字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2020年03月

diphthongは2重母音のことです。この上があって、triphthongと呼ばれます。/trífθɔːŋ/という、日本人には少し難儀な発音が一般的です。(音声学以外ではつづり字に関してという場合もあります。)

英語にはtriphthongを持つ単語がいくつかあると言われています。まず、それよりも先に認識すべきは、私はこの単語を解説するためにこの話をしているに過ぎません。実際に「ネイティブスピーカー」がtriphthongを発音しているか、といえば、私の意見ではnoです。綴り字と発音の関係を話題にする限りにおいて、のみ成立する話だと思ってください。(注記:私の悪い癖で、綴字と発音を近づけよう、あるいは関連付けようとしますが、英語の場合はこれは無理というか無駄です。どの音節でもアクセントのない母音を曖昧母音/ə/で発音しても何の問題もありません。でもこうすると私は綴り字との関連を失うので、それをしません。)

さて、triphthongの単語を思いつくままに書くと以下のものが出てきます:
employer
fire
flower
hour 
mower
player
power

他にもありそうです。

その上は、理論的な造語法を使うと、tetraphthongですが、音声学では、英語ではこれはないと思います。4つの母音が連続する、という単語を思い浮かびません。ですが、triphthong/tetraphthongという用語を使うのは音声学だけではなく、綴字でも使います。たとえば、フランス語でbeauという単語に使われる最後の3つの文字はセットで/bo/と発音されます。(なお、この語は英語でも使われるようですが、発音が英語風になり/bóu/という、英語独特のdiphthongになります。)4文字で一つにセットになっているユニットを探すと、検索で出てきたのは、ドイツ語でのdeutschの最後の4文字でした。

さて、powerという単語を例にとると、正式な発音(辞書に出ている発音)は/páuər/です。ですが、おそらく日常では/páwər/、/páər/と発音されるのではないでしょうか。というか、誰もそんなことを気にして、どちらでも良いと思います。

今日の話題は、これを読むのを楽しみながら、知識を増やす、深めるため、というよりは、あなたが英語の綴りと発音に対してどのように向き合うか、を考えていただくために選びました。あまり過剰にtriphthongをその通りに発音する、という努力をする必要はないと私は思います。

英語では、複数形を考えるのはある種のゲーム(word bee)です。たとえば、spaghettiは誰でも知っている単語ですが、これの複数形は何でしょう?答えは、この記事の最下段にあります。

まず、ビジネスでよく使うものから:
indexの複数形はindiciesです。indexはラテン語で人差し指等を意味します。ちなみに、英語でも人差し指はindex fingerですね。forefingerとも言います。/índeks/つまり、アクセントは第1音節にあります。

focusの複数形はfoci。発音は/fóusai/です。

criteriaもよくビジネスで使われます。これは複数形です。単数形はcriterionです。これをadjectivizeすると、criterial、criterionalの二つの形があります。ギリシャ語がラテン語に入り、それがさらに英語に入りました。

dataも複数形です。単数形はdatumです。ただ、実際には、現在はdataは単数形と考える方が自然でしょう。あるいは単複同形ですね。

modus operandiは単数形です。複数形はmodi operandiです。英語ではmode of operationと訳されます。ラテン語で意味は「方法」です。刑事物映画では「手口」ですが、しばしばM.O.とも省略されます。英語では17世紀から使われている言葉だそうです。もしかするとイングランドの法廷用語だったかも知れません。私の想像です。

これらで、sを付けて複数形にする人も少なくありません。人によっては気にする人もいますし、気にしない人もいます。上司がどちらか知ってから使いましょう。知っていて損する場合があるかも…

ビジネス以外ですと、以下のようなものが楽しめるかと思います:

amoebaはアメーバの正しい綴りです。少し英語っぽくありません。古代ギリシャ語からと言われていますが、ある学者の造語である、という説もあります。amoebaは英語では日本語の発音と少し違います。/əmíːbə/です。これを複数形にするとamoebae /əmíːbiː/となります。形容詞形はamoebicです。

bacteriaは複数形です。単数形はbacterium。形容詞はbacterial

deerは鹿のことですが、これは単複同形です。sheepと同じですね。なお、ご存知でしょうが、deerにはたくさんの関連語があります。たとえば『ドレミの歌』に出てくるようにdoは雌鹿のことですね。雄鹿には他にbuckという言い方、その他もあります。動物のイメージとしては日本のようにかわいいと思うことはありません。欧米では好色で頭が良い(狡猾な)イメージです。

diceは日本語にもなっているダイス(サイコロ)ですが、複数形です。単数形はdieです。「サイは投げられた」はカエサルがルビコーンを渡るときにセリフですが、英語では"The die is cast."と言います。

