字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2019年12月

いつもしかめっ面で勉強しているあなた。たまには息抜きでもしましょう。

throupleという単語を見たことはありますか?これはthree peopleを意味する単語だそうです。coupleという単語を元にして、3人組、のような集まりを指すために作れらた単語のようです。それならば、tripleあるいはthreesomeという言葉があります。後者は名詞でもあります。下半身関係の、少し要注意の単語でもあります。興味のある方はオンライン辞書を調べてみてください。わざわざthroupleという言葉をつくらなくても用事が済みそうです。なお、私の知る限り、辞書には出ていませんが、検索するといろいろなコメントが出てきます。

"The Lord of the Rings"という本の出版は1954年だそうです。映画化は比較的最近のようですね。その本にeleventyという言葉が登場するらしいです。私はまったく知りません。eleventyとは何でしょう?検索すると似たような質問がたくさんありますね。私が納得できたのはそれは110だという説です。ということはtwelvetyもあるのでしょうね。さらには、eleventith、eleventy-firstという言葉もあるはず。

もともと、単語数の多い、多すぎる英語。そこにさらに新語を加えようとするその無駄なエネルギーに感嘆します。日本の若者の隠語というかネットスラングもスゴイですけど。

今年も読んでいただきお礼を申し上げます。来年も皆さまの健康を祈念しております。

昨日の続きです。その語句はabsit omen、ラテン語です。ほぼ綴りののまま発音します。M-Wから説明を引用します:

absit omen
interjection
\ ˌabsə̇tˈōmən \ (これはIPA表記ではありません  /ō/=/ou/です)

Definition of absit omen
—used as a mild invocation ①
if he should fail, absit omen, all will be lost
— compare God forbid ② at god entry 2

①invocationとは「おまじない」のことです。
②God forbid that...とは、「~ということが起こりませんように」という訳が当てられる、成句です。

absitはラテン語の動詞absumの3人称…という説明がラテン語辞書にあります。absitだけでGod forbidという意味になるようです。omenは英語では兆し、を指す言葉だと辞書にあります。Absit omenとは、おそらく、God forbid (bad) omenという意味なのでしょう。

もしあなたが、アメリカの東部のハイソな環境で生活する予定があるのであれば、これは覚えておいても良いかも知れません。他の人がくしゃみをしたときにラテン語でおまじないをいうのは少し衒学的(げんがくてき pedantic)で人の反感を買う可能性がありますけど…

Anglosphereで、くしゃみをする人がいるとき、よく聞く言葉が二つあります。一つはBless you! これはGod bless you!の略でしょう。古代あるいは中世で、くしゃみは体に悪いものがとりついたときにおこる反射行動だと考えられていましたので、「大事に至りませんように」というおまじないだと言われています。二度くしゃみをすると、二度Bless you!という人が多いです。どちらかというと女性に多いような気がします。

これを最初に言った人は、グレゴリウス1世(在位papacy 590-604)だとされています。英語圏では、Pope Gregory Iよりは、むしろSt. Gregory the Greatという名で知られる人です。おそらくこのブログで何度か登場した人物です。庶民にも非常によく知られた教皇です。

彼には有名なエピソードがあります。ローマ市内を散策しているときに、奴隷市場で、肌の白い金髪の少年二人が奴隷として売られているところを見たGregは、少年達と話をして、彼らが最果ての島ブリテン島から来たことを知ります。この時、有名な言葉を言います。"Non Angli, sed angeli” 英語では、"Not Angles but angels"、つまり「彼らはAngliではなく、angelsではないか」と言い、ブリテン島への布教を決意します。595年に派遣されたのがAugustineという人です。彼はケント王国から布教を開始し、成功し、後にSt. Augustine of Canterburyと呼ばれます。ケント王国は今でもケント州となっています。ブリテン島の南東のところで、Canterbuyはケント州中央部にある古い町です。その時のケント国王がエセルバートAethlberhtです。Gregoryがthe Greatと呼ばれる理由は、極めて裕福な家庭の出身である彼は、相続した遺産を売り払い、修道院、救貧院を立てるなどの献身的行為をして、信者に人気があるためです。彼は自らをthe Servant of the Servants of God、つまり「神のしもべの奉仕者」と呼びましたが、これはそれ以来、ローマ教皇の正式な称号です。

ローマ人がブリテン島(Britannnia)に進出したのが43 ADで、撤退したのが407年です。約4世紀間にわたり支配しました。撤退して約2世紀後に再びローマ人の仲間(キリスト教宣教師)がやってきて、新しい信仰を植え付けました。

