字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2020年02月

今日の話題は知っていてもあまり役に立ちそうにないものです。でも楽しんでもらえれば嬉しいです。
アメリカでよく見かけると言われるFirst Ladyとは、多くの場合は連邦政府大統領の配偶者を指します。では、女性が大統領になった場合には、その配偶者(夫?)は何と呼ばれるべきでしょうか

(----私は実は知りません。イングランド(UK)の君主は現在は女性エリザベス1世です。その夫君はフィリップ殿下ですが、英語ではPrince Philip, Duke of Edinburghと呼ばれます。Princeは皇太子を指す言葉ではなく、大抵は、国王を指す言葉ですが、どうも語感としては、king(queen)の下ですかね。和語では王配(おうはい)と呼びます。ですが、イングランド以外の国で、君主が女性の場合、その配偶者は普通、First Gentlemanと呼ばれます。)

さて、本日の話題は、称号ではありません。First Ladyという言葉があまりにも広く行きわたっているために、気づかれないことがあります。それはこの言葉が持つ性質です。First Ladyはkenningという言葉遣いの一つの例です。kenningとは何か?それは「代称」と呼ばれます。日本語では「代称」という名前はほとんど普及していないと思います。そのためここではケニングとカタカナで書きます。古代のゲルマン諸語においては、あるものを指すときに、その名前を直接いう代わりに、他の言葉で同じものを表すことが非常に多い、多かった、と言われています。英語はそれを引き継いでいると言われます。『ベオウルフBeowulf 』にもたくさん出てくるそうです。例えば、現代の綴りでwhale-pathという言葉が登場するそうですが、意味するものは「海」だそうです。

こう言われてみると、日本語にもありますよね。たとえば、「本の虫」です。字義通りのものを意味するのではなく、本好きの人のことです。

kenningの語源は?と探ると古ノース語kenningから来ているそうで、意味はkenna、知る、という言葉だそうです。M-Wを見ると、kenには、スコットランド語でknowとはっきり書かれています。今も生きている言葉なのですね。

ケニングは先日出たmetonymと似ていますが、metonymはある言葉が出てきたときに後でそれを言い換える言葉です。ケニングは言いかえではありません。あるものを直接指すのではなく、別の言葉を用いて指す、ということに由来します。文字のない口承で歴史を伝えるときに音節を整えたり、韻律を踏むために使われたのだろうと私は想像します。(あまり正しくないのかも知れません)

今週紹介した映画の中にhunk of metalという言葉が登場しました。金属の塊?なんのことでしょうか。これはディジタル・コンピューターのことです。これを書いた人にその気があったのかなかったのかはわかりませんが、これは立派なケニングだと私は思います。個人的にはその言葉は蒸気機関車のようなものを指すように思いますが。これには古いkenningがあり、それはiron horseです。別にそれが「正解」だと限定する必要はありません。しかし、古英語よりさらに古いゲルマン諸語の言葉の「綾」のようなものを現代英語が継承しており、その例の一つはfirst ladyである、それはkenningと呼ばれる、と知ると少しワクワクしますね。

以下の単語の和訳で「?」がいくつかあります。その理由を簡潔に。映画では画像が極めて大きな役割を果たします。解説を要するであろう単語を見つける時、scriptを見ながらピックアップしますが、そのとき、どうしてもオリジナルのシーンを思い出せない場合があります。その場合には、自分の訳に自信が持てませんので、「?」が付くことになります。

今日の例で、幾何学の用語が出てくる部分のセリフで、primeという言葉がありますが、前後関係から代数での用法ではなく、幾何学であろうと推測できますが、そうなると和訳が見つかりません。