最後に、覚えても意味のなさそうな単語louse、これは虱(シラミ)という寄生昆虫のことです。これの複数形はliceです。どこかで?そう、mouse/miceの関係ですね。19世紀中ごろまで若い娘も毛髪にたくさんシラミを抱えていましたので、姉妹などで毛髪のシラミを取るのは普通に行われていたそうです。(たしかアポリネールの詩にあったような記憶がありますが、確かめていません。)シャンプーが普及してシラミとはほぼさよならできましたが、今でも子供に発生するのだとか。なお、shampooの語源は、私はポーランド語から、と学生の時に某有名出版社の本で読みましたが、間違いです。ヒンディー語shampooから英語に入り、19世紀半ばに現在の意味で初めて使われました。17世紀に英語に入ったときの意味はマッサージだったそうです。(etymonlineより)なお、蚤(ノミ)はfleaで、複数形はfleasです。衣類のフリースはfleeceです。発音を正確にすれば誤解されることはありません。

ここまでやってきてクエスチョンです……レクサスという車Lexusの複数形は何が最もフィットしそうですか?私はLexiが好きです。

(解答)
spaghettiは既に複数形です。イタリア語では、spaghettoが単数形です。イタリア語から英語に入りましたので、この単数形、複数形が支配的だと思われています。なお、同じくイタリア語由来のgraffitiもやはり複数形で、単数形はgraffitoです。落書きのことです。

これは、いくつかのおとぎ話を無理やり一つのストーリーに仕上げた(と思われる)、ハチャメチャなミュージカルです。『シンデレラ』、『ジャックと豆の木』、『赤ずきん』などです。名前だけを借りたのか、あるいはストーリーが絡み合っているのか、私にはコメントできません。それらの話が、森の中で、一つの話となって展開して行きます。グリム童話のオールスター版でしょう。

このブログで扱う初めてのミュージカル映画です。ミュージカルは素材として英語聴き取りに適さないと考えておりましたが、この映画を通して、むしろ初心者には良いかも、と思いました。

ベースは二幕の劇場版ミュージカルだそうです。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

映画:『イントゥ・ザ・ウッズ』(原題:Into The Woods)

公開:2014年

ジャンル:ミュージカル

時間:124分

脚本:James Lapine

監督:Rob Marshall

配役:
Meryl Streep as witch
James Corden as baker
Daniel Huttlestone as Jack
Johnny Depp as wolf

あらすじ:
子供を授からないパン屋の夫婦に、魔女が入手して欲しいものを上げて、全部ゲットすれば、子供が授かるだろうといいます。

訛り:イングランド訛りとアメリカ訛りとが、おとぎ話で混合した不思議な言語体験です。(別の言い方をすれば不自然です。)

聞き所:
普通のミュージカル映画では、セリフから突然に歌になり、また歌からセリフに移行しますので、不自然に感じることが多いですが、この映画ではかなり自然です。

ミュージカルですので、話言葉から歌に、自由に往来しますが、そのつながりが自然です。
歌詞が素晴らしいです。脚韻を踏んでいるのが多いです。

私の評価:
大人でも楽しめるミュージカル映画です。

エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★★少ない 
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い 
-----------------------------------------
合計           9★(満点15★)


台本総語数:?
セリフと歌詞を区別するのにかなり手間を取られますのでカウントしておりません。

PV:(予告編)

