを見ると The New England Watch and Ward Society, Boston と読めますし、そこにはラテン語らしきものも。MANU FORTI、後者はfort=strongのことですし、前者はmanu 絵柄からしておそらく「手」のことでしょう。つまり strong hand/with strong hand という意味なのでしょう。manualの語源ですね。今流に言えば、風紀ポリスというところでしょうか。plays were performed in a bowdlerized "Boston Version"という説明があります。bowdlerizeとは人名Bowdlerに由来するようで、etymonlineには以下の説明があります:

bowdlerize (v.)
"expurgate by eliminating indelicate or offensive passages," 1836, from the name of Thomas Bowdler, English editor who in 1818 published a notorious expurgated Shakespeare, in which, according to his frontispiece, "nothing is added to the original text; but those words and expressions omitted which cannot with propriety be read aloud in a family." Related: Bowdlerized; bowdlerizing; bowdlerization.

なお、それは bowlder 「巨石」ではありませんよ。ここのindelicateが少し引っ掛かりますよね。おそらくここの意味は「淫らな」でしょう。つまりindecent のことでしょう。

なお、このNew Englandの禁欲的文化にまるで馴染みのない方々、おそらく若い方のために申し上げると、マサチューセッツはメイフラワー号が到着した場所であり、彼らはピューリタンの中でも極度に禁欲的な人々でした。1960s/70s頃まではその文化は間違いなく健在でした。しかし、私の意見では、彼らが禁欲的であったかどうか、が重要なのではなく、彼らがnative American (NA)とどのように接したか、ですが、何度も助けてもらい食料、種子、毛皮を援助してもらいながら、彼らは何度も何度も彼らを裏切ります。つまりBostoniansにとって重要なことは、歴史の全体像ではなく、自分たちの気に入った歴史だけをつまみ食いすることだということがよくわかります。例えば、no taxation without representation という標語は、それ自体self-explanatoryではありますが、それに先立つ、白人とNAとの歴史を意図的に見えにくくするものです。

そして、出版関係者は、そのような「警察」に発行禁止処分にしてもらい、そのことを州外で売り物にして一儲けしようとしていた、というわけです。

これ、ものすごく禁酒法と似ていますよね。禁酒法があったおかげで、マフィアはものすごく儲けました。禁酒法がなければ、ただの酒です。でも禁酒法ができたおかげで、暴利をむさぼることができるようになりました。禁酒法もアメリカの行き過ぎた禁欲主義が発端です。この、アメリカ流の、あまりにも人間性を顧みない思い込みは歴史に何度も顔を出します。メイフラワー号の人々は自分たちは神により選ばれた人間たちだと思い込み、NAを裏切ります。イラクに大量破壊兵器が隠されていると主張して戦争を始めます。グアンタナモ基地ではムスリムはすべて敵であり嘘つきであるとして捕虜を拷問にかけます。自分の胸に手を当てて、自分たちは人(他の国)を裁くための何を持っているというのか、とは問いません。世界の中心はアメリカであり、宇宙の中心は地球である、従って、アメリカこそが宇宙の中心であるという、子供のようなsyllogism。かなりユニークな国です。

本日の話題は軽めです。luminosity という、少し聞きなれない単語が出てきます。先日ちょっとだけ扱った、中国のGDPを外部から検証するときに使われる推計手法のひとつです。FRBのある支所が掲出する以下のpostは非常に平易な単語ばかりを使って説明しています。読んでみてください(その直下に論文本体へのリンクも):

Estimating Chinese GDP Using Night-Lights Data

似たようなpostはEconomistのサイトにもありますが、log inなどの関係で私はFRB StLを選びました。元の論文は以下にあります:https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/aer.102.2.994

これは直感的にも解りやすいです。例えば朝鮮半島のluminosityを見ると、北朝鮮では夜間はほとんど暗闇ですね。(なお、第2次世界大戦の2/3 decadesには、北朝鮮の方が南より裕福でした。その理由は、日本が投資して稼働を開始した、当時アジア最大の水力発電所が、現代の中国との国境にあり稼動していたためです。豊富な電力を利用して、北は化成肥料の生産を行い輸出しておりました。また鉄道輸送で、石炭を燃料とすることは効率が悪いために、一気に電化させました。しかし、推測ながら、施設の保守をしなかったためにやがてその水力発電所は稼働を低下させ、やがて停止。このため北朝鮮の鉄道網自体が極端に稼働率を下げました。これが北が極貧を続ける理由ですね。そこに外国からのembargoが加わることがどのような経済をもたらすのか、おそらく我々には実感を共に推測することは不可能でしょうね。夜には北は真っ暗闇です。18,9世紀のレベル以下の経済でしょう。)

