字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2020年08月

今日は、少し変わった切り口で、イングランド王室とノルマン王朝の話です。

(A)あなたはMan島、つまりislet of Manをご存知でしょうか?一、二度このブログで簡単に登場した場所です。言語上は、Manx(マン島語)と呼ばれる、英語とはまったく異なる系統の、ケルト系の人々が話した言語が使われていた島です。アイリッシュ海にあります。ここは、イングランド領土ではありません。EUにも加盟していません。ここは曖昧なままの島です。「所有者」はイングランド王室です。独自の貨幣が使われているそうです。

(B)イングランド王室は他に2つの島を所有しています。一つが、ガーンジー島と呼ばれる島々、およびジャーズィー島と呼ばれ、両方ともイングリッシュ・チャネルにあります。このため両者を合わせてChannel Islandsと呼ばれます。Guernsey、Jerseyという綴りです。

ブリテン島よりもフランスに近いです。近くの、フランス領で最も有名な町はシェルブールCherbourgです。古いミュージカル映画『シェルブールの雨傘』で有名になった町です。コタンタン(Cotentin)半島あるいはシェールブール半島と呼ばれます。

かつてはChannel Islandsはブルターニュ公(Duke of Brittany)が支配する土地でしたが、933年にRolloの息子William Longsword が征服して、ノルマンディーに組み込みました。当然両者は犬猿の仲となりました。その後、フランスの王朝がノルマンディーを再度征服し、かつてはDuke of Normandyに与えていた封土を1204年に取り上げます。ですが、Channel Islandsに関してはそのままにしましたので、それ以来ずっとEnglandが所有して今日に至ります。つまりイングランドのノルマンディー王家が所有し、それ以来ずっと非フランス領です。

現代のノルマンディー地方で有名な町は、東側だとルーアン、西側だとモンサンミッシェルです。中程には、Bayeux Tapestry で有名なBayeux バイユーという町があります。初代DukeであるRollo le Marcheur (ロロ徒歩王、フランス語での呼称)はルーアン大聖堂に眠っていると聞いたことがあります。Marcheurとは英語で言えばMarcherで、マーチをする人、という意味です。体が大きくて馬がすぐへばるために、徒歩で移動したことから名付けられました。

Jerseyという地名で気づきますように、ここは牛の固有種の名前の由来になった場所です。また、アメリカのNYCの西岸を流れるハドソン川の対岸はNew Jerseyと呼ばれる州ですが、その名前の元はこの島です。つまり今日New Jerseyと呼ばれる土地も、かつてはイングランドの王室直轄の植民地だったのですね。イングランド植民地時代初期に王室に忠実な有名人がいたので王室はNew Jerseyと名付けたとのことです。

島Guernseyから半島の最寄点まで約50kmでしょうか。ちなみに、Dover/Calaisの距離が約30kmで天気が良ければお互いに陸地が見えるそうですので、Cotentin半島西岸からGuernseyは見えるかも知れません。

ちょっとした驚きは、その力です。人口は両方合わせて20万人くらいで、GDP (PPP) per capita はUK£33kです。もしかするとロンドン並みにリッチかも知れません。

(C)さて、上記(A)(B)の、3つの島のstatusですが、これらはIsle of Man、bailiwick of Guernsey、bailiwick of Jerseyと呼ばれます。最後の二つにあるbailiwick、見慣れませんが、一言でいえば、「王室直轄領」のことです。フランス語から英語に入りました。英語にbailiffという似た言葉もあります。ブリテン島の歴史を専攻した人だと詳しいかも知れませんが、私は辞書を見て知った単語なので詳しく説明できません。これらは、UKの領土ではない、EUの一部ではない、UKの憲法が支配する場所ではない、・・・というような説明が延々と続きます。曖昧ですが、人々は観光で潤っているようですので、曖昧なまま、おそらく、少数のゆずれない部分以外はUKの憲法、法律が実質的に支配するエリアなのでしょう。想像ですが、おそらく課税権は王室が持っているのでしょう。もしかすると非課税かも知れませんね。

English Channelの重要性を知る我々、あるいは私にとっては、なぜフランスがこれらの島を力づくで取り返さなかったのか、少し不思議ですね。もしフランス領土になっていたら、ナポレオンの戦略はもっと変わっていたかも知れません。こうしてみるとフランス人というのはあくまでも大陸に根ざした国家の人々なのでしょうね。また、逆に、イングランド人はいかに島が好きかという例の一つでもあります。

