字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2021年05月

たまに店頭で手にした作品を見ます。これはそんな作品の一つです。

★ ★ ★ ★ ★

映画:『ルーパー』(原題 Looper)

公開:2012年

ジャンル:SF

時間:118分

脚本:Rian Johnson
 
原作:-

監督: Rian Johnson

配役:
Joseph Gordon-Levitt as Joe
Bruce Willis as Joe (Joe of the future)

あらすじ:
2044年のカンザス。変な超能力を操る顔役が町を仕切っている。Joeは、未来から送られてくる人物を殺す仕事を引き受けて、自堕落な生活をしている。ある日の仕事で、彼は失敗して、殺すべき人物を逃がしてしまう。彼はその人物が将来の自分であることを知る。そこから現在の自分対将来の自分の間の逃走、追跡が始まる。

聞き所:
残念ながら見つけられませんでした。

訛り:
なし。

私の評価:
エンタメ度   つまらない★★★ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★☆ 少ない 
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い 
-----------------------------------------
合計           10★(満点15★)

台本総語数:6.0k  平均より4割少ない

スピード:6.0k/118/2= 101wpm  数字の上では極めて遅いですが、聴感上も遅め。

難解語割合:95/6.0k=1.58%  やや多い

予告編:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)


このtrailerでは視覚効果ばかりが前面に出ていて、ストーリーの面白さが伝わって来ません。


スクリプト:
https://www.scripts.com/script-pdf/12809

少し間違いが目立ちますが、十分に役に立ちます。
stage directionのないscriptです

コメント:
time travelが関係しているため、ストーリーが少し入り組んでいます。ですが、viewerのために、十分に説明的につくられていますので、丁寧に言葉、ストーリーを追って行けば難しくありません。たとえば、looperとはどんな仕事なのか、などについて映画の中で説明されています。

将来の自分と現在の自分がダイナーの同じテーブルで向かい合うシーンがあります。将来の自分が後から来て注文します。にも拘わらず出て来た料理はまったく同じ。ちょっと笑えます。

監督の名前がRian(=Ryan)、これは典型的なIrish系の名前です。アメリカではPatと同じ位多い名前です。Ryanairという、有名なLCCがアイルランドにありますね。

先日のpost「Caucasianの由来は何か」で、Johann Blumenbachのことを書きました。自分で読んでみて、Blumenbachのことがかなり否定的に響くように書いているように感じました。それは私の本意ではありませんので、少し補記させていただきます。皆様のご参考になることがあるかも知れません。

そのpostのポイントを整理すると:
(1)Caucasianという言葉の由来は、Blumenbachが書いた論文である、
(2)Blumenbachは1個のCaucasia地方の頭骨を元にCaucasianの由来を論じた、

という点になります。私のpostは、「人種」の何かを論じるのではなく、Caucasianという言葉の由来を述べようとしております。

Blumenbachの最初期の論文は15ページであったようですが、その後出版に際して何度か改定が行われ、最終的には数百ページの本になったようです。これが提示したURLで読める本です。

リンネのtaxonomyに即して申しますと、ブルーメンバッハは、チンパンジーのラテン語名Pan troglodytes (Blumenbach, 1775)に貢献しているようです。(ただし、私は専門家ではありません。別の説、Lorenz Oken が1816年に命名、もあります。また、リンネ自身がtroglodytesと付けた、という説もあります。troglodytesの意味は古代ギリシャ語で「穴に住む人」を意味する2つの語をつなぎ合わせたものだそうです。ですが、チンパンジーは穴に住む動物ではありませんので、妥当性についてはかなり疑わしいでしょう。彼は植物学者です。いずれにせよ、私は本件ではまったくの素人です。)

さて、Blumenbachのことを、別の事柄からご存知の方も読者の中にはいらっしゃるはずでしょう。それは近年論じられるようになった、「家畜化」「自己家畜化」という進化の形態について19世紀の学者で言及されるのは、チャールズ・ダーウィンと、このヨーハン・ブルーメンバッハです。ブルーメンバッハは、人類が他の類人猿との「仲間」であろうと考えていたらしく、人類の特徴としては、類人猿ほどには凶暴ではないために、それは一種の自己家畜化であろうと、考えていたようです。当時の人類考古学のレベルからすれば驚くほど先進的な説を彼は持っていたと私は思います。