この記事の中に hinterland というドイツ語由来だろうと思える単語が出てきます。なぜ inland というplain Englishを使わないのか私にはわかりませんが、その辺りの事情についてM-Wは説明しています:

https://www.merriam-webster.com/dictionary/hinterland

言葉を厳密に使う場合には、hinterlandの方が良さそう、という程度のことはわかりました。ですが、その言葉を知っていれば十分でしょうね。

なお、ここでは、経済学者が地学で使用開始された用語を使っているわけです。経済発展を扱う部門が経済学にはありますが、おそらくその方面の素養がこの論文を書いたeconomistにあるのでしょう。これを一般化して、私の実感を言うと、アメリカでおしなべて、高い教育水準を持った人、教養のある人々は、そうではない人々よりも多くの単語を知っていますし、使います。先日の宮崎哲也氏の本に出てくるような用語を知っているか、知らないということと似たようなことでしょうね。しかし、我々が銘記すべきは、アメリカはdemocracyの最初の国でもあります。demosつまり「民衆」common peopleが国の主役、ということです。本当の教養人とは、そのような語彙に習熟している人々でありながら、それを民衆の言葉で言い換えできる人のことだろうと私は思います。ただどのビジネスでもjargonはたくさんありますので、その世界ではそれがよろしいでしょう。しかし、部外者には常にplain Englishで話をできることを我々は心掛けるべきであると私はずっと思ってきました。例えば、本日の標題にある luminosity という言葉ではなく plain English が必要であれば、それはおそらく brightness ではないでしょうか。日本語で言えば「光度」「輝度」なのか「明るさ」なのか、ですね。

さて、word maniaの悲しい習性で、常に反対語を探したくなりますが、thesaurusにあたっても出てくるのはdarkness blackness程度ですね。ちにみに、stargazing星、天の川を見るためには暗い方が都合が良いですね。日本にも各地にすばらしい場所があるようですが、私の人生の中で最高の場所は北アルプスの涸沢(からさわ)と呼ばれるテント場で梅雨明け後の7月末頃に見た天の川銀河ですね。恐ろしく、気味が悪いほどによく見えました。まるで天が割けているように見えました。この意味では、ある程度の人里で見上げる夜空が一番美しいと私は思います。

本日はロシアという国の政治を表す言葉を探します。なければ創りましょう。(これはM-Wの大いに笑えるpostにinspireされました。リンクは最下段に。)

(1) まずは、独裁政治です。英語でautocracy。これは「自治」のことではありません。下記の太字部分を特に注意してください:

1650s, "independent power, self-sustained power, self-government" (obsolete), from French autocratie, from Latinized form of Greek autokrateia "absolute rule, rule by oneself," abstract noun from autokratēs "ruling by oneself," from autos "self" (see auto-) + kratia "rule" (see -cracy). The meaning "absolute government, unlimited political power invested in a single person" is recorded from 1855. (etymonline)

現代の意味は、英語では、19世紀中頃から、というのは、それほど古くはない意味ということですね。

これと似た言葉で tyranny があります。autocracyは必ずしもtyrannyを意味しません。例えば、かつてのLibyaという北アフリカの国では、Colonel Gaddafi (*) カダフィ大佐という独裁者、国家元首がいました。基本的に石油に依存した経済でしたが、今のロシアのように目に余る腐敗はあまり起きなかったと私は考えています。つまり、彼は独裁者ではあったが、それは良い独裁であった、はず。ですが、彼の最後を考えると民衆に愛された「独裁者」だと考えるのもどうかなと…