先日、NHKだったと思いますが、ニュースで、東京の外資系製薬会社に勤務する、女性の、40歳前後らしき会社員が、「英語が伸びないと給料が上がらない」というようなコメントを街頭インタビューのような場面で言ってました。おそらくTOEICの点数で英語力が判定されるのでしょう。「英語力」のある人は、TOEICのスコアー(ポイント?)もある程度は取れるでしょう。では、TOEICのスコアーの高い人は、英語力が高いでしょうか。私はそうだとは思いません。ですが、大事なことは、そんなこと(英語力あるいはTOEICを上げる)で給料を上げてくれるステキな会社が今でもある、ということの方に驚きました。大学受験勉強、たとえば英語ですが、効率的な勉強の仕方がありますよね。あるいはあるはず。過去問題も重要なポイントでしょう。もしあなたの英語力が日本人としてそこそこ高いのであれば、ぜひTOEICのスコアーを上げる、効率的な勉強方法をやりましょう。あなたの実力以上のスコアーを取れるかも知れません。今どき、そんな程度のことで給料を上げてくれるのであればぜひそこにリソースを投資しましょう。

さて、8月21日付のこのブログでの私の見解に少し分かりにくいところがある、というご指摘をいただきました。私なりの回答させていただきます。先ず、問題の文を引用します:

国の力を見る時に私が最も重要と考える要素、それは教育です。どんなに頑張っても中東の産油国の大半では教育はほぼ存在しません。なぜでしょうか。学ぶという非生産的活動をするためには、引っ張る力、押す力双方が必要です。引っ張る力は個人の好奇心、向上心。押す力は社会の競争です。もし、この見方がある程度妥当ならば、中国にはまともな教育があったということです。たぶんそうでしょう。ロシアにはおそらくあまりなかったのでは。(引用終わり)

たしかに分かりづらいでしょう。でも、論理的に証明できることでもありませんので、私なりに比較をして、そのあとで想定例文集を挙げたいと思います:

中東の国々は貧しいところが多いです。一部で石油採掘がされるところがありそのような国は比較的に豊かです。でも国民の経済で付加価値を作りだしているのではなく、外国資本が勝手に石油を掘り、お金を振り込んでくれるだけですので、国家の浮沈は石油次第、というわけです。親にある程度の理解があればこそ、教育投資は可能になります。アメリカで言えば、白人の最下層の人々には、教育を受けたことがない、入ったお金は酒、ギャンブル、女、麻薬に投資する、定職に就かない、あるいは就けない、就いても長続きしない、無断欠勤をしょっちゅうする、当然子女の教育に投資するお金はないし、そのつもりもない、・・・というような生活態度の人々が代々に渡り、最底辺のレベルの生活をしてきております。競争社会のアメリカでさえそうなのです。

中東の国々の住宅街ではこんな話が聞こえてくるのではないかと私は想像します:

A「勉強なんかしてねえで、通りでなんか売ってこい。売るものがなければスリでもやれ」
B「お前の稼ぎがねえと、お前の弟たちの食うものはねえぞ」
C「理屈をこねてねえで、モスクへ行ってこい」
D「女の子には教育はいらねんだよ」
E「モハメッド様でも読み書きはできなかったんだ。ガキが読み書きを覚えてもロクな者にはならんぞ」

いかかでしょうか。ではロシア連邦共和国ではどのような話が聞こえてくるでしょうか。

F「この国ではまともに働いても食えんのだぞ。マフィアになれ。いいな」
G「マフィアになるのも大変だ。なれなかったら役人になって甘い汁でも吸え」
H「スリはな、1人でやるもんじゃなくて、2人でやるもんだ。1人が客の気を引いている間にもう1人がいただくんだ」
I「腕力が弱いとバカにされるぞ。殴られたら倍返ししてやれ。」
J「若いうちにいい男を捉まえな。逃げられないようにするには、男にこうやってやればいいんだよ」

どうですか?ちなにみに、中東とロシアを丸ごと入れ替えてもそのまま通用するかも知れません。

ま、すべて私の妄想ですね。これがちゃんとした回答かどうかはわかりませんが、まるで大外れでもなさそうです。この程度の妄想家が書いているこのブログ、あまり頭から信じないで、少しハスに見る方がよろしいかも知れませんよ。

最近、アメリカのBLM運動から、色々な方面に影響が出ております。NFLのWashingtonのチーム名はRedskinsですが、これがアメリカ原住民を指すので、チーム名を変更すると先日発表されました。さて、そのような大きな広がりになっている、人種問題について、本日は考えてみましょう。

