字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2022年11月

これもまたトム・クルーズ主演の映画です。彼のセリフが非常に多いです。滑舌が良く、爽やかな声ですよね。教材としては良いと思いますが、私は映画の内容にあまり共感できませんでした…

★ ★ ★ ★ ★

映画:『オブリビオン』(原題Oblivion)

公開:2013年

ジャンル:SF

時間: 124分 

脚本: Karl Gajdusek
 
原作: -

監督: Joseph Kosinski

配役: Tom Cruise

あらすじ:人類が地球を捨てて土星の惑星に移住。ジャックは地球に残ってエイリアンの侵入を防ぐ役目を担います。ある日、彼はパトロール中に出会った謎めいた男に引き回されて自分自身を徐々に知ることになります。

聞き所:なし

訛り:なし

私の評価:
エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ☆☆☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★ 少ない
早口度     早い   ★★☆ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い 
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合計           7★(満点15★)

台本総語数:5.0k 平均の半分

スピード:    5.0k/124/2=80 wpm 

難解語割合:0%

予告編:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)



スクリプト:

コメント:
私としては映画としてのデキはあまり良くないと思います。平易な英語が多いので単語、熟語で苦労することはないでしょう。語句の解説はありません。

毎年11月末になるとマンハッタンにあるロックフェラー・センターには大きなクリスマスツリーが飾られます。その様子はアメリカ中にTVでナマ中継されます。そこにあるアイスケート用リンクの前にある金ぴかの像、誰でも知っているプロメテウスといpromう、ギリシャ神話の神の像です。ロックフェラー・センターの象徴ですね。個人的印象を言うと、造形がどの美術様式なのかがもう少し解るとうれしいのですが…

右手に持っているのは「火」です。神話では彼は火を、ヘーパイストスという名の「火、鍛冶」の神から盗み、人類に与えたとされています。これにより、人類は火を手に入れ、調理をし、暖を取り、遠くと交信することができるようになりました。今日はこの神のことをちょっとだけ見ましょう。

etymonlineには次のように解説されています:

Prometheus  /prəmíːθiəs/
in Greek mythology, a demigod (son of the Titan Iapetus) who made man from clay and stole fire from heaven and taught mankind its use, for which he was punished by Zeus by being chained to a rock in the Caucasus, where a vulture came every day and preyed on his liver.

The name is Greek, and anciently was interpreted etymologically as "forethinker, foreseer," from promēthēs "thinking before," from pro "before" (see pro-) + *mēthos, related to mathein "to learn" (from an enlargement of PIE root *men- (1) "to think"). In another view this is folk-etymology, and Watkins suggests the second element is possibly from a base meaning "to steal," also found in Sanskrit mathnati "he steals."

ちょっと慣れない単語が少しありますよね。demigodこれは「半獣」のことですが、そのままですよね。Titan Iapetusとありますが、これはIapetus /aiǽpitəs/ という名前の神がいて、彼はTitanのひとりである、という意味です。Titanと呼ばれる12の神々は、同じ父母から生まれた兄弟姉妹です。やがて、オリンパスの神々により取って代わられます。つまり、Titanとは集合名詞のようなものです。Iapetusという名前の由来はギリシャ語で「槍で穴をあける」という意味なのだそうです。

Prometeusの兄弟Menoetius, Atlas, and Epimetheusがいて4人が平らな地球の4隅を支えています。(当時の知識では地球は球体ではありませんでしたので…)そのひとりがEpimetheus?つまりPrometheusとEpimetheus、pro/epi+methos (thinker)のセットというわけです。上のfolk etymologyになるのはやむを得ないことかも知れません。
 
上で説明されているように、プロメテウスは、人間のことを思って、あるトリッキーなことをしてゼウスを怒らせ、怒ったゼウスはかれを3万年の間コーカサスにある岩に鎖でつなぎます。ここに毎日、vultureつまりハゲタカが来てプロメテウスの肝臓を食べますが彼は死にません。また翌日日が昇り、またハゲタカが来て…ということが3万年罰として繰り返されます。この刑に終わりはないという説もあります。

私が興味を惹かれるのは、別の下線部のところです。彼は粘土から人間を作った、ということなのですね。まるで聖書に出てくる話ですよね。ということは、もしかすると、旧約聖書の話は、地中海東部にあったはずのこのような話をコピペしたことの例のひとつなのかも知れませんね。しかも、当時のギリシャ人から見て、コーカサスとは地の果てですよね。

さて、「ハゲタカ」というと、日本人はコンドルという名前を思い浮かべるでしょうが、これはスペイン語です。しかもそのスペイン語はインカの言葉に由来します。英語ではヨーロッパにいるハゲタカはvultureですよね。ハゲタカとして我々が覚えるべき最初の語はvulture /vʌ́ltʃər/です。なんとなくゲルマン諸語由来ではなさそうです。実際etymonlineでこれはOF由来と説明されています。ビジネスの世界で「あいつはvultureだよ」というのは、際限なく貪欲であることを示していますが、あまり褒め言葉ではありません。

