字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2020年09月

今日は動物のイヌを通じて英語あるいはAS文化を見ましょう。イヌの英語は誰でも知っているdogです。でもあまりにも身近な動物であるためイヌを卑下した数多くのイディオムの原料でもあります。

さて、辞書はdogを何と定義しているのでしょう?M-Wを見ると、次のようになっております:
canid
wolves, foxes, and other dogs especially : a highly variable domestic mammal (Canis familiaris) closely related to the gray wolf

Canid?あまり見慣れませんが、RH英和(II)を見ると、canidとは「イヌ類:イヌ科Camodaeの動物の総称;イヌ、オオカミ、ジャッカル、ドール、コヨーテ、キツネ、タヌキを含む」となっています。つまり、イヌを定義するのはかなり難しいのですね。あなたなら何と定義しますか?発音と綴り字の関係もムズカシイです。AE指向の方には/kéinəd/をおすすめします。AEではイヌ関係のcanineなどの単語すべてで最初のaの発音は/ei/です。この方が外国人には覚えやすいですよね。(ラテン語由来の単語の綴りを英語だけ変更するのは気が引けるのでしょうね。)

さて、イヌ、最初はWelsh Corgiです。短足です。corgiはWelsh由来だそうで、初出は1921年で、意外と新しい品種のようですね。Welshでcor "dwarf" + ci "dog" だそうです。(etymonlineより)これは牧「羊」犬と訳されますが、対象はヒツジではなく、ウシでした。従わない牛の踵(かかと)に噛みつくよう訓練されているそうです。そのために短足に改良されたようです。ということはおそらく雌ウシ
にだけ、つまり乳牛専門でしょうね。雄ウシだったらおそらく蹴られるか、踏みつぶされるかでしょう。

dachshundという犬種。ドイツ語由来で、英語でもそのままの綴りです。dachsとは英語ではbadgerという動物のことです。日本語ではアナグマと呼ばれます。hundはそのままイヌ(猟犬)です。アナグマ追跡用の猟犬ということなのですね。おそらく体高が低いのでそのまま穴にもぐれるのでしょう。

スパニエルという犬種がいます。spanielと綴ります。この語源はSpaniardかららしく、意味は「スペイン人」。Spaniardの語源は中世フランス語だとか。英語には13世紀に登場。ただ実際にスペイン産の犬がブリーディングされたかどうかは不明で、あくまでもブリテン島で育種されたもののようです。cockerが付く犬種がありますが、これはおそらくcockの数多くの中の語義の1つ、尻尾をピンと立てる、に由来するのではないでしょうか。つまり、獲物を見つけると、尻尾で主人に知らせる、ということでしょうか。

残りは明日に。

auditory processing disorderのinitialismがAPDです。先日NHKの隙間番組で紹介されていて、初めて知りました。この障害(disorder)の特徴は、音声にかぶってくる雑音があると、音声メッセージの聴き取りができなくなること、だそうです。外国では、人口の3,4%にあるようです。意外と罹患率が高いように私には思えます。この障害のある人の知能は、平均的あるいはそれ以上だそうです。

それがどのように聞こえるかを、短くモデル化したものがこの番組では再生されました。要するに、ノイズの部分だけが聞こえ、傾聴している音声がそのまま欠落しています。音声部分だけだと、雑音で途切れてまったく聞こえません。たとえば:

正常な聞こえ:「今例文を作成しています」プラス背景ノイズ
APDの聞こえ: 「今---を作成してい---」(---の部分に雑音がある)

です。この障害のある人が直面する、二つの事例が示されました。一つは、口頭で指示されるが、工場内で背景の音のためにAPDの人は聞き取れないが、健常者は聞き取れる。(このため解雇された。)もう一つは、小学校の児童。授業のとき児童からの発言、雑音があると、教師の言っていることがところどころ欠落して教師(あるいはほかの児童が)が何を言っているのか聴き取れない。授業がわからなくなった。後者の例では、対策が施されて、このAPDの児童は算数が得意になり、他の児童に教えるほどになりました。

APDの人は、静かな部屋で1対1で話をするような場合には問題はないそうです。

健常者とAPDとの間に明確な線引きはできるのでしょうか。その説明はありませんでした。健常者でも当然その同じような傾向はあるはずですが、それをなんらかの手段で脳が補正して聴き取りをしているのだと思います。その機能が劣っている場合にAPDとなる、ということでしょうか。私は素人なのでこれ以上はわかりません。マスキングと呼ばれる現象があります。これは狙った信号(音声など)が周囲の雑音に埋もれてしまう現象を言います。これは障害ではありません。APDとマスキングの違いあるいは線引きはあるのでしょうか。