私は何十年にも渡り欧米人とビジネスをして来ましたが、印象の総和で言うと、白人は非白人種に対して、様々な心理的バイアスを持っていると思います。ヨーロッパ人は人種差別をしないのでしょうか。決してそんなことはありません。彼らの大半は人種差別主義者だと私は思います。ただ、アメリカ人のように露骨な差別をすることはまれです。面と向かって有色人種を罵倒したり、暴力を使うことはヨーロッパ人は好みませんが、少なからぬ場合、心の中では差別は存在します。

南アフリカという国では、オランダ系とイングランド系がつい最近まで人種隔離(アパルトヘイト)をしていました。その最大の理由は、白人と黒人の混血した人々の存在が、最も厄介な問題だったからです。多くの場合あるいはもしかするとすべての場合、男性は白人でした。イングランドでは、それは「人間性」あるいはキリスト教の神への冒涜だと考える人々が数多くおり、奴隷制度そのものよりも混血の方がはるかに許しがたい問題だったのです。混血を廃絶するには、行為を違法にし、禁止し、両者を隔離するしかありません。

「差別」は悪いことなのでしょうか。私は常にそうだとは思いません。私が見る限り、日本人の方が、ヨーロッパ人よりも遥かに人種差別的です。ただ白人に対しては、逆の方向に発現するので、多くの日本人は白人に卑屈になります。それが対アジア人、対アフリカ人になると横柄に変わります。日本の外務省の公的コメントなどを聞いていてもそれは隠しようがありませんね。なぜそうなのでしょうか。日本人はそのようなバイアスに気づいていないし、あるいは気づいていないふりをするのが普通で、それゆえ、直そうともしません。

そのようなバイアスは、生き物として以下の意味で当然のことです。学校などのいじめにも、一部はそのような生物学的選択の圧がかかっていると私は思います。人間など動物には、肉体的、精神的に健全とはいえないパートナーとの間の子孫の可能性を排除するするという本能があります。一方で、自分と離れた遺伝的形質を持つ相手との子孫を持って、自分の直系子孫の遺伝的資源を少しでも有利にさせて、生存を有利にさせたいという別の本能の両方もあります。ただ、その基準が人により少し違うだけです。ただ、「肉体的、精神的に健全とはいえない」ということと、肌の色が異なる、ということが、人により、完全に重なる場合もあれば、相当異なっている場合もある、ということでしょう。

また、アメリカで19世紀まで存在した奴隷制度。私の意見は、少し変わった考えでしょうが、それは当時としては普通の事柄だったと思います。そもそもアメリカ大陸の奴隷はアフリカ系の人々だけではなく、ヨーロッパから連れてこられた白人奴隷も使われていたのです。やがて、南部のプランテーションでの労働需要が上昇したために、圧倒的な数のアフリカ系の人々が奴隷化されて供給されたに過ぎません。奴隷は極めて高価な財産だったと言われています。そんなことをしないで、労賃を払う雇用契約を結べばよかったのですが、当時は古代からの奴隷制度をまだ引きずっていた時代です。古代ローマの貴族の子弟を教育したのは、ギリシャから連れて来られた戦争奴隷(敗戦の結果奴隷になった人々)でした。(でも戦争の結果がもし逆になっていたら、もしかしたらローマ人で読み書きできるもののうち、身代金交渉での金額などで折り合いが付かない場合には、奴隷として売られて、ギリシャ人貴族の家庭教師になっていたかも知れません----ですが、知的水準がかなり違いましたので、それはほぼありえないことだったろうと思います。)

多くの日本人は、アメリカの「北部」の人々は人種差別をしない、と想像するようですが、それは事実に反していると言って良いと思います。「北部」の人々の中にも、黒人(非白人)に違和感を持ったり、さりげなく差別をする人はたくさんいます。でも南部のように、燃え盛る敵意を持っている人は外見上はいないと思います。このようなとき、それは人種差別的なのでしょうか。

つまり、人種差別というのは、人間が生得的に持っている感情であると私は思います。人間の理性がそれを手なずけることができますし、それが唯一の解決方法だと私は思います。

またTom Hanksの映画です。主演映画が極めて多い俳優ですね。原作者はStephen Kingです。映画のタイトルが何を示すものなのかは映画の中で説明されます。

---------------

映画:『グリーン・マイル』(原題 The Green Mile)

公開:1999年

ジャンル:ドラマ

時間:189分

脚本:  Frank Darabont

原作: The Green Mile by Stephen King

監督: Frank Darabont

配役:
Tom Hanks as Paul, a prison guard chief

あらすじ:
1930年代のアメリカの死刑囚を一時収容する刑務所が舞台。ある日黒人の死刑囚Johnが護送されてきます。死刑執行までの期間に、彼は霊力を発揮していくつかの奇跡を起こします。担当部署のチーフであるPaul (Tom Hanks)の病が消えることも。それらの出来事を通じて、PaulはJohnが無実であることを確信するに至ります。Johnはどうなるのでしょうか

