字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2022年04月

今日は英語を少し離れてどうでも良い話を2,3…  『ゼロ・グラビティ』の語句解説は明後日に。

今回ウクライナ侵攻の前に、ロシア軍は国境近くで、「演習」をしていたとされていました。軍事演習とはどんなものをいうのでしょうか。普通、軍事演習とは、単に兵器の使用法習熟、連絡手段の確認などをするのではありません。兵力を2分し、相互に戦わせます。例えば、日米の軍事演習だとしますと、Aチーム、Bチームが、おのおの日本とアメリカの軍隊から編成され、一定の条件を与えて、AチームとBチームを戦わせます。もちろん、実際にミサイルを発射したり、実弾で発砲したりはしません。相手の武器、戦力を知らない、相手の軍事目標を知らないなどの条件下で、Aチームは与えられた任務を全うするためBチームの行動を予測し、兵力を使って任務を遂行しようとします。Bチームは相手の目的を推察し、それを妨害し、可能であれば反撃して、弱体化しようとします。今流に言えば、司令部と前線とはどのようにして通信をするのかを知り、「敵」(=相手チーム)に妨害されないようにしながら、敵を最大限妨害するようにします。あるいは、ドローンを持っているのかどうかによって戦術が変わるでしょう。あるいは上陸地点を予測し、兵員を割き迎撃ます。このようにして、実戦さながらに、両チームが真剣に戦います。自衛隊がアメリカ軍(空海陸)が軍事訓練あるいは演習をする、というのは実際に殺傷することはしませんが、その一歩手前まで総力を尽くして戦います。そしてその判定をジャッジ役の司令官が行います。「演習完了。Aチームは目標達成した」という具合です。当然、「敵国」側が勝つと判定されることもありえます。そして、演習後、両チームが一堂に会してなぜうまく行ったのか、なぜ失敗したのか、どうすればより良かったのかを分析して、次回の演習(場合によっては実戦)に役立てます。これが普通の軍事演習です。そして、肝心なポイント、それは、最初に敵の通信網を徹底的にnullifyすることです。お互いにそれを知っているので、現代戦の場合には、戦場では、妨害電波が徹底的に飛び交います。当然、敵ミサイルの目標補足機能もnullifyする必要があります。その中で自軍だけで通じる通信網を機動性を失うことなく構築、維持せねばなりません。同様にして、例えば、冬期の北海道で演習が行われればそれはロシアの侵攻を想定したものになります。似たような演習が行われている場合でも、それは条件が異なるように設定されていますので、似たものとは呼べない演習になります。

以上のことを知っていると、1,2箇月あるいはそれ以上にわたり、ウクライナ国境に展開していたロシア軍は一体何の演習をしていたのか疑問が湧いてきますね。ウクライナ軍はロシア軍を歓迎してくれる、のであれば、まともな演習は必要ありません。でも真剣な演習をするのであれば、ウクライナ軍は友好的ではない、ということになり、明らかな矛盾があります。加えて、ロシア侵攻開始後、日中に、戦車が隊列を組んで、道路を進んでいる写真を我々は侵攻初期に見ましたが、あんな素人のような、カモ・ネギ(鴨・葱)式行軍を誰が命令したのでしょうか。実戦であれば、密集しているために敵から次々に攻撃を受けて標的にされてしまいます。これが演習だったら、ジャッジ役は、たとえば「ロシア軍の現場の戦車は50%全壊、50%損壊、乗務兵員は全員捕虜」と判定するでしょう。当然、ウクライナ軍は相手の弱いところを突いてくるはずですので、その軍事常識のなさからどの部隊が素人集団かはすぐに判定できます。ロシア兵の練度が低いためにウクライナ側攻撃部隊が反撃されることのリスクはかなり低くなります。ロシア人将校が狙撃などで最低でも7,8人殺されたそうですが、彼らはおそらくこのような役立たず部隊を指揮する将校だったのではないでしょうか。また、演習中は、他国に情報が漏れないようにする必要がありますが、国境でやっていたのでは、もしウクライナ側にNATOのチームがいたのであれば(大チームがいたはずですが)、電波などの傍受は容易だったでしょう。