なお、これと似た、別の障害ディスクレシアについてお聞きになったことはありますか?dyslexiaと綴ります。失読症、あるいは識字障害、などという和訳があるそうです。これは知能に問題はないのに、字を読む、書くが極めて苦手な人のことです。欧米では多いような気がします。アルファベットだと漢字圏より起こりやすいのではないでしょうか。

このブログは英語の聴き取りに特化したものです。APDは気になりますよね。もしあなたに、日本語でもAPDの傾向がある、ということであれば、英語でも同じ症状が出る可能性があるはずです。そのような方はいくら聴き取りの努力をしても力は伸びないかも知れません。(これは、力が伸びないならあなたはAPDかもね、という話とは、まったく違いますよ。)

ジムでエクササイズをする場合に、人に頼んで、「今日俺忙しいんだ。悪いけど俺の分もやってね」ということはまったく無意味です。それと同じで英語の聴き取りもあなたの脳の中で新しい回路を作るあるいは今ある回路を太くするので、人に代理を頼むことは無意味です。ですが、精神のバランスを崩したり、障害に気づかずに回り道をしているのであれば、それは自分で気づくしかありません。最初の気づきが他者であることはほぼありえないと思います。

APDのような病気の場合、本人が知らない、気づいていないことが大きな問題を生んでいるようです。

これは"La La Land"と同じ脚本家-監督 Damien Chazell が制作した映画です。こちら『セッション』の方が早くの2014年公開です。

原題のwhiplashとは、鞭(むち)whipで打つlashすることでしょう。自動車事故の「むち打ち」にも使います。

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映画:『セッション』(原題 Whiplash)

公開:2014年

ジャンル:ドラマ

時間:106分

脚本:  Damien Chazell

原作: -

監督: Damien Chazell

作曲:Justin Hurwitz

配役:
Miles Teller as Andrew, a drum player
J.K. Simmons as Fletcher, a band leader-col professor

あらすじ:
最高峰の音楽院が舞台。Andrewは一流ジャズドラマーを目指しています。音楽院のバンドのリーダーFletcherに誘われて加わりますが、それは超が付くようなスパルタ式。Andrewは必死に食いついて行きます。Fletcherのかつての教え子の死をバンド・メンバーに告げますが、それは鬱による自死でした。そこから映画はかなり変わります。二人はある音楽フェスのステージに立ち、火花を散らすような演奏があります。

聞き所:
Nicoleとの初々しい初デートの場面を挙げたいと思います。絵に描いたような初デートのセリフが連続します。このシーンの一部はtrailerに出て来ます。

訛り:
なし

私の評価:
エンタメ度   つまらない★ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★ 少ない 
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない   多い 
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合計           9★(満点15★)

台本総語数:不明 (script全体では3万語近くあります。容易にはカウントできません。)

スピード:不明(印象では会話部分は普通の速度です。)

難解語割合:0%
解説を要する単語はゼロでしょう。

予告編:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)
https://www.youtube.com/watch?v=7d_jQycdQGo
日本語字幕が出てしまいます。

スクリプト:
stage directionのあるscriptです。

コメント:
(1)映画の最後のシーンでは、だまし合いのようなやりとりが「二人」の間に続きます。最後で私には、「二人」の間に信頼のようなものが生まれているように感じられました。あるいは、どちらにでも解釈できるようにわざとそのような演出がなされているのかも知れません。
(2)J.K. Simmonsがピアノを弾くシーンは最悪。

最近、イングランドのRoyal Society (イングランド学士院)のことを調べていたとき、面白い記述がありました。Sir Isaac NewtonがRoyal Societyのpresidentの地位にあった時がありました。Newtonは当時、国王の侍医の一人でもあった人物について、ただのガラクタ集めが趣味の、怪しげな人物だといって嫌っていたそうです。その人物は、British Museumの開設の前準備をしたと言われる人で、名前をHans Sloanと言います。Newtonが死んだ後のpresidentはSloanが選ばれのですね。皮肉です。

