今日は英語を少し離れてどうでも良い話を2,3… 『ゼロ・グラビティ』の語句解説は明後日に。
今回ウクライナ侵攻の前に、ロシア軍は国境近くで、「演習」をしていたとされていました。軍事演習とはどんなものをいうのでしょうか。普通、軍事演習とは、単に兵器の使用法習熟、連絡手段の確認などをするのではありません。兵力を2分し、相互に戦わせます。例えば、日米の軍事演習だとしますと、Aチーム、Bチームが、おのおの日本とアメリカの軍隊から編成され、一定の条件を与えて、AチームとBチームを戦わせます。もちろん、実際にミサイルを発射したり、実弾で発砲したりはしません。相手の武器、戦力を知らない、相手の軍事目標を知らないなどの条件下で、Aチームは与えられた任務を全うするためBチームの行動を予測し、兵力を使って任務を遂行しようとします。Bチームは相手の目的を推察し、それを妨害し、可能であれば反撃して、弱体化しようとします。今流に言えば、司令部と前線とはどのようにして通信をするのかを知り、「敵」(=相手チーム)に妨害されないようにしながら、敵を最大限妨害するようにします。あるいは、ドローンを持っているのかどうかによって戦術が変わるでしょう。あるいは上陸地点を予測し、兵員を割き迎撃ます。このようにして、実戦さながらに、両チームが真剣に戦います。自衛隊がアメリカ軍(空海陸)が軍事訓練あるいは演習をする、というのは実際に殺傷することはしませんが、その一歩手前まで総力を尽くして戦います。そしてその判定をジャッジ役の司令官が行います。「演習完了。Aチームは目標達成した」という具合です。当然、「敵国」側が勝つと判定されることもありえます。そして、演習後、両チームが一堂に会してなぜうまく行ったのか、なぜ失敗したのか、どうすればより良かったのかを分析して、次回の演習(場合によっては実戦)に役立てます。これが普通の軍事演習です。そして、肝心なポイント、それは、最初に敵の通信網を徹底的にnullifyすることです。お互いにそれを知っているので、現代戦の場合には、戦場では、妨害電波が徹底的に飛び交います。当然、敵ミサイルの目標補足機能もnullifyする必要があります。その中で自軍だけで通じる通信網を機動性を失うことなく構築、維持せねばなりません。同様にして、例えば、冬期の北海道で演習が行われればそれはロシアの侵攻を想定したものになります。似たような演習が行われている場合でも、それは条件が異なるように設定されていますので、似たものとは呼べない演習になります。
以上のことを知っていると、1,2箇月あるいはそれ以上にわたり、ウクライナ国境に展開していたロシア軍は一体何の演習をしていたのか疑問が湧いてきますね。ウクライナ軍はロシア軍を歓迎してくれる、のであれば、まともな演習は必要ありません。でも真剣な演習をするのであれば、ウクライナ軍は友好的ではない、ということになり、明らかな矛盾があります。加えて、ロシア侵攻開始後、日中に、戦車が隊列を組んで、道路を進んでいる写真を我々は侵攻初期に見ましたが、あんな素人のような、カモ・ネギ(鴨・葱)式行軍を誰が命令したのでしょうか。実戦であれば、密集しているために敵から次々に攻撃を受けて標的にされてしまいます。これが演習だったら、ジャッジ役は、たとえば「ロシア軍の現場の戦車は50%全壊、50%損壊、乗務兵員は全員捕虜」と判定するでしょう。当然、ウクライナ軍は相手の弱いところを突いてくるはずですので、その軍事常識のなさからどの部隊が素人集団かはすぐに判定できます。ロシア兵の練度が低いためにウクライナ側攻撃部隊が反撃されることのリスクはかなり低くなります。ロシア人将校が狙撃などで最低でも7,8人殺されたそうですが、彼らはおそらくこのような役立たず部隊を指揮する将校だったのではないでしょうか。また、演習中は、他国に情報が漏れないようにする必要がありますが、国境でやっていたのでは、もしウクライナ側にNATOのチームがいたのであれば(大チームがいたはずですが)、電波などの傍受は容易だったでしょう。