自己家畜化についてですが、野生動物から人間の手で選択的に家畜化されて家畜ができます。たとえば、今日我々が「牛」という動物は野生には存在しません。牛は、オーロックスという野生動物を人間が選択的に改良して、乳牛、肉牛、労役牛などを作り出しました。そして野生のオーロックスは17世紀に最後の個体が死滅したことが記録されております。「自己家畜化」とは、人間の手を借りることなく、当該野生種が、自らの手で野生種とは違う別の種に進化したことを言います。チンパンジーとボノボは外見はそっくりですが、社会、個体の気質、文化などがまったく違います。ボノボはチンパンジーから派生して、独自の進化を遂げてボノボになったと考えられています。これが自己家畜化です。ブルーメンバッハは、そのようなことを漠然とではあったでしょうが、考えていたようです。

家畜化ということに関して最も有名な研究者はベリャーエフDmitri Belyaev 1917-1985という、ロシアの、野生のキツネの家畜化の研究で知られる人だと思います。彼は、多数の野生のキツネをケージで飼い、選択的に家畜化する過程で、あたかも野生のオオカミがイヌになったかのような、外見、気質、文化の変化を数代のうちに再現することに成功しました。 たしか最初の4、5代で人間(飼育係)になついて、シッポを振る個体まで現れたそうです。対象区の群もくつりましたが、こちらはまったく人間になつくことはなかったそうです。

本日は英語とは無関係の話題でしたが、これである程度ブルーメンバッハのことはバランスよく書いたと思います。彼の名前は、ダーウィン同様覚えておく価値があると思います。

有名人の英語を勝手に格付けするこのコーナー。本日は元F1ドライバーのMika Hakkinenです。wikiによると、彼の名前はMika Pauli Häkkinenと綴るそうです。1968年フィンランド生まれです。私はモータースポーツにまったく関心がありませんが、Mikaはあまりにも有名であり、あまりにも人気があります。今でも。F1というスポーツ自体ヨーロッパ人のスポーツですので、彼の人気は世界的というよりはヨーロッパ中心で、ということだろうとは思います。ドイツの、リハビリ中とされる、某氏とは雲泥の差ですね。私もMikaが大好きです。彼は私が知る限り数度Top GearというBBCの有名な自動車に関する人気TVショーに出演したことがあります。その時の記憶を元に検索してそのときのclipのひとつをYouTubeで見つけました。それが本日の教材です。

出演するホストはJames Mayという人で、現在はTop Gearには出ていません。あだ名はCaptain Slow、間抜な位に遅くしか走れない自動車評論家というわけです。Top Gearが、最高にくだらなくて、馬鹿馬鹿しかった時、つまり人気が今よりずっと高かった時の3人のホストの一人です。彼は軽飛行機の操縦免許を持ち、工具で車をいじるのが大好きです。このclip中で自分の性癖についてこのコーナーの中で語るところがあります。sisuという、フィンランド人が称揚する自国民の気質についてMikaとJamesが語るところがあります。聴き取るべきポイントを上げますと:
  • sisuについて語る。このコーナーで語られるsisuとはどのようなものか?(情報はやや限定的)
  • Jamesの工具の並べ方はsisuか?
  • Jamesがカーレースに参加します。そのカーレースのユニークなルールが説明されます。申し出がある場合には、所有者は自分のクルマを売らねばなりません。それはなんのため?
彼の英語を格付けすると、最上級でしょう。彼の英語はほとんど訛りがありませんが、強いて言えば外国人風のすこしこもった口調があります。でもそのわずかな外国人風の口調から彼がFinnishであるかどうかを言い当てることは、私はできません。一般的にScandinavianは英語が上手です。でもそれはスウェーデン語、ノルウェー語などがゲルマン諸語に属するという側面が大きいでしょう。フィンランド語はゲルマン諸語ではありません。先祖はどこかウラル山脈近くから移動して来たとされています。アジア系の言語です。印欧祖語由来ではありません。たしか名前は本来的には我々と同じ姓、名の順に書くはず。(100%の自信ではありません…)勤勉さだけが彼に英語をマスターさせたのでしょう。

wikiの彼に関するページには彼のacademic backgroundが書かれていませんが、もしかするとフィンランド人全体はたいした学校を卒業していなくても流暢な英語を話すのかも知れません。彼はレース中、F1の運転席に座り、200km/h以上の速度で走りながら彼の監督とトーキーで話をしていたわけですので完璧に英語を操れることは間違いないでしょう。