また、"Frenet frame"「フレネットの枠?」というものを私はまったく知りません。英語読みで良いのか、あるいはフランス語読みにすべきかわかりません。説明する英語のWikiを参照しましたが、どうしても確度の高そうな和訳に達することができませんでした。

prime 素数のことか?
isoscele triangle 二等辺三角形
scalene triangle 二等辺三角形
equilateral triangle 正三角形
rhombus 菱形
trapezoid 台形
tetrahedron 四面体
dodecahedron 十二面体
in the end???
product 積
term 項?
quadratic 二次方程式
factor 因数分解する?
mind 頭脳
Button it 黙れ
y'all=you and all
pick up the place?
disrespectful 無礼な
commie=communist
tow 牽引
Thata girl=atta girl
It's the least I can do. : それが私にできるせめてものことです
hold one's horses 落ち着く
ordain 運命づける
pus?
Zvezdochka 犬の名前
comrade 同志
thermonuclear 水素爆弾
warhead 弾頭
lap 周回する
God-knows-what 訳の分からないもの
analytic geometry 解析幾何学
magneto-plasmadynamics磁気プラズマ力学
charmer イケメン
script メモ
double time 倍増し賃金
credentials 推薦状
trajectory 軌道
Redstone 地名
T minus=time
No shoe is worth your life?
posterior 後部(cf anterior 前部)
abutting 接合部
entertain 考慮する
the impossible 不可能なこと
lest 接続詞
clearance 許可証
warm up 優しくする
Frenet frame フレネットの枠(数学用語 正しい和訳はわかりません)
Gram-Schmidt orthogonalization グラム・シュミットの直交化法
spot on ピッタリ
settle up 片付ける
in a mood 不機嫌で
salty 辛辣な
riddle やりこめる
play the fool バカなことをする
pastor 牧師
entail?
heady わくわくするような
taxing 厄介な
ogle いやらしい目で見る
trajectory 軌道
redaction 改定
interrogation 取り調べ
commission 任命する
out of practice 練習不足な
orbit 周回軌道
beat the pants off コテンパンにする
outwork 出し抜く
epic 最高の
court date 公判の日
relieve oneself 用をたす
fire-arms ピストルなどの小型火器
segregated 人種隔離の
plug in numbers 数字を入力する
sawed-off shotgun 銃身を詰めたショットガン
beebee=old lady
Stafford=Paul
parabolic 放物線の
go-no-go 継続か中止かの
pinhead ピンの頭
puff of wind 一陣の風
moot 怪しげな
get the part その役をやる
pertinent 適切な
have a go at it 試しにやってみる (goが動詞で、go at sth 取り掛かる)
give or take=about
up to speed 期待された速度etcで
get ahead of 追い抜く
stay put じっとしている
make sb mad  怒らせる
Einstein-Planck's プランク-アインシュタインの法則
knack コツ
churn 撹拌する 
the thing is 肝心なことは、実は
fuller<full 太っている
be ass with you....ass?
hunk 塊 hunk of metal=computer  名前のHankとは別物
jettison 投下する
retro-package?
coord 座標<coordinate
chute<parachute
turn the tide 一変させる
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103 words

実在の主人公Katherine Johnson氏が101歳で2月24日に逝去したという記事が新聞にありました。この映画は、1960年代の、アメリカ南部での、数学の才能を持ち、NASAで働く、この黒人女性の話です。英語の同じ題名の本(ドキュメンタリー)を元に映画化されたようです。

1960年代初頭、ソビエト連邦の宇宙進出の方がアメリカより進んでいることをアメリカが知ったことは、アメリカにとっては大きな衝撃でした。それを挽回すべく、新しく大統領になったJFKは、宇宙計画を発表し、60年代中に月に、人間を送り込み、地球に連れ戻す計画を発表。同時にその時代は黒人の民権運動の高まりの時期でした。そして、ディジタル・コンピューターが利用される時代です。その3つが大きな渦となって時代を動かしていたことがわかります。それを映像化しております。このような大きな時代の変わり目で、活躍した一人の黒人女性の話です。当時は、黒人であること、しかも女性であることは、それだけで2重のハンディキャップを意味しました。当時の実写フィルムが各所で使われています。
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映画:『ドリーム』(原題: Hidden Figures)

公開:2016年

ジャンル:ドラマ

時間:127分

配役:
3人の黒人女性の役はあまり有名ではない女優。
Taraji P. Henson as Katherine Johnson (Goble)
Kevin Costner as a head of computing group