解説を要する単語はありません。

本題の前に。最近の新型コロナウイルスの感染の様子を見ていると、もしかして、白人はこのウイルスに弱いのかも知れない、と感じる人が多いと思います。一方で、酒好きな人類の中で、日本にも、中国華南を中心にいる、酒に弱い人々。飲むと顔が赤くなるか、あるいはまったく飲めない人々がいます。他の人種にはそのような人はほとんど、あるいはまったくいません。では、なぜ黄色人種のうち、華南にだけそのような体質の人がいるのか。まだ多くの研究者が支持する説はないようですが、ヒントがあります。それはアルコールの分解の途中で体内に発生するアセトアルデヒドを分解する能力が弱いと、顔が赤くなります。その能力がないとまったく飲めません。アセトアルデヒド自体が毒性が強い物質です。実はそれが体内の殺菌に寄与しているのではないか、と見る学者がいます。人体の免疫システムは何重にも色々なものが張り巡らされていて、杉花粉症はその免疫システムの過剰反応だそうです。それに、更にアセトアルデヒドを加えようというのです。私はその説が正しいのではないかと素人ながら考えます。そのためには、顔が赤くなる人は酒を少量飲まねばなりません。マイナス面は、アセトアルデヒドによる癌などの病気です。つまり、顔が赤くなる人、これは英語でflasherと呼ばれますが、この人々は欠陥があるのではなく、より進化しつつある遺伝子を持っているかも、ということになります。なぜ華南なのか、ということですが、これは米作と関係すると言われています。米作は水辺の近くですので、害虫、菌密度が他の環境よりも悪いので、この地区でこのような形質が生まれたのではないか、ということです。先日NHKの特集でこのことを扱っていましたので、この説をご存知の方もいるはずです。

さて、今日は標題の、似た綴りの3、4の語についての話題です。

英語圏でよく見る名前の一つScott、名前からしてスコットランド系です。ですが、これは古英語OEに起源を持つ名前です。OEでの綴りはScotです。これは後期ラテン語のScottiという言葉に由来しますが、そのラテン語の起源は不明ながら、意味はアイルランドに住む人々ことです。アイルランド語はそれを借用したと考えられています。その後、ローマ人が撤退した後、アイルランドのある民族は6世紀頃スコットランド西岸に侵入します。その後のアルフレッド大王(9世紀後半)の時代の後、アイルランドから今日われわれがスコットランドと呼ぶエリアに移り住んだ人々がscotと呼ばれました。(etymonlineより)なお、辞書によっては、それをゲール人Gaelicと表記していますが、この辺りになると私の理解を超えています。(先日のtropic of Cancerの話のように、理解していないまま引き写しをしているのはよくないと私は思いますので、その辺をキッチリと理解したいという方以外はこの程度の話でもなんとか許容していただけるはずです。)

イングランドの政治史で出てくるらしい用語scot and lotとはひとまとめで「税金」「割り当て」を指すそうです。この税金を負担することで、19世紀には下院の議席数割り当てを得られたようです。語源的には、中期英語MEの時代のsceatにさかのぼるようです。その単語の発音は/ʃǽt/です。載っていない辞書が多いです。ASが7、8世紀に用いた銀貨を指すとのことです。ここから、scot and lotのscotだけをとり、この税金を免れた、ということを現代英語で意味するscot-freeという単語ができました。これはよく、「スコットランド人は出て行け」を意味する、と理解できなくもないので、たまに冗談のネタにされるようです。ですが、簡単な意味はscot and lotを免除された、という意味です。ただ、私はこのscot and lotに関して知識を持ち合わせていませんので、ウンチクを語ることができません。あしからず。このlotの方にも語源があるようですが、英語の話を離れてゆきますので、割愛します。なお、goo辞書の説明には以下のようにあります:

pay scot and lot
(意味) 割当税を払う(◆これで投票権を得た)

これは韻を踏んでいますね。British Englishの中のCockney Rhyming Slangの一つかと思ってチェックしましたが、そうである、という説には出合いませんでした。
(注 Cockney Rhyming Slangは江戸っ子のしゃれ言葉のようなもので、最も有名なものは、dog and boneでtelephoneを意味します。もう外国人にはまったくわからない世界です。)

今日Scotlandと呼ばれるエリアは、かつてAlbaと呼ばれたり、Caledoniaと呼ばれました。が、上記のようにアイルランド系の人々が今日のスコットランド西岸に移住(侵入)したころから、徐々にScotlandと呼ばれるようになりました。ScotchとScottishという2つの形容詞がありますが、スコットランド人は前者を嫌います。後者はOEの時代からある、由緒正しい形容詞です。でもなぜかScotchという単語は結構生き延びています。その理由はいくつかあります。第1に、ウイスキーの代名詞となっているから、ですね。第2に、Scotchブランドを掲げる会社があります。3Mという、St Paul, MNにある会社です。スコットランド系の人々が多いと言われています。おそらく創業者もそうでしょう。3Mの由来はMinnesota Mining and Manufacturing Companyだそうです。社名の起源と違って今はケミカル製品を中心とする会社です。さて、元に戻ると、Scottishという言葉の方が、ニュートラルですので、我々はこっちを使う方が無難でしょう。ただし、ウイスキーのときは、Scotchという単語は便利ですし、現代でもこの用法は広く許容されているように思います。我々はScotchという言葉が、イングランド人がスコットランド人をバカにするときに使ったいろいろな語に使われていた時代があるという、スコットランド人が持つ、あるいは持った痛みを理解すべきでしょう。なお、私の経験から言うと、アメリカニズムにおいて、Scoth/Scottishは度を越したケチである(むずかしい言葉で、吝嗇りんしょくと言います)、ということの暗喩で使われる場合もあります。