他にdespotismauthoritarianismなどの用語もあります。なお、Colonelというのは下級将校であり、最高位ではありません。1969年のクーデター以前から彼はもともとこの呼称(地位)が好きだったそうですので、dictatorshipを敷いた後も、この階級を好んでいた、と言われています。ということは当時の、階級にgeneralの付く人々は自分より位の下の独裁者の元にいた、という訳のわからない状態でした。

Gaddafi (*) : Qaddafiとも綴られた人名。私の綴りの好みは後者です。アラビア語からのtransliterationのためにそのような現象が起こるのでしょう。

(2) 簒奪政治、易しい言葉で、泥棒政治。統治者がよってたかって国家の財産を奪う政治です。ガスプロムCEOの給料がロシア人平均給与の何倍かの計算がある記事に出ていましたが、それすら一部に過ぎないでしょう。これを英語でkleptocracyと言います。反対語はあるのでしょうか。

kleptocracy (n.)
"rule by a class of thieves," 1819, originally in reference to Spain; see kleptomania + -cracy.

さて、この反対語。ChatGPTくんの意見では、それはmeritocracyである、というのですが、まあ、解らなくもないですが、ここで言う「反対語」とは、私財を投入して行う政治、のことです。そんな奇特な人はいなさそうですが、言葉だけでも。人間は実在しないものでも名詞(言葉)を創るものなのだと、彼に無言で教える必要があります。Chattieの次の提案は donorocracy 、なるほど。でもdonorは英語ですので、ひねると、didomi δίδωμιというギリシャ語があるそうですので、ぜひそれを。didomocracy ですね。didomi, cracy 共にギリシャ語由来ですので違和感はありません。

(3) 次は kakistocracy です。「悪徳政治」などと訳されます。

kakistocracy (n.)
"government by the worst element of a society," 1829, coined (by Thomas Love Peacock) on analogy of its opposite, aristocracy, from Greek kakistos "worst," superlative of kakos "bad" (which perhaps is related to PIE root *kakka- "to defecate") + -cracy. Perhaps the closest word in ancient Greek was kakonomia "a bad system of laws and government," hence kakonomos "with bad laws, ill-governed."

つまり社会のクズによる政治。おそらくロシアの現状はこれかと。いくつかのthesaurusを見ると、反対語とされているのは aristocracy です。普通は「貴族政治」と訳します。たしかに社会の「上澄み」とも言えるのかも知れません。

(4) 次は plutocracy です。日本語では「金権政治」と訳されます。

plutocracy (n.)
"government by the wealthy class; a class ruling by virtue of wealth," 1650s, from Greek ploutokratia "rule or power of the wealthy or of wealth," from ploutos "wealth" (see Pluto) + -kratia "rule" (see -cracy). Synonym plutarchy is slightly older (1640s). Pluto-democracy "plutocracy masquerading as democracy" is from 1895.

さて、「金権政治」が正しいかどうか少し怪しくなりましたが、概ね、正しいと私は考えます。
Pluto-democracy "plutocracy masquerading as democracy"というのは小笑いできますね。

(5) 昔、安倍晋三の政治スタイルを「お友達内閣」と呼ぶ人々がいました。これをcrony politicsとどこかの新聞に出ていましたが、おそらくcronyismという方が通りが良いと私は思います。cronyとは「取り巻き」のことです。少し無理がありますが、既存のcronyismという言葉を知らない人々がいるようですので、ぜひ-cracyで終わる言葉を創りましょう。cronocracy です。辞書には掲載されていません。念のためチェックしますと:

crony (n.)
"old familiar friend, intimate companion," 1660s, chrony, Cambridge student slang, probably from Greek khronios "long-lasting," from khronos "time" (see chrono-), on the notion of "old friend" or "a contemporary."