さて、こうして見てくると、ギリシャ神話ではPrometheusは人類の祖先でもある、ということですね。最後に、ロックフェラーの発音は、英語では /rάkifèlər/ですよ。色々な示唆的な神話がプロメテウスにはあり、ギリシャ人から見ると、彼は人類に火をもたらしたし、人類の祖先であるということですね。そしてその神話を造形させたのが、悪辣な経営で名高いジョン・ロックフェラー率いるスタンダード・オイルであり、彼のあくどい経営戦略は、今日のantitrust lawsの中に反面教師として生かされています。

アメリカ大陸で、最も目立つのはUSAで、次いでカナダでしょう。とは言え、メキシコも大きさで言えばかなりの大国です。

メキシコ人出稼ぎ労働者はどれくらいのお金を本国に送金しているのでしょうか。この10年位を見ると、年間でUS$25 billionから30 billionが総額。2017年の統計で、1件あたり平均送金金額はUS$309、件数は7.3 million/yearとのこと。(*)この309ドルとは、メキシコ国内の単純労働賃金月収の2倍だそうです。正直に言うと、私には驚くほど低い金額に見えます。出稼ぎまでしてこれだけ?しかも平均金額がこれだけ低いということは取引コストが1件当たりでかかることを考えると送金側は回数をminimizeしたいはずなので、受け取り側の都合を強く反映しているのでしょう。使途も推定されていて、食料、衣類、自動車・自宅購入、医療だそうです。メキシコ人の一部はこの送金金額のために国境を越えてアメリカに入国しているのでしょうか。「単純労働賃金月収」というのが曲者そうです。メキシコのホワイトカラーの人々は一体いくら位を稼いでいるのでしょうか。ちなみに、GDP per capitaは約US$10kですが、これは後述。

アメリカとカナダの間には国境管理が事実上ありません。両国の市民である限り自由に往来できます。もしパスポートの提示を求められることがあれば、提示するだけです。普通は提示を求められることはありません。でもそれがアメリカとメキシコとなると極めて厳しくなります。たしかに麻薬の大半はメキシコ経由でアメリカに流れ込むようです。恐らくですが、私の予想では、アメリカ人はメキシコ人をかなり貧しい人々と思っていて、彼らは生活のためなら違法なことを平気でする、と思っていますよね。

アメリカの企業はメキシコに工場を建てることが非常に多いです。ただなぜかはわかりませんが、メキシコの経済は浮揚してきません。現在一人当たりGDPはほぼUS$10k/yearです。20年前の倍。ということは年率成長率は3.5%程度です。直近の数年間を見るともうこの辺りが上限であるかのように、天井を突き抜けるようなたくましい成長は見られません。

なぜなのか。私にはわかりませんが、隣に、アメリカというそこそこ豊かな大国があるですから、もっと早い成長が可能であるように思えます。なぜそうならない?もしかすると、国民性でしょうか。もともと、カトリック国はあまり一生懸命働きませんよね。加えて、アメリカ人にとって、特に下層階級の人々にとってメキシコとは、cheapでお大尽のできる観光地です。毎年のようにホリデイを過ごしに行くリピーターの多いこと。なお、私見では、更にその下には、ラスベガスに行く人々がいます… ちなみに、最近の日本は、この観光依存型の、つまり途上国型の経済に移行しつつありますよね。戦後の日本の経済復興は奇跡と呼ばれましたが、OECDなどが分析して、それは欧米並みの工業生産品を、遥かに安い労賃で製造するから、という結論まで出ています。最初は、日米繊維摩擦がやがて日米自動車摩擦になりました。最後は日米半導体摩擦。この間、日本の産業構造は、繊維工業(軽工業)から、重工業側へと進化して行きました。その背後にあるのは、教育水準とハードワークです。昔あるパーティでアフリカ人などが私に質問しました。「なぜ日本は徳川統治で鎖国した後、ロシアを破る国に成れたのだろうか?」ほぼ馬鹿ですよね。鎖国ー開国で国の強さあるいは富が増えるわけはありません。その背後にあるのは、日本人の教育水準の高さです。

標題にかかげました質問、私には答えはありません。でも、カナダがそこそこうまく行っている、見方によっては、アメリカ以上にうまく行っているのに、メキシコはそこそこの低成長にとどまっている…不思議です。

(*)『現代メキシコを知るための70章 第2版』明石書店 2019 p.124

先日からネタにしておりますadvsersative "on"、本日は主にOED2での解説です。なんと、OEDにこの意味と用例が載っております。前置詞onの20番目の語義があり、a,b,c,...と並んでいて、f にその意味の解説があります。

f. To the disadvantage or detriment of (a person); so as to affect or disturb. colloq.