都知事から都民、近県住民に今度の土日には外出を控えるようにという要請があったとのことで、テレビニュースショウは繰り返しそれを流しています。でも何が「外出」なのかまったくわかりません。あるテレビ局では、厚労省担当者のコメントとして、それは、用事がないのに外をぶらぶら歩かないで、ということだそうです。それだったら、初めから、「用事がないのに外を歩かないで」と言えばよいのに、と思います。一部の人々はそれは外出禁止で、スーパーに買い物に行くことができない、と考えたようです。私の住む町では、ある大手スーパーへの駐車場に至る道には、ものすごい渋滞ができていたとか。前回似た渋滞を見ましたが、あれはトイレットペーパーのときの騒ぎの初日でたしか2月28日前後でした。定義をはっきりさせないので、メッセージが伝わらない、議論が発展しない、という日本人の宿命を何度も見なければなりません。

さて、本日の話題は「子午線」なるものについて、です。語源についての理解を深めて英語の単語力を涵養するのは意味があるのか、馬鹿馬鹿しいのか、人により判断は分かれるかも知れません。私は意味があると考える方です。英語を母語とする人々には単語を習得する苦労は外国人ほどにはないのかも知れませんが、高等教育を受けた人々の間では、母語である英語でも、あきらかに語源の知識を背景に持ちながら話すことがたまにあります。日本人が漢字に関して、小学生の頃から素人なりに感覚を磨くことと似ていると私は思います。

さて、ロンドンの中心から少し離れたところに「グリニッジ」天文台があります。難読地名に私は入れたいですね。Greenwichと書いて何と発音するか。goo辞書では/ɡrénitʃ, ɡrínidʒ/となっています。M-Wでは/gri-​nij/です。つまりバラバラということですね。あーあ... 一応、語源をチェックするとGronewicというOEに由来して、意味はgreen harborだそうです。

Greenwichには博物館があり、そこが子午線の0度です。その博物館には、変な鉄のボールを落下させる仕組みをもった、鉄のへんな仕掛けが、テムズ川から見えるようにしてあります。昔はロンドンの正午きっかりにそのボールを落として、望遠鏡でその瞬間を待っていた、船上の航海士が正午を知り、時計を調整しました。曇りがち、雨がちなロンドンの天気では「グリニッジ」天文台のこれが見えるときは時計を正しく合わせるチャンスです。その瞬間が、ロンドンでその日太陽が最も高い位置にある、つまり「南中」していることを示します。本来は場所(異なる経度)により南中時間が異なりますので、場所場所で正午が違う、という現象がありましたが、Greenwichを子午線の「原点」が通ることでそれを解決させ、それをイングランド全体の時間、つまり標準時としました。これがいつ頃のことか調べましたがわかりませんでした。1830年にリバプール・マンチェスター間に最初の乗客用商用鉄道が開通しましたが、この時は都市ごとに南中時間が異なる時代でしたので、それよりは後ということしかわかりません。

さてこの「子午線」、英語でmeridianですが、見ただけでなんとなく語源がわかります。am、pmの省略されていない綴り(ante meridiem、post meridiem)の中にあるのは、meridiem、ラテン語の「正午」です。私の場合、高校生のときの棒暗記でした。ラテン語meridianusが古フランス語に入りmeridienとなりそれが英語に輸入されました。14世紀中ごろの頃だとetymonlineにあります。Greenwichを通る子午線にはthe prime meridianという名前がついています。なお、子午線はmeridian、経線longitudeは、地表では同じものです。子午線は地球上の線を宇宙空間に投影した、線に関しても使われるそうですが、longitudeは地球表面だけなのだそうです。ま、我々の感覚では同じものですね。

Le Méridien Hotelsはたしかホリディインのブランドの一つでしょうが、一文字だけ違うのですね。ちょっと調べましたが、meridiemと関係があるのかないのかわかりませんでした。

↑このページのトップヘ