なお、ローマ教皇でGreatが付く人は3人しかいないそうで、一人はSt. Leo the Great (papacy 440-461)、つまりLeo Iです。3人目はSt. Nicholas (Nicolas I)です。しかし、the Greatは、教会が付与したものではなく、民間人が勝手につけたものだそうです。でもAnglosphereではGreg (Gregory)という名前の方が多いのは、おそらくSt. Gregory the Greatのブリテン島布教開始に由来すると私は思います。これはAnglo-Saxonであれば誰でも知っている事柄です。

さて、たまに聞く、もう一つの表現はgesundheit、発音は/ɡəzúndhait/です。/dh/は分けて発音するのではなく、混ざって発音されます。これはドイツ語のGesundheitそのものを英語が借用したものです。ドイツ語では健康を意味するそうです。日本語で言えば、お大事に、という言葉ですね。でもAnglosphereでは、くしゃみのとき以外には使わないと思います。ドイツ語から英語に直接に、というのはあまり多くはなさそうですが、これはその一つです。

実は、さらにもう一つあります。明日に続きます。

最新のWord Ladyのトピックは、waiting listなのかwait listなのか、です。


2015年のポスターではskating party、今シーズンのポスターではskate partyだそうです。彼女の調べたところではこの傾向は1960年代から、ということです。

動詞にingを付けたものを動名詞gerundと呼びますね。古い文法では-ingを付けてそれで後続の名詞を持ってくる、というのが本来的です。最近はそれが必ずしも守られないようになってきている、ということなのでしょう。

で、私の最も信頼する辞書M-W(Merriam-Webster)を参照すると、wait-listは他動詞となっています。検索するとwaitlistで他動詞というのもあります。

日本語では、おそらく「キャンセル待ち」というのが古い表現でしょうか。もう聞かなくなりました。その和英を検索するとwaiting list/be on the waiting listとなっていました(weblio)。

日本語でも「おいしい」を探す、というような表現が最近出てきました。昔の日本語では、おいしさ、といったはずです。

言葉は時代とともに変化するものなのですね。昔のラテン語でも同じことが起こりました。キケロが演説に使ったラテン語は100年後くらいには、もう理解されなくなっていて、文字の読める人々が学校などで習って初めて理解できた、と言われています。ということは、大半の人々が文字を読めなかった時代ですので、大半の人は100年前のラテン語はチンプンカンプンだったというわけです。似たことは日本語にも。明治時代の文章はそろそろ理解できないですよね。

今年の「単語」に、私が選びたいのは"flight shame"です。

ご存知ない方のために、以下の平易な英文を引用します:
The word ‘flygskam’ is a recent Swedish neologism. It’s made up of two words: ‘flyg’ which means ‘flight’ and ‘skam’ which means ‘shame’. It encapsulates the feeling of guilt, or shame, which can come from knowing the environmental impact of travelling by plane.

quoted from ‘Flygskam’: The New Swedish Word To Describe The Guilt of Air Travel, written by Tabitha Whiting, Medium website
https://medium.com/@tabitha.whiting/flygskam-the-new-swedish-word-to-describe-the-guilt-of-air-travel-252b63398256

その記事において、上の引用文の先で説明されているところでは、スウェーデン人はほかの国の人々よりも7倍も飛行機旅行をするのだそうです。この言葉に押されてスウェーデン人の若者は飛行機をやめて、列車移動に切り替えているようです。平易な英文ですので一度読むことをおすすめします。

さて、flygskamは、最近できた、スウェーデン語だそうです。英語はそれをそのまま輸入せずに、英語に置き換えて輸入したのですね。結構英語は外国語を丸のまま輸入しますが、この言葉に関してはそうはしなかったようです。英語史を考えると少し興味深い現象ですね。

私がこれを選んだ理由の一つは、応用が簡単に効くことです。たとえば、「こんな政治家を持つのは恥だ」と考えれば、安倍恥Abé  shameです。「こんな野党しか持てないのは恥だ」ということであればopposition shameですかね。でも、よく考えると、これを造語したスウェーデン人に敬意を表して、skamを使うのはどうでしょう?英語のscumに発音が近いので覚えやすいですよね。

余裕のある方はetymonlineで、以下のサイトを見てはいかがでしょうか。flightの語源が示されていますが、ゲルマン系の言葉のようです。ほとんど元になったスウェーデン語と同じ言葉が元になっていることがわかりますよ:

https://www.etymonline.com/word/flight

英語史を実感することはあまりありませんが、今回選んだ単語を元にそれを実感していただければ私はうれしいですね。

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