最近FOXニュースが、2020年の大統領選挙の報道において、投票機器メーカーの名誉棄損裁判の直前に和解し、巨額の賠償金を支払うことに同意した、という報道がありました。それは誰でも知りうるニュースですが、我々はもう少し深掘りして、学ばねばなりません。Time 誌が平易な英語で報道しておりますので、先ずそれを読みましょう。
What to Know About the Fox-Dominion Defamation Trial
まず、これは名誉棄損 defamation のケースである、ということです。最も肝要な部分を引用します:
the high “actual malice” standard established by the 1964 Supreme Court case New York Times Co. v. Sullivan for proving defamation in cases involving public figures and matters of public concern.
wikiにその裁判 New York Times Co. v. Sullivan についての概要が簡潔に示されています:
https://en.wikipedia.org/wiki/New_York_Times_Co._v._Sullivan
(Sullivanとは公民権運動を警官を動員して弾圧した南部の警察署長)
public figure 公人
このTimeの記事のkey wordは actual malice です。英辞郎は単に「現実的悪意」と説明しているだけですが、Weblioには次のすばらしい説明があります:
現実的悪意(げんじつてきあくい、英: actual malice)は、アメリカ合衆国連邦最高裁の判例上、名誉毀損に基づく損害賠償請求を認めるにあたって要求される要件としての表現者の認識。unquote
なお、法学関係の方は、M-Wの語義にあるいくつかの法律用語もチェックすべきでしょう:
https://www.merriam-webster.com/dictionary/malice#legalDictionary
つまり、平たく言うと、FOXが「これは嘘っぽいな」と認識していたという証拠を原告は提示せねばなりません。FOXが裁判開始前に和解に応じた、ということは、FOXの弁護士は原告がその証拠を持っていることを知った、ということに他なりません。つまり、法廷の陪審員の前でそれを開陳されたのでは、それに対してFOX側弁護士がどう抗弁しても、actual maliceの厳たる証拠として採用されるだろう、ということです。つまり、裁判開始前に「勝負」が付いた、ということです。
では、その持つ意味は何か?それは、報道機関の報道の自由と、国民の知る権利をどうやってバランスさせるか、ということです。過度に報道を規制すると公人の言動に関して国民の知る権利が侵される可能性があります。過度に放置すると、報道機関は無責任な報道をする可能性があり、公人はその犠牲となりえます。そのために、アメリカの最高裁は1つの基準を設けた、ということです。それが actual malice というわけです。ただ、私はCNNの報道で示されている事柄(下記のURLでリンクされたもの)にイマイチ納得できませんでしたが、今週放送された、BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV」で、FOX側がかなり報道の時点で「やばい」と知っていたことを示す、社内の証拠が示されていました。つまり、FOX社にwhisle blowerがいる/いたということですね。(ご参考にその証拠なるものを羅列した記事をリンクします)
https://edition.cnn.com/2023/04/17/media/dominion-fox-news-allegations/index.html
次の私の関心事は、今回FOXをクビになったTucker Carlsonは、人気のあるアンカーパースンですが、次も同じ仕事かどうか。アメリカには偏向報道専門の報道機関がたくさんありますので、そこから声がかかるかも知れませんし、あるいはこんなやばいmad dogと同一視されることは嫌だと思うのかも。彼が残した最後のスピーチがYouTubeにあります。そこのコメントをザっと見た限りでは、彼に対して好意的なコメントが多いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=N32UPXGChgo
なお、以下のpostでは数年前のGeorge Floydの件についてコメントをしておりますが、興味を引くのはベイズ統計学を使ってなんとか、と書かれている点です。気になる方はチェックしてください:
https://www.london.edu/think/what-the-blue-wall-of-silence-means-for-police-reform
What to Know About the Fox-Dominion Defamation Trial
まず、これは名誉棄損 defamation のケースである、ということです。最も肝要な部分を引用します:
the high “actual malice” standard established by the 1964 Supreme Court case New York Times Co. v. Sullivan for proving defamation in cases involving public figures and matters of public concern.
wikiにその裁判 New York Times Co. v. Sullivan についての概要が簡潔に示されています:
https://en.wikipedia.org/wiki/New_York_Times_Co._v._Sullivan
(Sullivanとは公民権運動を警官を動員して弾圧した南部の警察署長)
public figure 公人
このTimeの記事のkey wordは actual malice です。英辞郎は単に「現実的悪意」と説明しているだけですが、Weblioには次のすばらしい説明があります:
現実的悪意(げんじつてきあくい、英: actual malice)は、アメリカ合衆国連邦最高裁の判例上、名誉毀損に基づく損害賠償請求を認めるにあたって要求される要件としての表現者の認識。unquote
なお、法学関係の方は、M-Wの語義にあるいくつかの法律用語もチェックすべきでしょう:
https://www.merriam-webster.com/dictionary/malice#legalDictionary
つまり、平たく言うと、FOXが「これは嘘っぽいな」と認識していたという証拠を原告は提示せねばなりません。FOXが裁判開始前に和解に応じた、ということは、FOXの弁護士は原告がその証拠を持っていることを知った、ということに他なりません。つまり、法廷の陪審員の前でそれを開陳されたのでは、それに対してFOX側弁護士がどう抗弁しても、actual maliceの厳たる証拠として採用されるだろう、ということです。つまり、裁判開始前に「勝負」が付いた、ということです。
では、その持つ意味は何か?それは、報道機関の報道の自由と、国民の知る権利をどうやってバランスさせるか、ということです。過度に報道を規制すると公人の言動に関して国民の知る権利が侵される可能性があります。過度に放置すると、報道機関は無責任な報道をする可能性があり、公人はその犠牲となりえます。そのために、アメリカの最高裁は1つの基準を設けた、ということです。それが actual malice というわけです。ただ、私はCNNの報道で示されている事柄(下記のURLでリンクされたもの)にイマイチ納得できませんでしたが、今週放送された、BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV」で、FOX側がかなり報道の時点で「やばい」と知っていたことを示す、社内の証拠が示されていました。つまり、FOX社にwhisle blowerがいる/いたということですね。(ご参考にその証拠なるものを羅列した記事をリンクします)
https://edition.cnn.com/2023/04/17/media/dominion-fox-news-allegations/index.html
次の私の関心事は、今回FOXをクビになったTucker Carlsonは、人気のあるアンカーパースンですが、次も同じ仕事かどうか。アメリカには偏向報道専門の報道機関がたくさんありますので、そこから声がかかるかも知れませんし、あるいはこんなやばいmad dogと同一視されることは嫌だと思うのかも。彼が残した最後のスピーチがYouTubeにあります。そこのコメントをザっと見た限りでは、彼に対して好意的なコメントが多いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=N32UPXGChgo
なお、以下のpostでは数年前のGeorge Floydの件についてコメントをしておりますが、興味を引くのはベイズ統計学を使ってなんとか、と書かれている点です。気になる方はチェックしてください:
https://www.london.edu/think/what-the-blue-wall-of-silence-means-for-police-reform