なお、sisuは英語に入っているとはまだ言えない言葉です。おそらくミカ等の貢献でそれがヨーロッパの知的な人々に知られるようになったのだと思います。このせいか、英語ではsisuのadjective formはないようです。今回かなり検索しましたが見つかりませんでした。ご参考ながら、LinuxというOSは開発したフィンランド人の名前に由来します。

なお、フィンランドという小国はかつてスウェーデンの植民地だった時代があります。現在我々の知るフィンランドの地名の多くはスウェーデン語による場合が少なくありません。英語に入ったフィンランドの地名で、少なからぬものにその傾向があるようです。加えて、ロシアの衛星国であることは間違いありません。でもどこかユニークですよね。他の、東欧の衛星国はみなロシアの軍事力の元にねじ伏せられて、ロシアが瓦解するまで力づくで屈服を強いられましたが、フィンランドは自分で選んだ統治者、議会を持っていました。かつては、Finlandizationという言葉があり、中立のように見えるが実はソビエトの影響下にある、という意味(あるいは、使う人によっては、それに近い別の意味)を持っていました。カレリアという国境沿いのエリアの帰属をめぐり、フィンランドとロシアは戦争まで行いましたが、改めて、大きな地図でそのエリアを見ると、いたるところに氷河湖がのこる、湖沼地帯です。戦争までやる価値があったのかどうか疑問です。ジャン・シベリウス作曲のFinlandiaは独立を鼓舞した曲だと当時のフィンランド人は解釈したそうです。




大航海時代に、ポルトガル人(船員、宣教師、商人)は異人種を格付けしていたそうです。日本人は、黄色人種にしては皮膚の色が薄く、清潔だったので、白人と同じランクに入れてくれたそうです。あるいは「ほぼ同じ」ということだったのかも。当時はポルトガルは大帝国でした。他の黄色人種は、私が知る限り黒人と同じランクだったそうです。色々な事情が背後にはあったのでしょう。昔、私はブラジル(本当に人種のルツボというべき多民族国家)に入国するためのvisaを申請するとき、colorという欄があり、mediumと旅行代理店の人(白人)がタイプしてくれていました。白人と黒人の中間というわけです。ブラジルはポルトガルの「出店(でみせ)」ですので、数百年の間に日本人はランク落ちしたようです。もしvisaが必要だとしても、今でもそんな欄があるのでしょうか。どんな単語を使っても、人種(皮膚の色)をニュートラルに扱うことはできないでしょう。必ず、racism本体あるいはその影が付きまといます。

さて、アメリカ人と話していると、昔、白人を指す言葉としてCaucasianあるいはCaucasoidという言葉が登場することがありました。(それは昔の話。今でもそうかどうかはわかりません。)日本語でいえば、それの元の言葉はコーカサスでしょうが、昔は日本語で「カフカス」とも呼ばれました。いつも、なぜCaucasianなのだ、と疑問に思っておりました。ノアの方舟が流れ着いたのはこの辺りだったから?etymonlineによると、以下の説明があります:

Caucasian (adj.)
1807, of or pertaining to the Caucasus Mountains (q.v.), with -ian. Applied to the "white" race 1795 (in Latin) by German anthropologist Johann Friedrich Blumenbach (1752-1840), who in his pioneering treatise on anthropology distinguished mankind into five races: Mongolian, Ethiopian, Malay, (Native) American, and Caucasian. In the latter group he included nearly all Europeans (except Lapps and Finns), Armenians, Persians, and Hindus, as well as Arabs and Jews. His attempt at division was based on physical similarities in skulls.
blumenbach
Blumenbach had a solitary Georgian skull; and that skull was the finest in his collection: that of a Greek being the next. Hence it was taken as the type of the skull of the more organised divisions of our species. More than this, it gave its name to the type, and introduced term Caucasian. Never has a single head done more harm to science than was done in the way of posthumous mischief by the head of this well-shaped female from Georgia. [Robert Gordon Latham, M.D., "The Natural History of the Varieties of Man," London, 1850]
The word has long since been abandoned as a historical/anthropological term. Compare Aryan.