ロシア軍の無線がウクライナ軍に傍受されていたとのことですが、ロシア軍では妨害電波、暗号化をしていなかったのでしょうか。どうもしていなかったと思います。私のwild guess ですが、おそらくロシア軍が国境で「演習」なるものをしている時から、アメリカand/or NATOの将兵はウクライナに入り、ロシア軍の演習を近距離でウォッチしていたと思います。当然ながら、2,3箇月あれば、ロシア軍の弱点を探っていたはずで、それに合わせて、侵攻後はアメリカから兵器の供給が行われていると思います。TVなどで報道される武器供与のリストはただのカモフラージュです。自分がどのような武器を持っているかの詳細を公言して実戦をやるおバカはいないと思います。公言する場合は、敵が防ぎようがない、圧倒的な武器を自軍が持っている場合に相手にプレッシャーを与えるために、ということは作戦によってはあるかも知れません。NATOつまりアメリカ軍を含む軍隊は、ロシア軍の「演習」を必死に分析して、事前に、能力、意欲、武器の詳細をかなりの程度知っていたと思われます。現代戦ではまず制空権を握るのが常道ですがロシア軍はそれを行うための計画、武器、能力を持っていないようです。その理由まではわかりませんが、おそらくシリア内戦から直近のチェチェン紛争に至るロシア軍が関与した軍事行動ではそのような現代戦をやる必要がなかったのでしょう。そのため陸軍を中心に作戦を展開する、(しかもその陸軍の練度が極端に低い)という種類の成功体験があるために、侵攻前からNATOの分析チームのアドバイスで実力を急速に付けたウクライナ軍をいまだに粉砕できていないのだと想像します。単なる推測ですが、ロシアの無線を傍受できるために、ウクライナ側は妨害電波を使わないのだろうと思います。

残りは明日に。

なるべく広いソースから「教材」を取りたいので、今回はSFから。どうしてもCGに重心がありますが、アメリカでTVドラマなどを見るための聴き取り力を付けたいのであれば、このジャンルも経験しておいた方が良いでしょう。軽い映画です。いくつかのアメリカンなidiomsがあります。

★ ★ ★ ★ ★

映画: 『ゼロ・グラビティ』(原題: Gravity)
公開:   2013

ジャンル:SF

時間: 91min

脚本:  Alfonso Cuarón

原作: -

監督: Alfonso Cuarón

配役: Sandra Bullock as Ryan, and George Clooney

あらすじ:
地球周回軌道上の宇宙船で船外活動をする宇宙飛行士たち。そこに他の宇宙船の残骸が衝突してから、die hardなストーリーが展開します。果たして帰還できるのでしょうか。

聞き所: 目の色を軽いジョークにするところが2か所あります。他にもクスッと笑えるところが何か所かあります。宇宙空間での事故の最中にこんな軽いことが言えるなんて…

訛り: なし

私の評価:
エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★★ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★ 少ない
早口度     早い   ★★☆ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い 
------------------------------------------------------
合計           9★(満点15★)

台本総語数:5.5k   普通の映画の約半分 

スピード:    5.5k/91=120 wpm  やや遅いですが、CG画像が中心のためそうなるだけでしょう。  

難解語割合: 47/5.5k=0.85% 少ない

予告編:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)


スクリプト:
https://www.springfieldspringfield.co.uk/movie_script.php?movie=gravity

コメント:
CGがかなり良い出来です。普通、SFには非物理学的なシーンがあるものですが、これにはないと思いました。少し怪しいところがありますが、それはご愛嬌ということで。

本日はこのブログで「言葉の散歩」と呼ばれるもの。英語という言語の、単語の大都会を散歩します。

Galileo Galilei、申し上げるまでもなく、偉大な科学者です。或る本を読んでいて、永年の疑問が解けました。彼は振り子の等時性を発見したとされています。でもどうやって?ストップウォッチ片手に測ったとは思えませんよね。その本にはこうあります:

Galileo is famously supposed to have used his pulse to time the swing of a lamp while sitting through what was probably a very boring sermon in the cathedral in Pisa. The 19-year-old Galileo noticed that time it took for an altar lamp to complete its gentle swing (its period) depended on the length of the chain holing the lamp and not on the angle of the swing (the amplitude). The idea of the constant swing of a pendulum was born, accurate clocks became possible as a regular cycle of motion was recognized, and Western civilization changed.   "RHYTHMS of LIFE"  Foster & Kreitzman, Profile Books paperback 2005

念のためwikiも調べると、やはりheartbeatを使って…という意味のことが書かれていましたので、十分妥当性のある見解なのでしょう。教会のベンチに座りsermonを聞きながら、altar lamp 祭壇のランプ、この場合は単なる、ロウソクを天井から吊る器具のことでしょうが、その運動を見て、振り子の周期は振れ幅に関係ないが、振り子の長さに関係する、ということを自分の心音で測定する…やはり大天才にはさすがと思わせる何かがあるものなのでしょう。ニュートンのリンゴよりも説得性があります。しかもその時19歳!そして、その発見が西欧文明を変えた!?