聞き所:
Paulが死後クリスチャンとしての裁きを受けるときの視点から自分を見て語る部分。感動的です。

訛り:
なし。
Johnが黒人訛り。フランス人死刑囚のフランス語も聞けるがあまり上手ではない印象。

私の評価:
エンタメ度   つまらない★★★ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★★ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★ 少ない 
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない   多い 
-----------------------------------------
合計           12★(満点15★)


台本総語数:10.4k (平均的)

スピード:110 words/min   数字上は非常に遅いです。聴感上は普通よりやや遅め程度です。
 (前提:会話部分95分として。目安としてお考え下さい)

ストーリー展開:かなり単純

難解語割合:0%  

コメント:

予告編とスクリプト:(この映画のMT(movie trailer)を見ることができます)

stage directionsのあるscriptです。

「印象派」という絵画の手法は有名です。英語でimpressionismと言います。フランス語では最後にeを足す綴りになり、発音は、カタカナで書くとアンプレッシオニスムと私には聞こえます。この語源は、モネが書いた"impression  solei levant"、日本語では『印象 日の出』というタイトルの、誰でも知っているあの絵に由来します。後半のsoleil levantとは、それぞれsun eastという意味です。levantとは東を意味する言葉です。この場合の発音はルヴォンです。(夕日に相当するフランス語はいくつかあると思いますが、最も普通の表現は「眠る太陽」に相当するle soleil couchantです。「西の太陽」ではないのですね。)

この絵は、ルーアン Rouen という、ノルマンディー地方の中心的港湾都市の、日の出の風景と言われています。NCで知られる、イングランドでのノルマン王朝の母体は、ノルマンディー地方を西フランク(West Francia)国王より封土された、ヴァイキングの首領の領土(duchy、つまりdukeの領土)です。

levantは英語にもありますが、フランス語から入り、元は動詞 lever です。英語にもそのまま入り、今でも使われている単語です。フランス語には、ラテン語 levare から入りました。ただ、意味は少し違っていて、フランス語ではラテン語のそのままの意味、持ちあげる、ですが、英語では「てこ」で持ち上げる意味が中心だと思います。

さて、地中海にある「レバント」地方、英語で綴るとLevantですが、これは元々フランス語です。つまりフランス人から見て、地中海の東なのでlevantなのですね。でも「東」という意味ならば、orientがあります。Orient、Levant、Asia Minorの違いは何でしょう?一応調べましたが、よくわかりませんでした。Levantがシリア、レバノン、イスラエル辺りを指すということはほぼ一致した意見でしょうが、Orientだともっと広くなるようです。もしかすると、フランスとイングランドが繰り広げた外交で、地中海東岸の、フランス支配地域の呼称として考え出されたものでしょうか。

フランス人は「インドシナ」と呼ぶエリアがあります。名前だけ聞くとどれだけ広いのかと思いますが、インド(フランス語ではinde アンドゥ)とシナ(フランス語ではchine シーヌ)の間の狭い地域、ヴィエトナムのことです。フランス人には独特の地理的名称創造力があるようです。なお、地名ではものすごく多くの単語がフランス語から英語に入っています。上記のchine/Chinaもそのひとつ。ユーラシアの西のはずれのブリテン島人には、多くの地名は不要で、初めてノルマン人から教わったからそのまま定着したのではないでしょうか。この点では日本人も多くの地名を中国人から学んでます。「きゅうり」という野菜は、胡瓜と書く人が多いですが、日本語の発音は「黄瓜」から来たためです。胡とは、西アジアの人々を指すと言われ、意味は「あごひげ」を示す形から成り立つ漢字だとか。

おまけ。錦糸町にあるホテル「レバント」とは、Levantであり、これを英語として捉えたもの、だろうと推測できます。これは東武鉄道グループに属します。ここまでlevantという言葉を軸に見てきました。かなり明確なイメージがつかめたはず。

さて、もうひとつ似たもの「レパント」があったかと。これはギリシャの地名でLepantoと綴ります。昔オスマン帝国とスペインが戦った海戦で1571年です。スペインの勝利となりましたが、いまいち戦争の意味がわかりにくいです。スペイン側の大勝利でしたが、トルコ海軍はすぐに回復したそうです。
本日はLevantにまつわるお話をしました。スッキリしたはずでもうLevantでコマルことはなさそうですね。

↑このページのトップヘ