ロシア軍の無線がウクライナ軍に傍受されていたとのことですが、ロシア軍では妨害電波、暗号化をしていなかったのでしょうか。どうもしていなかったと思います。私のwild guess ですが、おそらくロシア軍が国境で「演習」なるものをしている時から、アメリカand/or NATOの将兵はウクライナに入り、ロシア軍の演習を近距離でウォッチしていたと思います。当然ながら、2,3箇月あれば、ロシア軍の弱点を探っていたはずで、それに合わせて、侵攻後はアメリカから兵器の供給が行われていると思います。TVなどで報道される武器供与のリストはただのカモフラージュです。自分がどのような武器を持っているかの詳細を公言して実戦をやるおバカはいないと思います。公言する場合は、敵が防ぎようがない、圧倒的な武器を自軍が持っている場合に相手にプレッシャーを与えるために、ということは作戦によってはあるかも知れません。NATOつまりアメリカ軍を含む軍隊は、ロシア軍の「演習」を必死に分析して、事前に、能力、意欲、武器の詳細をかなりの程度知っていたと思われます。現代戦ではまず制空権を握るのが常道ですがロシア軍はそれを行うための計画、武器、能力を持っていないようです。その理由まではわかりませんが、おそらくシリア内戦から直近のチェチェン紛争に至るロシア軍が関与した軍事行動ではそのような現代戦をやる必要がなかったのでしょう。そのため陸軍を中心に作戦を展開する、(しかもその陸軍の練度が極端に低い)という種類の成功体験があるために、侵攻前からNATOの分析チームのアドバイスで実力を急速に付けたウクライナ軍をいまだに粉砕できていないのだと想像します。単なる推測ですが、ロシアの無線を傍受できるために、ウクライナ側は妨害電波を使わないのだろうと思います。
残りは明日に。
今回ウクライナ侵攻の前に、ロシア軍は国境近くで、「演習」をしていたとされていました。軍事演習とはどんなものをいうのでしょうか。普通、軍事演習とは、単に兵器の使用法習熟、連絡手段の確認などをするのではありません。兵力を2分し、相互に戦わせます。例えば、日米の軍事演習だとしますと、Aチーム、Bチームが、おのおの日本とアメリカの軍隊から編成され、一定の条件を与えて、AチームとBチームを戦わせます。もちろん、実際にミサイルを発射したり、実弾で発砲したりはしません。相手の武器、戦力を知らない、相手の軍事目標を知らないなどの条件下で、Aチームは与えられた任務を全うするためBチームの行動を予測し、兵力を使って任務を遂行しようとします。Bチームは相手の目的を推察し、それを妨害し、可能であれば反撃して、弱体化しようとします。今流に言えば、司令部と前線とはどのようにして通信をするのかを知り、「敵」(=相手チーム)に妨害されないようにしながら、敵を最大限妨害するようにします。あるいは、ドローンを持っているのかどうかによって戦術が変わるでしょう。あるいは上陸地点を予測し、兵員を割き迎撃ます。このようにして、実戦さながらに、両チームが真剣に戦います。自衛隊がアメリカ軍(空海陸)が軍事訓練あるいは演習をする、というのは実際に殺傷することはしませんが、その一歩手前まで総力を尽くして戦います。そしてその判定をジャッジ役の司令官が行います。「演習完了。Aチームは目標達成した」という具合です。当然、「敵国」側が勝つと判定されることもありえます。そして、演習後、両チームが一堂に会してなぜうまく行ったのか、なぜ失敗したのか、どうすればより良かったのかを分析して、次回の演習(場合によっては実戦)に役立てます。これが普通の軍事演習です。そして、肝心なポイント、それは、最初に敵の通信網を徹底的にnullifyすることです。お互いにそれを知っているので、現代戦の場合には、戦場では、妨害電波が徹底的に飛び交います。当然、敵ミサイルの目標補足機能もnullifyする必要があります。その中で自軍だけで通じる通信網を機動性を失うことなく構築、維持せねばなりません。同様にして、例えば、冬期の北海道で演習が行われればそれはロシアの侵攻を想定したものになります。似たような演習が行われている場合でも、それは条件が異なるように設定されていますので、似たものとは呼べない演習になります。