なんとchrono-と同じ語源からなのですね。ということは cronocracy という言葉では、「年代政治」という訳のわからない言葉だと解釈される可能性もあるということになりますね。難しいところデス…

我々にはもうひとつ工夫できそうです。philosophyはphilo- + -sophyですがphilo-は「愛」と訳されますが、「友」の意味もあります。ということは、合成して philocracy ができます。英語には、似た言葉でphallocracyというのがあります。私は政治の方は得意ではありませんが、それとほぼ似た言葉でandrocracyというのがあります。おそらく一部の英語好きの方は気づいたはず。phallo-とはphallusのことでは?それは「膨張した」男性部分を言う言葉です。androcracyの方はいまや英語の雑誌などでよく見る単語ですね。反対語があるはず。「女性中心主義」をgynocentricと言いますので、それはgynocracyです。andro-/gyno-、男、女、ですね。なお、gyno-はgene-という綴りで見ることもあります。ちなみに、「膨張した」というのはsymbolic contextであるとetymonlineは説明しておりますので、ご安心を:
https://www.etymonline.com/word/phallus?ref=etymonline_crossreference

なお、このブログで、「性」の英語を話題にしたことがあり、以下のアーカイブで読めます:
https://sttl.livedoor.blog/archives/14353761.html
私見では、PIEというのは牧畜社会ですので、名詞でmale/femaleを区別するのは非常に基本的なことですね。つまりPIE言語では「性」は重要なファクターですよ。

(6) 「プーティン流の政治」という言葉を作れば、それは末永く生き延びる言葉となるかも知れません。将来の辞書に出るはずの言葉「プーティンは2022年から翌年にかけてウクライナに侵攻したが、侵攻前よりも領土を失ったということにちなんで、外国に侵略し、それゆえに転覆した専制統治を言う。中国がこれに陥ることが危惧される。」当然 Putinismでしょうが、これでは面白くないので、Putinocracyが思い浮かびます。Russocracyでは具体性がありませんしRussobelaruscracyでは意味が散逸します。なお、Tatarという言葉には厳密な意味が薄い場合がありますので、これを使ってTatarocracyという言葉で、「ロシア・中国式の、外国に侵略し、転覆した…」という意味を持たせることは、少し強引ですが、可能かも知れません。Tatarとは韃靼(だったん)のことです。日本人が間宮海峡と呼ぶところはロシア語ではTatarskii Proliv、英語でTatar Strait/Strait of Tataryです。

最後に、M-Wの以下のpostをぜひお読みください。特に最初の、kakistocracy の説明を。書き手のユーモアが爆笑ものですよ。オンライン辞書を読んで笑う、という経験があなたを次の高みに連れて行ってくれるでしょう。

チャーチルが言ったとされる言葉 History is Written by the Victors、これの出典を探りましたが、わかりませんでした。ただ、それは常に正しいでしょうね。本日は、英語そのものというよりは、若い方々が知らないだろうという事柄を取り上げます。この種の話題に免疫をつけてもらうのが目的です。

あなたは「東京裁判」をご存知?正式名称は、極東国際軍事裁判 The International Military Tribunal for the Far East と呼ばれます。敗戦の翌年から始まり、1948年に終了。最も有名な被告は首相東條英機でしょう。絞首刑にされました。日本人の間で彼の処刑を悲しむ人はほとんどいなかったと思います。頭の良い人間だったのだろうと思います。平時であれば有能なビジネスパーソンとしてあるいは高級官僚、弁護士として活躍できたはず。しかし戦時に国民を率いる器ではまるでなかったのにその立場に自ら立ちました。とりわけ、彼が行った日本人関係者への懲罰的制裁、つまり、彼の意に染まらなかった人々を兵站のない、激戦地に送り込みました。wikiに詳しくリスト化されています。また、彼は戦陣訓なるものを公表し、中で「生きて虜囚の辱めを受けず」と述べています。普通の解釈は、「捕虜になるよりは死を選べ」というものです。自分は逮捕される日に、小口径の銃でちょっとした怪我をしました。その日までに、他の軍幹部は切腹あるいは拳銃自殺をしていましたが、彼は当日の朝アメリカ軍MPの車を自宅で見てから急いで自殺の真似事をしました。これらのことはこのブログで既に取り上げております。

本日の話題は別の件。「南京事件」です。これは日本軍が日中戦争中1937年に、蒋介石が率いる中華民国の首都南京(ナンキン)に入場した時に、引き起こされた、日本人軍人による数限りない残虐行為のことです。これらの犯罪が実際に行われたという立場と、それは基本的にフィクションである、という立場があります。色々な数字があります。ある数字では非軍人が多数を占める、南京市民30万人が虐殺された、ということになっています。老女から幼女までが日本軍人によりレイプされ、殺され、赤子を空中に投げ上げ銃剣で刺す。男性も処刑されたり、生きたまま埋められたり。実験動物の代わりに、中国人を使って過激な実験をし、殺すことをいとわなかった、という主張もあります。(写真も多数あり、それらはこの時の約2か月にわたる南京での犯罪行為の証拠だと主張されています。念のため申しますと、それらの写真がこの時に南京で撮影されたものであるという具体的証拠はないようです。ですが写真の力は偉大ですよね。誰しもその写真とその説明を読むと、すぐに両者が結び付きます。)