あらすじ:
1960年代の南部の人種差別が存在する時代に、天才的であるが黒人女性であることで2重にハンディキャップを負った女性がNASAで活躍する話。

聞き所:
NASAでの要件を満たすために、人種隔離をする高校で単位取得を目指す主人公Katherineが法廷で判事を説得する場面。弁護士もなく、一人で主張し、就学の許可を得るところ。判事は「夜学だけだぞ」というのが精一杯。主張をしないと誰も聞いてくれないというアメリカ社会そのものがそこに見えます。

私の評価:

エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★★☆少ない 
早口度     早い   ★★★ 普通
ビジネス用例  少ない  ★★☆ 多い 
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合計           10★(満点15★)


台本総語数:11k(標準的)

方言:南部訛り、黒人訛り。

コメント:
映画の冒頭では、幾何学の用語が登場しますので、最初の15分くらいは飛ばしてもまったくOKでしょう。

黒人訛り、南部訛りが随所に出てきますが、映画向けにモディファイされている印象です。

NASA内部での話ですので、ビジネス用語が少し登場します。

この映画では「コンピューター」とは人間の計算係を意味しています。human computerです。

この映画の中で、白人と黒人を分離していることが度々出てきます。それは南アのアパルトヘイトと同じです。1960年代にはアメリカが行っていたことを、南アが1990年代に行っていたので、批判しました。いかに身勝手な国であるかがよくわかります。

単語は明日。

あなたは、いわゆるクラシック音楽classical musicは好きですか?一般的にいわれているのは、人口の3%がクラシック音楽を愛するのだそうです。私は好きですが、それはほぼ誰でも知っている作曲家で、有名な曲、有名な演奏家に限られます。しかしそれでも数百曲あるいはそれ以上あるでしょう。

今残っているクラシック音楽が初演されたときは大きくわけて二つの、異なる目的がありました。一つはパトロンである、王侯貴族を喜ばせること。もう一つは、お金を払う聴衆を満足させること、です。後者はフリーランスの作曲家ということになります。ベートーヴェンがその第1号だそうです。人によってはモーツァルトがそうだ、と主張するようです。後者の作曲家たちの作品の大半は初演だけで終わり、二度と演奏されることはありませんでした。今、大手に録音されたり、コンサートで演奏される曲目は、その運命から逃れて、人々に支持された方で、初演が好評で、それ以降何度も何度も繰り返し演奏されたり、楽譜として印刷されたものです。もちろん、例外(初演は不評、でも後で見直されたもの)もたくさんあります。

別の言い方をすると、今我々が聞くクラシック音楽というのは、何百年か前に作曲され、その後も人々に愛されてきた、傑作中の傑作なのです。何百年も生き延びてきたのです。3%でも現代の人々に愛されるのはある意味で当然です。おそらく50年後、100年後にもそれらは生き延びているでしょう。一方で、たとえばビートルズ。20世紀半ばには人々に愛されていましたが、百年後に1曲でも残っているでしょうか。私は懐疑的です。

さて、今日の話題ですが、これら有名な作曲家には、多くの場合形容詞形adjectivizationが存在します。おそらく最も有名な例はWagnerという作曲家の名前が、Wagnerianとなる例でしょうか。Wagnerianというのは、Wagner音楽の熱烈な信奉者、という意味の形容詞です。他の多くのadjectivizationとは違って、Wagnerianだけは独特の意味を持っています。Jesus ChristからChristianが造語されましたが、そこには「信奉者」という意味が込められています。それと似たことがWagnerのadjectivizationにはあるのかも知れません。自然科学だと、Newton、Newtonian。この場合には、熱烈な信奉者という意味はなく、単にNewton学派という意味です。(それ自体が少し広い意味を持っていますが…)Einstein、Einsteinianという形も存在します。

下記に有名な作曲家とその形容詞形をリストにします。スーッと読んでいただければ面白い発見があるかも知れません。

Vivaldian
Antonio Vivaldi (1678–1741)

Bachian        発音/bάːkiən/
Johann Sebastian Bach (1685–1750)
普通の辞書にはBachianは出ていませんが、使われている言葉です。

Mozartean/Mozartian
Wolfgang Amadeus Mozart (1756–1791)