さて、Galileoに関するwikiには次の一文がありました。tautochroneという言葉に注目して1行だけ読んでみましょう:

It was not until the work of Christiaan Huygens, almost one hundred years later, that the tautochrone nature of a swinging pendulum was used to create an accurate timepiece.

この語は、振り子の「等時性」を意味する語だろうと推測可能ですね。後の方の-chronとは、chronicle chronometer などで、使われている言葉で、元はギリシャ語のkronosです。これがラテン語、フランス語、英語という順で伝播しました。(なお、この人名は「ホイヘンス」のことで、日本語のそれはオランダ語に忠実なのでしょうが、英語では/háigənz/ と発音します。)では、前の tauto- とは何か?実は語源辞典を調べても出て来ませんでした。代わりに、tautology という言葉がありました。主に2つの意味があり、(1)類語反復、(2)論議学でいう、トートロジー(同語反復)で使われます。つまり、tauto- とは、「同じの」を意味する言葉のようです。tautology は、同じ言葉が繰り返されることを言います。例文を見つけました:

Alice started her presentation with a short summary.

たしかに、short summary というのは tautological ですよね。summary だけで十分。でも、実際にはshort summary はよく使われるような気がします。もうひとつ:

Let's order a hoagie sandwich.

このhoagie という言葉は、別の綴りだと男性のnicknameですが、US New England地方では、横長のサンドイッチのことです。Subwayというチェーンで出す「サンドイッチ」は、実は、Subwayの生まれ故郷のCT州ではhoagieと呼びます。でもそれよりは、all US だと、普通の sandwich という言葉の方がビジネスには向いていますよね。ところで、「同じの」を意味する別の、もっと知られたパーツがあります。それは iso- です。isomer などで使われます。今回 tauto- iso- の区別を調べようと思いましたが、わかりませんでした。hoagieの発音は hard -g- です。

なお、tautology と anaphora は似ていますが、前者は同じ言葉を重ねることを指し、後ろは、修辞学の用語で、同じ文を「段落」の冒頭で反復することを指します。Martin Luther King, Jr.の I have a dream speechで、彼が I have a dream と何度も繰り返しているのが有名です。下記にアーカイブされています(今気づきましたがYouTubeのclipをまだ扱っていないようですので、それは近日中に。):

http://blog.livedoor.jp/sttl/archives/24633390.html

これは取り上げるにはちょっと風変わりな曲です。タイトルは "Luka" 、ASでは Luke という名前です。Lukasはたしかドイツ系です。ということは、この名前の人はイタリア人かスペイン人でしょうか。ということは、宗教はカトリックだろうということになります。このビデオの背景はNYCですので、マンハッタン、Luka ということでおそらくタイトルの名前はイタリア系の人物(少年)がタイトルになっているはず、と言う程度には多くの方はすぐ辿り着くでしょう。

ただ、歌詞の内容はchild abuseです。思い、希望、喜びを歌うものではありません。この点でちょっと変わっています。では聞いてみてください。(この文章は以下に続きます。)


彼女の風貌も歌唱もラテン系をイメージさせるものはありませんね。

当時の1980年代だけではなく、アメリカでは昔から、child abuse が問題になっていました。そんな現象を、歌にしたものなのでしょう。

特に明確な物語やメッセージがあるわけではなさそうです。でも、歌詞を丁寧に聴くと、これはおそらくアパートメントの入り口の階段で座って泣いている少年と歌のオーディエンス(あなた)との会話なのでしょう。というのも「あなた」は1階に住んでいますので、利用する階段は、入り口のところしかありません。ちなみに、アメリカの階層の数え方は日本と同じです。歌は、何かを描写するだけではなく、人に勇気を与えたり、アピールしたり、告発したりするものなのでもあるのですね。もし聞き取れない言葉があれば、下記でチェックできます:
https://www.azlyrics.com/lyrics/suzannevega/luka.html