ここで改行されて以下の用例が続きます:
1880 W.H. Patterson Gloss. Words Antrim and Down 74 'Don't break it on me' i.e. don't break that thing of mine. などなど用例が次々に続きますが省略。

ここで私が参照しているのはOED第2版(OED2)です。この下線部の部分は、この用例の意味を解説したものでしょうね。私がOEDで例文の意味を見るのは初めてだと思います。なお、この解説(f)では一度もadvsersativeという用語は出て来ません。

ということは、このadversative onの用例に違和感を持つ人はほぼいない、ということでしょう。ただ、例文によっては、人によって判断が分かれる、というはあるのでしょう。私にはちょっとした驚きです。OEDの語義の順は歴史順になっていますので、これは1880年に最初の文書での用例がある、とういことです。このPattersonという人のその本は、北アイルランドでの方言を解説したものであるらししいです。Antrim, Downとは北アイルランドでのcountyの名前です。

北アイルランドでの用例が、はたして「英語」と呼べるかですが、この辺りは人により判断がわかれるでしょうね。私はただの方言だと思います。英語ではありませんね。このことは、OEDの色々な資料はイングランドにおける用法だけではなく、もしかするとスコットランド、北アイルランドを含むthe UK全体から採られたということなのでしょうね。仮にそうなのであれば、そのように書いてくれた方が親切だと思います。日本の方言で、標準語では消えた、古い日本語の名残が残っていることはよくありますよね。それと同じで、古い英語の名残が残っていてそれがOEDで解説されていてもそれは英語と呼ぶべきかどうかですが、私は止めて欲しいと思います。

さて、次いで、現代の英語へ。idiomaticな表現で、It's on you というのがあります。この意味は「それはお前の責任だ」「お前のせいだ」という意味です。3年前にこのブログで扱ったシナリオの中でこれが使われた場面がありました。邦題『ジャッジ』です:


私はonのこの用法にこだわるつもりは全くありません。ただ、そのような事例を通じて、載せている辞書、載せていない辞書を見たり、用例を見ることで、普段の勉強では気が付かないことを知る機会になるのでは、という気持ちで調べてみました。



本日は時事ネタを。英語は出て来ません。
  1. 私はツイッター社の動向についてはまったく予備知識がありません。おそらくですが、イーロン・マスクから見てツイッター社の経営陣、従業員の働きには強い不満があったのだと思います。多くの人は彼が、発達障害の傾向があるというような視点で見ているようですが(その点では私もまったく同感)、彼の経営者としての視点は極めてまともですよ。---ひとつの例を。昔、2008年でしたか、テスラが最初のEV「ロードスター」を出した時、使っていた電池は当時のサンヨーが作っていたパソコン用汎用品でした。これを直列に並べて出力を高めて、発生する熱を水冷で冷やす、という少し訳のわからないもの。なぜわざわざそんなことをしたのか。それはテスラという知名度の低い会社(当時はたしかテスラ・モーターズという社名)は、サンヨーのような知名度の高い、電池で有名な会社のパーツを採用することで顧客の信頼を得るためでした。当時はPCなどのバッテリーの不良品に起因する爆発事故があちこちで多発していました。(その後、サンヨーの電池事業はパナソニックに売却されました。もうすでに、パナソニックとテスラの地位は逆転していますよね。もし今でもパナソニックがテスラにバッテリーを納めているのであれば---その可能性は低いと思いますが----テスラに納めていることがパナソニックのステータスになっているはず。主客逆転ですよね。)(私から見てもっと訳がわからないのは、なぜツイッター社がNYCに本社を持っているのか?色々なハンディキャップを持っていそうですよね。)
  2. ワールドカップ観客席でのゴミ拾いに関してですが、私はその人々をおとしめるつもりはまったくありませんが、止めた方が良いだろうと思います。あることが記事になるのと、多くの読者が感じることは必ずしも同じではありません。かなり風変わりな事なので報道の価値がある、と判断されたのでしょうが、読者の中には、それをほめる人も少数いるでしょうが、多くは言語化されにくい違和感だろうと思います。欧米の社会はたいていエリートが動かしています。ということはその反対側にはエリートと対極の人々がいる、ということです。それは不安定な職業、安い賃金ではたらく非熟練労働者です。彼らに熟練労働の仕事と給料を与えようとしても彼らはそれに応じることはありません。もともと、ちゃんと現地の言葉を離せない人々が多いし、必要な教育も受けていません。つまり、非熟練労働者の多くは、生涯非熟練労働者のままなのです。つまり、社会には非熟練労働者のための仕事が必要なのです。それを奪うのはヤボです。
  3. ましてや、承認欲求が強い日本人が、進んでスタジアムのゴミ掃除をする…ほとんど脳死状態ですよね。御主人さまにほめてもらいたいペットのような価値観。止めましょう。日本人は、人と人が違うものである、ということと、人が別の人を賞賛することの違いをよく理解できていないような気がします。あなたと私は違う人格です。生まれも価値観も(宗教も?)違うのです。それを賞賛にまで高めるのは無理があるというもの。誰もほめませんが、あなたはあなた。私は私なのです。
私はこんな風に考えます。

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