さて本題。最近disturbという単語のetymonlineの説明を見て少し驚きました。今日はその話です。

disturbは、私の「英和ラベル」では、「邪魔する」という意味ですが、このブログの読者には語義の解説は別に必要なさそうです。しかしturbの方だけで十分なのに、なぜdisという、否定のprefixが付いているのか、調べました。念のためにetymonlineの説明を以下にコピペします(大事な部分は青色インクです):

late 13c. distourben, "to frighten, alarm, break up the tranquility of;" c. 1300, "to stop or hinder;" from Old French destorber (Old North French distourber) and directly from Latin disturbare "throw into disorder," from dis- "completely" (see dis-) + turbare "to disorder, disturb," from turba "turmoil" (see turbid). Related: Disturbed; disturbing; disturbingly.
で、dis-をタップして、説明を読みましたが、意味に関して3つの分類があるだけで、completelyを意味する説明はありませんでした。

次に、似た単語dismay、「落胆させる」を調べました。

perhaps formed in Anglo-French or Middle English from dis-, here probably intensive (see dis-), + amaien, esmaien, from Old French esmaier "to trouble, disturb."
intensiveというのは文法用語で、「強意語」という意味の名詞です。

この2例で、若干の違いはありますが、dis-が強調するために使われている、ということですね。

上記の、dis-そのものの、etymonlineの説明ですが、3つの用法がある、という説明を読むと、ほぼこのcompletelyあるいはintensiveという説明はありません。しかし、時間に余裕のある方はこの項dis-を読んでみる価値はありそうです。

で、素人である私の意見ですが、この説明は正しいのか?別の言い方をするとどの程度妥当性を持っているのか?----実は私は少しだけ疑っています。つまり、上記の3つの分類はあるが、それでカバーされない4つ目のdis-の使い方がある、ということで、どこにも入れようがないので、「強調」という用例でくくっているだけなのではないかなあ、と思います。ただ、語源であらゆることを説明できる、という考え自体が少しおかしいかも知れませんよね。言葉は生き物であり、「古典的ラテン語」ですが、キケロが演説した時代から百年程度で、ローマ帝国庶民には理解できないものとなりました。つまりローマ人ですら、Classical Latinを家庭教師などから学ばないと理解できないものになっていたのです。言葉とはそれほど変貌するものなのですから、あるaffixが生き物のように、使われ、捨てられ、取り替えられ、忘れられるということは大いにありうるのではないでしょうか。

etymonlineは私にとって最良のオンライン語源辞典です。英語で書かれていますが、少しの慣れが必要なだけで、慣れると楽しく読めるようになります。たまに納得、同意しにくいことが書かれています。いくつかあるはずの説の一つと思えば良いと思います。

本日は典型的な無駄話です。今年、私はある単語に出合いました。scionです。/sáiən/が発音です。日本語での意味は、「芽、小枝、御曹司」です。どんな前後関係で出て来たか忘れました。

scion? 現代の政治家でいうと、日本だと、安倍晋三氏でしょうか。父は安倍晋太郎という政治家(故人)です。海外ですと、Justin Trudeau カナダの首相でしょうか。父親も首相を務めました。さて、Don Tramp はscionでしょうか。そうかも知れませんが、彼の言動はscion と呼ぶにはふさわしくないと思います。では、どのような形容詞句がふさわしいでしょうか。

英語で stuffed shirt という言葉があります。名詞であり、形容詞でもあります。お高くとまった人、あるいは堅物(かたぶつ)という日本語が英和辞書にあります。でも、今のアメリカでそういう意味で使う人はおそらくあまりいないと思います。私がこの人物こそ stuffed shirt だなあ、と思う人、それは Don Tramp です。その意味は、「横柄で、尊大で、思い上がった」です。辞書に出ている意味と、実際の意味がしばしば違うことがありますが、私の経験から言うと、そのような言葉のひとつが、この stuffed shirt です。でも、トランプのそんな一途さがたまらんのだよ、という評価もありうるはずで、別にこの言葉一つで Tramp の評価をしようというのでは決してありません。

これを忘れられないものにしたのは、私の失敗です。私がある人物のことをstuffed shirt だと言ったとき、少し違うかも、ということを指摘してくれたのは、友人のアメリカ人でした。でもこれはある意味偶然です。たまたま共通に知るある人物の話をしていて、私の少しヘンな使い方で彼が私の真意を汲み取ろうとして、私は少し使い方が変かも知れないと気付きました。

こんな失敗というか経験はあなたにもあるかも知れません。その時には、あなたに「それは誤りかも」ということをアドバイスしてくれる友人です。あなたに、必要な時にちゃんとトゲのあることを言ってくれる人はいますか?トランプだけではありません。世界を見回すと、東アジアの大国、半島の国、あちこちにstuffed shirtがいますね。

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