本題の前にSesame Streetの話を。昔NHKの3チャンネル(現在名Eテレ)が、Sesame Streetを放送しておりました。このブログは映画の聴き取りに特化しようとしております。その要件の1つは、学習者がtranscriptを入手して、自分が正しく聞けているかどうかをチェックする必要です。このためtranscriptがない教材を聴き取り用に取り上げることはないのですが、YouTubeの存在感が大きい時代ですので、Sesame Streetの紹介だけでもしてみようと思って3分位のclipを探して、以下のものを見つけました:
英語圏で対象とする視聴者は子供で、中にはヒスパニック系の子供も含まれているため、あまり難しい話はありません。ですが、多くのclipはわかりやすく、聴き取りやすいので、一定のレベル以上の方には参考になるかも知れません。今回取り上げたこのclipを100%近く聞き取れるのであれば、あなたがこのブログをチェックする必要はなさそうです。むしろあなたが堅苦しい話題ばかりを教材に選んでいるのであれば、このような軽めのものも良いかも知れませんよ。英語のこんなclipでもpunch lineがちゃんとあるのがわりますね。
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さて、英語というのは私にとっては、未知の世界への案内役のようなものです。英語があるおかげで、色々な記事、本を読んで、普通の日本人が知らないようなことを知ることができます。しかし、英語があるおかげで物が見えなくなることもあるのだろう、とも想像することがあります。しかし、最近はその経験がないので忘れていましたが、今回調べ物をしていて、「英語なしの方が手っ取り早い」という経験をしました。それを報告させていただきます。
それは「ゴム」です。ゴム、これは何語でしょうか。日本語にはオランダ語から来たようです。オンライン辞書を駆使するとオランダ語でのゴムは数個あるようです。以下のうち、gomが日本語に入った語でしょう。
rubber condoom elastiek gummi gom kapotje vlakgom
他の字面を見ると、gummiとは、ドイツ語のゴムdas Gummiそのものですね。(オランダ語はドイツ語の一方言だと私は認識しております。)発音は「グミ」です。
フランス語ではcaoutchouc(キャウチュウ)ですが、実はフランス語で消しゴムのことはgomme(ゴム)と言います。英語のrubberはほとんど、あるいはまったく貢献してくれませんでした。
ヨーロッパ人とゴムの木の出会いは、なんとコロンブスにまでさかのぼるのだそうです。Wikiによると、コロンブスは彼が寄港した土地で、現地の人がゴムボールを弾ませるのを見て驚いたそうです。ですが、その後しばらく変化はなく、1736年にフランス人、シャルル=マリー・ド・ラ・コンダミーヌ(Charles Marie de La Condamine)が南米で、現地人がゴムで加工品を作っているのを見た、ということがWikiに書かれています。そう、勘の良い方は気づいたはず。もしかしてこの人の名前がcondomの由来?
実はcondomの語源は、学者の間では、uncertainとされています。etymonlineによるとcondomの初出が1706年とのことです。ということは、de La Condamine先生が1736年にうんぬん、という話と時間的に整合性がありませんね。語源は皆目見当がつかないが、でもその単語が何を指すかほぼ世界中の人々が知っている…考えようによっては奇跡のような話ですね。
最後に単語を見ますと、多くの辞書でcondomの語義として、挙げているのはcontraceptive sheathです。学生風の解説だと、前者は「避妊の」という形容詞(と名詞)。後者は刀の「鞘(さや)」のことですね。平易な言葉でいえばcontraceptiveとはbirth controlの、ということです。そのままの語形で「避妊具」という名詞の意味もあります。なお、言語とは関係ありませんが、外国には、避妊は女性がするもの、という考えをする男性は結構多いような印象を私は持っております。多くの10代のシングルマザーの理由はそんなところにあるような気がします。国によってはバーなどの男性のトイレにはコンドームの自動販売機を置いてあるところが結構あります。簡単に買えるのに持っていない男性がいるのはそんな考えが背後にあるように思います。日本の女性は肝に銘じておく価値があると思います。
さて、ゴムというとlatexという言葉が出て来ます。latexの語源はラテン語のlatexから来ているそうです。英語での登場は1660年代。ラテン語の元はギリシャ語のlatax、つまりdregs、クズからだろうとのことです。意味は「液体」。樹木からの白い樹液を指すのは1835年から。つまり、latexとは成型した製品を指すのではなく、樹液のことを指すようですが、latex と rubberは混用されていますよね。
John Boyd Dunlopというベルファストに住む獣医師が子供の三輪車のタイヤを改善して空気式のタイヤを発明したのが、英文wikiでは1887年となっています。それまでは非空気式でした。この空気式、英語でpneumaticと言いますが、最初のpは発音されせん。/njumǽtik/です。大学受験の発音でよく試される単語ですね。フランスでのタイヤメーカーはMichelinですが、英語での発音は、辞書によると /mítʃəlin, -ʃə-/となっています。英語式に発音される、ということですね。これも人名です。Michelinはもしかするとタイヤよりもグルメ・旅行ガイドで、より知名度が高いかも知れません。パリなどでは昔は石畳の道が多かったために、タイヤの摩耗がアスファルトよりも高かったとか。倹約家のフランス人には減りの少ないMichelinの方が人気があったと言われています。Michelin兄弟がタイヤビジネスに参入したのは1889年で、動機は空気式のタイヤの自転車のパンク修理だったそうです。フランス語、英語で、aubergeという単語があります。辞書では「宿泊所」となっていて意味がわかりにくいです。最近は日本でオーベルジュと名乗る店がちらほら。aubergeとは、クルマで来る人のためにベッドとダイナーを提供する、田舎のこじんまりとした店をいいます。モータリゼーションの前は馬車の客相手でした。そのうち、料理の質が集客に大きな働きをするようになり、パリなどの大都市から、遠くの地方にある田舎料理のaubergeに来てくれる、という市場が形成されました。そのときのガイドブックがMichelinの初めです。会社としては遠くまでドライブしてタイヤを減らしてもらいたいと考えたのだとか。ブリテン島では似たものがありますが、それはB&Bと呼ばれ、bed and breakfastの略です。ここにもブリテン島人とフランス人の食に対する向き合い方の違いが現れていますよね。なお、tyre tireの二つの綴りがありますが、前者はBE、後者はAEです。従ってヨーロッパではBE式が多かったですが、最近はtireが増えている印象です。なぜ二つあるのでしょうか。tiredの元の語tireがあるので、yにしたのがBEということですね。なお、Michelinはラジアルタイヤ(スティールベルト入りタイヤ)を商業化した最初の企業でそれは1946年のことです。高速化でタイヤの強度を上げて高速回転に耐えられるようにする必要があったためです。このことがMichelinの減りにくい理由だという俗説がありますが、関係ないと私は思います。本日も語源ではetymonlineを参照しました。