Beethovenian
Ludwig van Beethoven (1770-1827)

Wagnerian
Richard Wagner (1813–1883)

Tchaikovskyan, Tchaikovskian
Peter Ilich Tchaikovsky (1840-1893)

Brucknerian
Josef Anton Bruckner (1824-1896)

Brahmsian
Johannes Brahms (1833-1897)

Mahlerian
Gustav Mahler (1860-1911)

Debussian
Claude Achille Debussy (1862-1918)

Gouldian
Glenn Gould (1932-1982) 作曲家ではありません。有名なピアニストでBachianです。

Beatlesque  /biːtlésk/
the Beatles
私が知る限り音楽関係で、これだけが-queを伴うadjectivizationです。発音が少しトリッキーですね。

小林秀雄はMozartianだったのでしょうか。Adolf HitlerはWagnerianでした。戦後Wagnerの子孫はそのせいで冷や飯を食べていた印象です。私はまったくHitlerianではありません。少しWagnerianです。もしあなたに興味があれば、「タンホイザー序曲」という曲名で知られているものをYouTubeで聞いてみてください。気に入るかも知れません。英語のパワーがここにも表れているように見えます。

暦法には、複雑な歴史があります。しかも天文学と結びついていますが、中世までは天文学と占星学とは同じことでした。分離したのは、ニュートンの頃です。ニュートン自身が占星術師でした。今日は、英語の切り口で、少しずれてますが、「1月」と「2月」について書きます。

かつてのブラジルの首都Rio de Janairoの意味は、「一月の川」だそうです。その理由は「発見者」Amerigo Vespucciが、太陰暦の1502年1月1日に見つけた川、という地名に由来するのだとか。彼が川だと思ったのは間違いで、実は湾だったとのことです。(似た単語でRio Grandeは見ただけで大きな川、の意味だと想像します。)ちなみに、クリスマス諸島、イースター島など「発見」時の時候を示す地名は少なくないですね。

さて、では英語のJanuaryの一月の語源は何か、というとラテン語のJanusだと言われています。ラテン語では、ヤーヌスと発音すると思います。これはローマの神の名前で、Janus、英語の発音は/dʒéinəs/です。この神の顔を我々は容易に想像できます。二つの頭が右と左を向いて後頭部でくっ付いている石像はJanusを表しています。Janusは、初めと終わり、入り口と出口、などを司る神だそうです。1月という始まりのところにJanusを持ってくるのはわかりますが、最後でも良かったはず。ですが、ローマの暦は最初だけはハッキリしますが、1年の最後の方はかなりいい加減です。最後の方ははっきりとはしない、存在しないと考える学者もいます。ので、Janusを「入口」に置くのはある意味当然でしょう。

ローマには神はたくさんいますが、これは我々にもイメージしやすい神でしょう。当然、矛盾を暗示するためにJanusという語が使われるときがあります。そのときの意味は、「右を向いて言うことと、左を向いて言うことが違う」ということです。

2月Februaryで注意すべきは発音です。gooオンライン辞書からコピーしますと、/fébjuèri, fébru-/です。赤インクでは綴りと発音がかなり相違します。気になる人は青インクの方を採用すればよいのですが、私の経験ではアメリカの場合ほぼすべての人が赤インクの発音です。あなたがもしこのことに気づいていなかったのであれば、これから注意して聞いてください。元はラテン語のFebruāriusがフランス語に入り、14世紀頃に英語に、ということです。現代フランス語では2月はfévrierと綴ります。かなりフランス語と英語では違うような気がします。ラテン語Februāriusの語源そのものにも2つの説があるようです。わかりやすい方だけを書くと、煙fumeから、ということのようです。ちなみに、vつながりですが、フランス語avrilは4月の意味です。綴りの変形の背後にはどのようなことがあったのでしょうか。アメリカ人女性でAvrilという人に会ったことがあります。たしか映画女優にもいたはず、と思って検索しましたが、見つかりませんでした。代わりにAvril Lavigneというカナダの、いかにもフランス系の姓名を持った女性歌手が出てきました。

etymonline, Wiktionary、goo辞書を参照しました。

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