昨日の続きです。inapt/ineptは似たような意味で、同じ語源ということでした。
次にgeometryとは何かを探りましょう。引用するには長いので、M-Wを読みたい方は以下のURLへ:
https://www.merriam-webster.com/dictionary/geometry
要約するとgeometryとは:
1 幾何学
2 配置
3 形状
ということですね。ちなみに、このM-Wの解説よりetymonlineの解説の方が面白いですよ:
これを読んで納得できますよね。geology 地質学 に関する語源の知識がここでは生かされています。ただ、曲者は [;]で、これはA; Bという併記だと考えることにしましょう。つまり「大地あるは土地の測量、幾何学」ということですね。つまり、古代ギリシャの時代には、測量の学問であり、線で構成される図形の学問でもあった、ということですね。
なお、geometryを学ぶ人はgeometrician/geometer (アクセントはどこに?)です。では、algebraを学ぶ人は?今回調べてみましたがalgebrian/algebraist かも知れない、という程度のことがわかっただけでした。因みに形容詞形はalgebraicです。
ここまでは、言葉(辞書)を中心に話を進めて来ました。私は一介の英語聴き取りvolunteerに過ぎないので、必要以上に自己主張を盛らないように、と考えるものなのですが、この話題では言及すべきことがあります。それは、geometryという学問は古代ギリシャ時代からずっと「数学」全体を意味していたのです。現代の知識では、数学は大きくはgeometryとalgebraに分かれますが、後者algebraは9世紀のバグダッドの大数学者アル・クワーリズミal-KhwārizmīのファーストネイムAbu Ja'farに由来します。これは古代ギリシャの学問、芸術はローマに継承されたというよりは、イスラム圏で守られたためです。つまり、西ヨーロッパ人は、古代ローマが滅んで西欧では捨てられた学問をToledo, Spain, Scily Islandなどにおいてイスラム教徒の学者から学んだのです。これがルネサンスのもうひとつの側面です。al-Khwarizmiにとっては3元方程式の解法は、立方体の幾何学として詩(韻文)で表現されました。つまり、代数と幾何学とは不可分であったということです。(ということは、彼は4元方程式の存在について知っていたにせよ、解を導く一般的な方法は諦めていたということは仕方のないことかも知れませんね。4次元では図形で表現できません。)algebraの語源について、ぜひ以下の解説を読んでみてください:
https://www.etymonline.com/search?q=algebra
従って、プラトンのアカデミアの門に刻まれていたと言われる言葉は、単に「幾何学」への造詣を問うものではなく、今日でいう代数をもある程度包含した学問であったと考えるべきでしょう。(プラトンからal-Khwarizmiまでは約千年の隔たりがありますので、どの程度の代数が含まれていたかは別の議論としてなされるべきかも知れません。)
整理すると、昨日と今日、我々がここで知ったのは、
次にgeometryとは何かを探りましょう。引用するには長いので、M-Wを読みたい方は以下のURLへ:
https://www.merriam-webster.com/dictionary/geometry
要約するとgeometryとは:
1 幾何学
2 配置
3 形状
ということですね。ちなみに、このM-Wの解説よりetymonlineの解説の方が面白いですよ:
geometry (n.)
early 14c., also gemetrie, gemetry, from Old French geometrie (12c., Modern French géométrie), from Latin geometria, from Greek geometria "measurement of earth or land; geometry," from combining form of gē "earth, land" (see Gaia) + -metria "a measuring of" (see -metry). Old English used eorðcræft "earth-craft" as a loan-translation of Latin geometria.
これを読んで納得できますよね。geology 地質学 に関する語源の知識がここでは生かされています。ただ、曲者は [;]で、これはA; Bという併記だと考えることにしましょう。つまり「大地あるは土地の測量、幾何学」ということですね。つまり、古代ギリシャの時代には、測量の学問であり、線で構成される図形の学問でもあった、ということですね。
なお、geometryを学ぶ人はgeometrician/geometer (アクセントはどこに?)です。では、algebraを学ぶ人は?今回調べてみましたがalgebrian/algebraist かも知れない、という程度のことがわかっただけでした。因みに形容詞形はalgebraicです。
ここまでは、言葉(辞書)を中心に話を進めて来ました。私は一介の英語聴き取りvolunteerに過ぎないので、必要以上に自己主張を盛らないように、と考えるものなのですが、この話題では言及すべきことがあります。それは、geometryという学問は古代ギリシャ時代からずっと「数学」全体を意味していたのです。現代の知識では、数学は大きくはgeometryとalgebraに分かれますが、後者algebraは9世紀のバグダッドの大数学者アル・クワーリズミal-KhwārizmīのファーストネイムAbu Ja'farに由来します。これは古代ギリシャの学問、芸術はローマに継承されたというよりは、イスラム圏で守られたためです。つまり、西ヨーロッパ人は、古代ローマが滅んで西欧では捨てられた学問をToledo, Spain, Scily Islandなどにおいてイスラム教徒の学者から学んだのです。これがルネサンスのもうひとつの側面です。al-Khwarizmiにとっては3元方程式の解法は、立方体の幾何学として詩(韻文)で表現されました。つまり、代数と幾何学とは不可分であったということです。(ということは、彼は4元方程式の存在について知っていたにせよ、解を導く一般的な方法は諦めていたということは仕方のないことかも知れませんね。4次元では図形で表現できません。)algebraの語源について、ぜひ以下の解説を読んでみてください:
https://www.etymonline.com/search?q=algebra
従って、プラトンのアカデミアの門に刻まれていたと言われる言葉は、単に「幾何学」への造詣を問うものではなく、今日でいう代数をもある程度包含した学問であったと考えるべきでしょう。(プラトンからal-Khwarizmiまでは約千年の隔たりがありますので、どの程度の代数が含まれていたかは別の議論としてなされるべきかも知れません。)
整理すると、昨日と今日、我々がここで知ったのは、
- 言葉の意味、背景は時代と共に移ろうものである、
- どの時代の幾何学にスポットライトを当てるかにより、影に潜む代数の見え方が異なる、
- プラトンのアカデミアの入口にinscribeされたフレーズがありその英語訳としておそらく最適のものはlet no one inapt to geometry come inであるはず。不足する言葉を補えばその意味は「数学(幾何学)の格調の高さに敵わぬ者立ち入るべからず」だと解釈できる、
ということでした。