そして東京裁判において、当時南京で軍を統率した将校が有罪で死刑判決を受けているようです。(私は名前を照合したわけではありません。)

東京裁判について書いた本を、読むと、どうも検察側の証人として、証言した人々は、主にアメリカ人で、自分で見たのではない事柄を語り、それが証言として採用されたようです。とても証言と呼べるレベルではありません。彼らは主にキリスト教宣教の目的で南京に滞在した人々でした。この辺りがアメリカ側の意図を強く感じさせますね。つまり、客観的証拠がなくても、伝聞だけで有罪にしよう、ということです。

私の浅はかな知識では、以下の事柄は肯定派、否定派双方が納得する事実だと思います:
  • 1937年戦争当時、南京が遠からず陥落することは容易に予測しえた。
  • 市内に自主的に「安全区」なる区画が作られ、それ以外の一般街区からは市民は逃亡していた。日本軍がそれを承認していなかったが日本軍が安全区を攻撃したことはなかったと言われている。(白人宣教師が多い地区だったはず。)
  • 南京の蔣介石軍は日本軍入城の時に崩壊し、軍人は軍服を脱ぎ捨てて、「安全区」に逃亡した。
  • もともと、蔣介石は日本軍の残忍さについて、外国人記者を扇動していた。
  • 朝日新聞記者本田勝一氏が『中国の旅』1972年を出版。その中で、日本人ふたりの軍人が中国人を無差別に100人殺すことをどちらが先に達成するかで競争をした、ということを記述。(ただしこれは東京裁判とは関係ありませんが、これ以降中国人の間で日本軍による、いわゆる南京虐殺が知られるようになった。)
これらの事柄は党派に関係なく、事実だと思います。ここに中国共産党のプロパガンダが加わります。中国ではしょっちゅう、今でも日中戦争の頃のドラマがつくられ、日本人は民間人も軍人も異常な人格を持った、残虐さをどこまでも遂行できる人種として描かれ、毛沢東率いる中国共産党はそれに抗戦した英雄として描かれます。ステレオタイプ化しているので、ファナティックな日本人の上官は、メガネをかけて、見えるところに金歯をつけて、理不尽なことを主張し、命令し、いつもどなっています。実際には日本軍と戦ったのは蔣介石の率いた軍隊でした。このようなプロパガンダで育った中国人はものすごく多いです。このため、現代において、中国人は日本人を理不尽に扱っても許されると真剣に思う人は少なくないようです。

私が残念だと思うのは、日本人には歴史をサイエンスとして見る文化がありません。本田勝一を含めて誰も歴史と正面から向き合おうとはしません。自分に都合の良い言説を表に出し、都合の悪いことを隠します。おそらくこの事件の真相は永遠に闇の中でしょう。誰でも、「南京でこんなこんなことが行われた」といって、複数の男性の死体が道路に転がっている写真を見せられ、それが日本軍が南京でやったのだ、と言われれば信じる人が多数派でしょう。ということは中国はおそらく永遠にこれをネタとして日本人に対して使うでしょうね。南京には南京事件専門の博物館まであるそうです。あなたが将来中国人とかかわるようになると、南京事件として知られるこのことをこれ見よがしに言う可能性が高い、ということをあなたは知っておく必要があります。

一方で、ドイツ人は違いますね。何が歴史的真実かを徹底して突き詰め、直視し、深く反省し、新しい国際関係を作り出そうとしています。もちろん、すべてのドイツ人がそうではないでしょうが、大半はそうです。例を出すと、第二次世界大戦の反省からドイツ軍では上官の命令に合理性がないと判断した将兵は命令に従う必要はありません。他にこんな軍隊はありませんね。

History is Written by the Victors...

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