以上のことを知っていると、1,2箇月あるいはそれ以上にわたり、ウクライナ国境に展開していたロシア軍は一体何の演習をしていたのか疑問が湧いてきますね。ウクライナ軍はロシア軍を歓迎してくれる、のであれば、まともな演習は必要ありません。でも真剣な演習をするのであれば、ウクライナ軍は友好的ではない、ということになり、明らかな矛盾があります。加えて、ロシア侵攻開始後、日中に、戦車が隊列を組んで、道路を進んでいる写真を我々は侵攻初期に見ましたが、あんな素人のような、カモ・ネギ(鴨・葱)式行軍を誰が命令したのでしょうか。実戦であれば、密集しているために敵から次々に攻撃を受けて標的にされてしまいます。これが演習だったら、ジャッジ役は、たとえば「ロシア軍の現場の戦車は50%全壊、50%損壊、乗務兵員は全員捕虜」と判定するでしょう。当然、ウクライナ軍は相手の弱いところを突いてくるはずですので、その軍事常識のなさからどの部隊が素人集団かはすぐに判定できます。ロシア兵の練度が低いためにウクライナ側攻撃部隊が反撃されることのリスクはかなり低くなります。ロシア人将校が狙撃などで最低でも7,8人殺されたそうですが、彼らはおそらくこのような役立たず部隊を指揮する将校だったのではないでしょうか。また、演習中は、他国に情報が漏れないようにする必要がありますが、国境でやっていたのでは、もしウクライナ側にNATOのチームがいたのであれば(大チームがいたはずですが)、電波などの傍受は容易だったでしょう。
ロシア軍の無線がウクライナ軍に傍受されていたとのことですが、ロシア軍では妨害電波、暗号化をしていなかったのでしょうか。どうもしていなかったと思います。私のwild guess ですが、おそらくロシア軍が国境で「演習」なるものをしている時から、アメリカand/or NATOの将兵はウクライナに入り、ロシア軍の演習を近距離でウォッチしていたと思います。当然ながら、2,3箇月あれば、ロシア軍の弱点を探っていたはずで、それに合わせて、侵攻後はアメリカから兵器の供給が行われていると思います。TVなどで報道される武器供与のリストはただのカモフラージュです。自分がどのような武器を持っているかの詳細を公言して実戦をやるおバカはいないと思います。公言する場合は、敵が防ぎようがない、圧倒的な武器を自軍が持っている場合に相手にプレッシャーを与えるために、ということは作戦によってはあるかも知れません。NATOつまりアメリカ軍を含む軍隊は、ロシア軍の「演習」を必死に分析して、事前に、能力、意欲、武器の詳細をかなりの程度知っていたと思われます。現代戦ではまず制空権を握るのが常道ですがロシア軍はそれを行うための計画、武器、能力を持っていないようです。その理由まではわかりませんが、おそらくシリア内戦から直近のチェチェン紛争に至るロシア軍が関与した軍事行動ではそのような現代戦をやる必要がなかったのでしょう。そのため陸軍を中心に作戦を展開する、(しかもその陸軍の練度が極端に低い)という種類の成功体験があるために、侵攻前からNATOの分析チームのアドバイスで実力を急速に付けたウクライナ軍をいまだに粉砕できていないのだと想像します。単なる推測ですが、ロシアの無線を傍受できるために、ウクライナ側は妨害電波を使わないのだろうと思います。
残りは明日に。