words:
treatise 論文
solitary=a single
long since see the main text below

下線部 long since は、もしかすると注目に値するかも、と思って丸ごと引用しました。その文をじっと眺めても、品詞(あるいは文の中での機能)がわかりそうですが、文法では習わなかったと思います。そのまま覚えるのがよろしいかと思います。意味は「歴史学的、人類学的用語としては遺棄されて久しい」ですが、なぜかそのような表現でのみ見かける言葉だと思います。(←あくまでも素人である私個人の意見に過ぎません。)昔私が学生だった頃に見かけたような記憶があり、再度見るとはちょっと驚きです。おそらくetymonlineが引用した元の文が古風なのでしょう。ところで、なんと彼Blumenbachはこの論文でドイツの下記の大学の教授職を得たと書かれていました。

taxonomyという言葉があり、日本語では「分類学」という訳語が当てられます。彼は人間を5つのタイプに分けました。上記の通り、Caucasian, Mongolian,...という具合です。元の著作はラテン語で書かれており、15ページだけだそうです。一言でいえば、かなり怪しい説で、資料(証拠)もものすごく限られていますね。カール・フォン・リンネの植物分類の提唱Linnean taxonomyが1735年ですが、それが後の科学に与えた影響は絶大であることに比べると、ほとんど意味のない論文だったと思います。ただ、Caucasianという言葉を白人種の意味で用いた最初はそれだったというわけです。しかもその根拠が1個だけ持っていたグルジア(ジョージア)人の頭骨だった、というわけです。だったら、CaucasianではなくてGeorgianでも良かったのでは、と私は思います。

彼はできたばかりの大学University of Göttingenで教授になりましたが、この大学には別の正式名称があり、Georg August University of Göttingenと言います。これはThe House of HanoverあるいはHanoverian Dynastyと呼ばれる、イングランドのハノーヴァー朝の初代王(George I)の出身地ですね。設立は イングランドの王George IIによりますので、その名前が付けられたようです。イングランドの国王がドイツに大学というのは驚くしかありません。このため当時のイングランドの知識人階級への影響力はかなり大きかったと考えられるようです。平たく言えば、ドイツで流行っていた学説であれば、それはイングランドで注目された、というわけです。これがCaucasianという言葉が、taxonomyとして英語に入ってから定着した理由のようです。なお、Georg「ゲオルク」がドイツ語に近い表記ですが、英語とフランス語ではGeorgeと綴ります。英語では「ジョージ」フランス語では「ジョルジュ」と発音されます。

まあ、何とも底の浅い話だったというわけです。彼の著作がアーカイブされています。ラテン語で書かれていますが、彼の名前はLatinizeされておらず、BLVMENBACHとだけなっています。
https://archive.org/details/degenerishumaniv00blum/page/26/mode/2up

アメリカで現代でもCaucasianという言葉が使用されているように私は感じますが、同じことをあるコラムニストが指摘し、その理由は独立時からのアメリカの移民政策にあるという説明をしています。この点の説明を省略しますので、気になる方は下記をチェックしてみてください:

Why Do We Keep Using the Word “Caucasian”? Yolanda Moses / 1 FEB 2017


先日、このブログで、チェロキーアルファベットなるものを扱いました。ラテン文字は、ラテン人から見て、西へ西へと世界が拡大して、北米大陸で、チェロキー族が独自のアルファベットを生み出す、言わば「触媒」のような役割を果たしたわけです。ではその東ではどうだったのでしょうか。これ自体がかなり壮大なドラマです。ですが、我々の主な関心の対象である英語という言語とはほぼ関係ありませんので、軽く1話に収まるようコンパクトにお話いたします。とは言え、普通のブログの軽さから見るとかなりの長編物であることには変わりがありませんけど…

その前に、地中海世界で文字の歴史に関係するときに、ほぼ常に登場する2つの民族、フェニキア人とエトルリア人が登場しますが、実は両方ともほとんど証拠らしきものを残していません。(控え目に言っても、たいしたものは未だに発見されておりません。)エトルリア人と後に呼ばれる人々が実在したらしい、ことはかなりはっきりしていますが、それを確実に補強する証拠はほとんどありません。フェニキア人も同様です。その理由の一つは、おそらく多くの場合、彼らはパピルスに文字を書いたために、証拠が残っていないため、と言われています。個人的にはちょっと疑っております。彼らは石に彫ることが好きだったはずですので、ちょっとおかしいと、私は思います。将来的にはもしかするとまったく、我々の予想していなかったような証拠が出てきて、まったく異なる説に移行することがありえるかも知れません。(それに対してギリシャ人のアルファベットの場合は、石に彫られたり、陶片に書かれたものが存在するので、十分な証拠があります。)

