今日は英語に関する話題を取り上げます。少し軽いです。
pirateという言葉があります。ちょっと調べても語源はよくわかりません。諸説を見て私なりにまとめると、おそらく古フランス語から英語に14世紀に入った言葉で、その元は、ラテン語のpirataで、意味は船乗りあるは、海の強盗を意味する言葉(名詞)のようです。16世紀に動詞の意味が加わりました。名詞にするとpiracyです。これだと中学生でも知っているはず。もっとも、現代では、この言葉は「海賊版」を意味する言葉としての用法が圧倒的に多いと思います。
なお、英語には同じ意味の別の単語があります。roverといいます。この語源は中世のオランダ語でrobberを意味する単語だそうです。それにしても、と思うのが、かつて存在したRoverというイングランドの自動車会社、たしか国営だった時期もあると思いますが、強盗、追い剝ぎを車の会社の社名にする、というのは、よほどイングランド人は度量が大きいのでしょうね。
さてbuccaneerという言葉があります。意味は海賊行為です。発音は/bʌ̀kəníər/です。goo辞典によると、「バカニーア(特に17世紀後半にアメリカ沿岸のスペイン植民地を荒らし回った海賊)」と解説されています。語源は、フランス語のようで、boucanierという単語があり、これが、「海賊、野生動物の肉を焼く網」を意味したようで、これの大元は、なんと南米Tupe族の言葉だという説がありました。この大元の語からbarbecueという言葉も生まれたとか。なんで、こんなことになったかが、解説されており、西インド諸島の海賊たちは、しょっちゅう屋外で宴会をやっていたからだそうです。日本人中学生が覚えるのは簡単ですね。「バカだにゃ~」です。
さらに、英語には、privateerという言葉があります。これの和訳は「私掠船」です。私掠船とは、交戦中の相手国の商船を、臨検し、拿捕し、積み荷を奪うことを許可する許可状を持って行うpiracyのことです。piracyとは単なる海上の強盗ですが、privateerとなると、強盗ではなく、正当な敵対行為の一環ということになります。キャプテン・ドレークはこの働きがあまりにも見事だったのでエリザベス1世からナイトに叙されています。海賊が貴族になったわけですが、ダニのような寄生虫のような存在であったことは同じですね。
英語には、今でも海賊礼賛の気風が抜けがたく存在すると思います。イングランドで食うや食わずの生活をしていた最下層の人々が、貴金属を満載したスペインの船を襲うと一攫千金のチャンスが転がりこむのです。もし船に乗らなかったら、ロンドンの貧民窟で餓死していたかも知れないのに。力が正義です。まるで西部劇のガンマンと同じメンタリティーですよね。ピッツバーグというブルーカラーの町の野球チームの名前がPiratesというのはその辺とふかく関係していると私は思います。