この歌を聞いて、私が思い出した映画は『 チョコレートドーナツ』"Any Day Now"です。child abuseで。傑作です。このブログでその映画を紹介したサイトは以下にあります:
http://blog.livedoor.jp/sttl/archives/28626086.html

先日のテレビで、なぜロシア国民はプーティンを追放しないのか、という質問に、日本人のロシア研究者の答え。プーティンと彼の仲間が(国富を)盗んでいることは誰でも知っている。別の誰かに代わっても同じことが続くはず、と大半のロシア人は感じているから、と答えていました。おそらく、統治者が別の誰かになってもプーティンとほぼ同じだ、ということでしょう。

私にはかなり説得性がありました。でも、それって、別にロシアに限ったことではなくて、中国でも、北朝鮮でも似ているはず。でも、さらによく考えると、日本でも似た状況では?若者が投票に行かないので、どの政党も若者の意見、利害を代表する、という考えを持っていませんよね。先日は、某政党の案で、高齢者ひとりにつき一律5千円支給、という話が報道されていました。この政党はこんなバラマキをしてでも、老人の票が欲しいのですね。日本では1票の格差が甚大で、たしか都市部では田舎の5分の1の票の力しか持たないのだとか。若者は都市部に多く、年寄りは田舎に多いのでしょう。若者は怒らないのでしょうか。なぜ日本の若者は投票に行かないのでしょうか。それはロシア、中国などの独裁国家と同じで、若者はそれで何も変わらない、と思っているから…

さて、このようなマインドは心理学の用語で「学習性無力感」と呼ばれます。今回話題にするので、改めてwikiをチェックして、私が昔読んだ本に書かれていたことと少し違うことを初めて知りました。おそらく今英文のwikiに書かれていることの方が、正しいのだろうと想像します。(私の知っている実験内容は少し単純化したものだったのですが、英文のwikiの方には実験の内容が少し変わったために、変更前、変更後の双方が簡潔に述べられています。)簡単な英文で、斜め読みで十分ですので、読んでみてください:

https://en.wikipedia.org/wiki/Learned_helplessness

この実験のキーパーソンはMartin Seligman という人です。1960年代とのことですので、現代では、さらに高度な実験が行われていて、もっと新しい知見が得られているのではないでしょうか。ポイントは、実験室の中および外において、人を無気力にするような条件設定が可能である、ということが示唆されていることです。つまり、生まれつきそうかどうかは、関係なく、生活においてある条件下に置かれると実験動物、おそらく人間も、前向きな気持ちを喪失する、ということです。

英語では、helplessnessの仲間の言葉が他にいくつかあります。昔、日本での若者の心の持ちようを表す言葉として、「アパシー」ということばが使われた時代がありました。たしか日本の大学の教授が使い始めたはずだと私は理解しております。それにも関わらず、apathy は M-Wのthesaurusの解説には出て来ません。その代わり、word of the dayで扱っていますのでチェックしてみてはいかがでしょうか。mp3での音声の解説があります:

https://www.merriam-webster.com/word-of-the-day/apathy-2009-04-29

おそらく、apathy の方は、単に無感動と呼ぶよりも、それは精神の病に達したようなレベルの話だと思います。一方で、心理学の専門家が書いたと思われる以下の文も見つけました。この事柄がいかに専門家にとっても難しいものかがこの捉えどころのない文を読んでよくわかります。熟読吟味するような対象ではありませんが、時間に余裕のある方は斜め読みしてみてください。昔メキシコ湾で起きた、大きな原油流出事故について言及しています:

https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-couch/201005/how-avoid-helplessness-and-apathy-in-the-face-natural-or-manmade-disaster

日本の若者は何をすべきか。どうすべきでしょうか。簡単です。今年の夏には参議院議員選挙があります。投票日などは未定ですが、これは必ずあります。参議院選挙の投票に行き、自分の選択を票にすれば良い、ただそれだけです。各人によるその行動が日本を良い方に変えるのです。その信念を持ち続けましょう。なお、私は公職の選挙では100%投票してきました。一度も棄権したことがありません。これからもそうするつもりです。

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