なお、私はまったくキリル文字を解しませんので、字面の引用もいたしませんが、以下のwikiにてその異国風の形を見ることができます:https://en.wikipedia.org/wiki/Cyrillic_script


さて、エトルリア人からアルファベットをならったラテン人の文字体系がヨーロッパの西側に伝わりました。エトルリア人はギリシャ人から教わりました。ということは、ギリシャ文字は東側のスラブ民族のエリアにも伝わったはず。その名前は「キリル文字」です。キリルは、人名に由来します。中世の(ギリシャ)正教会が今のチェコあたりに送り込んだ聖職者キュリロス、St Cyrilが発明した文字体系と言われています。彼は、現地の人々に文字を伝えて、伝道をやりやすくするために、ギリシャ文字を元に作り出されました。なお、Cyrilは聖人となっていますので、St Cyrilと表記されます。発音ですが、英語ではCyril /sírəl/、Cyrillic /sirílik/ です。 発音から見て、おそらく日本語にはラテン語経由、つまりは、キリスト教経由で入って来たためだろうと私は思います。

lemma: Cyrillic    (quoting etymonline)

1842, in reference to the alphabet adopted by Slavic people belonging to the Eastern Church, from St. Cyril, 9c. apostle of the Slavs, who supposedly invented it. The alphabet replaced earlier Glagolitic. The name Cyril is Late Latin Cyrillus, from Greek Kyrillos, literally "lordly, masterful," related to kyrios "lord, master" (see church).

さて、上記の説明は、現代では間違いと言われています。従って、もしあなたが自分で調べようとする場合、上記の説明に出合うことがあるかも知れませんが、それは古い説だと思った方が良いでしょう。最近の説では、St Cyrilが造った文字は、Cyrillicではなく、Glagolitic alphabet、グラゴル文字だと言われています。Glagoliticは少し変わった形をしていて、まあ、Cyrillicの仲間と言っても良さそうですが、今日では別の文字ということになります。キリルの弟子たちは別の文字を開発し、それが、現在我々がキリル文字として知る文字体系になったそうです。ややこしいのは、その弟子たちは、キリルをしのびその文字にキリルという名前を与えたために誤解が生じたようです。現在のブルガリアにあたる地区では、CyrillicとGlagoliticは併存していた時代(9世紀頃)がありましたが、Cyrillicの方が支持されて、やがてスラブ系の人々の間で主要な文字体系となって行ったと言われています。

チェロキー・アルファベットでもキリル文字でも、オリジナルのもの(それぞれラテン・アルファベット、ギリシャ・アルファベット)をそのまま輸入した方が良かったような気がします。わざわざ新しいものを発明する、というのはなぜだったのでしょう。ただチェロキー族の言葉を表記するには、ラテン・アルファベットでは不十分だったかも知れない、という程度の想像は可能です。現代の、スラブ系のハッカー達は、どんな文字でプログラムを書くのでしょうか。おそらくキリル文字ではなく、ラテン・アルファベットで書くはず。

なお、このブログの趣旨から外れますので、極簡単に書くと、フェニキア人のアルファベットはアラム語のアルファベットとなり、やがてそれからアラビア文字が造られます。やがて、それがさらに東へ伝わりモンゴル文字となりました。また、ペルシャからインドにかけてのエリアの文字(ブラーフミー等)もおそらくフェニキア人のアルファベットが元になっているようです。アラム語とは今日のシリア辺りの言語で、キリストが生存した当時、このエリアのlingua francaであったとetymonlineで説明されています。キリストがアラム語を使ったということは確実なようです。

こうして見てくると、大本のエジプト文字がレバント地方に伝わり、それから一気に単純化され、広まって行ったということになりますね。なお、エジプトの文字としては、最も知られたものは、ヒエログリフですが、それ以外にヒエラティックまたは神官文字、デモティックまたは民衆文字として知られるものがあり、ギリシャ文字のベースになったのは、デモティック Demoticです。British MuseumにあるRosetta Stoneには、ギリシャ文字、デモティック、ヒエログリフの3つの文字が彫られています。このために、シャンポリオン Jean-François Champollionによるエジプト文字解読が一気に進みました。

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