字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2018年11月

以前、このブログで電子辞書の話を軽くしましたが、私には経験の薄い分野なので軽く流しましたが、軽すぎたかも知れませんので別の角度から書きます。私の場合、辞書は読むものだという意識が抜けません。ですが、よく考えて見ると、私でも電子辞書、スマホを利用する場合も少なくないので、やはり、私の力量の及ぶ範囲でもう一度書いた方が良いのかも知れません。

私は電子辞書は1台持っていますが、参考程度です。私の電子辞書は数年前のもので、重いもの(10冊以上)を運ぶ必要がない点に引かれて買いました。Canon Wordtankです。これでもかなり便利です。今はCasioをベンチマークする時代のようですね。私が考える評価ポイントは:

①小型、電源
私のはかなり小型でシャツの胸ポケットに入りますし、飛行機座席の机上でも場所をとりません。今はスマホがあるので必要性はあまりないような気がします。私にとっては、ウェブ、紙媒体を読んでいるとき、すぐに引きたい言葉があるときに重宝しています。スマホより便利です。実用的なストラップをつけて使っております。

充電を気にしなくて良いように、充電池を使っています。人にもよるでしょうが、私には充電池の方がずっと便利です。

何かの記事で、iPhoneにはデフォルトでOEDのアイコンが入っているのだそうです。(20巻の辞書がiPhoneに入っているとは。私のはAndroidですので無縁ですけど。)この記事を読んでから私はiPhoneをマークするようになりました。

②発音 
加えて、発音音声ファイルが付属していると便利です。発音記号は、その音声を知っている人には便利ですが、知らない人には少し不親切です。大別するとアメリカ式、イングランド式の発音があるので、自分が身につけたい方の発音があるのは必須でしょう。

③単語帳
私のには引いた単語を登録する機能があります。自分が引いた単語が並んでいます。後で記憶しているかどうかのチェックに便利でしょう。

これにはないが、あると便利な機能をいくつか。ただこれらは今だとスマホで代用できます。
④シソーラス
英語のシソーラスがあると便利です。
⑤語源
etymology dictionaryがあると便利です。
⑥コーパス
あると便利です。
⑦自分の好きな辞書が入っていること
私の場合、Meriam-Webster, Oxford Advanced Learner'sが好きなので、電子辞書にも最初からあるとうれしいです。(私のCanonのには後者が入っています。)
⑧例文(?)検索
最近立ち読みした本で、電子辞書の優れた機能として、全辞書(全例文?)を網羅的に引く、そのときに、英語、日本語を2重に指定することで、〇〇という日本語が入って、なおかつ、□□という英語が入っている例文を一発で引くことができる、というものがありました。たしかにそれは非常に便利かも知れません。(立ち読みで読んだだけで、私の電子辞書ではそれはできませんので、実感が伴いませんけれど。)これは電子辞書でのみ可能な技でしょうね。(なお、その本をサーっと読んだだけでして、私の理解不足の可能性がありますが、その前提としてはおそらく見出し語だけではなく、例文自体も検索できる電子辞書がある、ということなのでしょうね。)

電子辞書を置いてある書店はあまりありませんね。書店は紙媒体だけなのでしょうか。それともショールーム利用だけなので最初からgive upということでしょうかねぇ。

今はスマホが音声翻訳をある程度こなしてくれるそうです。今後、音声認識、音声翻訳はもっともっと進むでしょう。苦労して外国語を学ぶ必要はないでしょうか?とんでもないと私は思います。言語とは何か?外国語とは何か?単に日本語に文字翻訳、音声翻訳されれば学ぶ必要はなくなりますか?言語は思考の道具です。思考はすべて言語によるわけではありませんが、言語なしに思考をすることはおそらく不可能だと思います。日本語しかできない、ということは、日本語的な思考しかできない、ということです。それがあきらかに世界をリードしているというのであればそれでも良いかも知れません。でも実際にはそんなことはまったくありません。色々な国内のニュース、海外のニュースを、自分の知識、経験、言語知識、文化認識で分析すると、日本はなんてユニークな国なんだろうと思います。しかも少し幼稚です。そして言葉はかなり稚拙です。日本語的な思考しかできない、ということは日本語的な幼稚な思考しかできない、ということと同じです。それを他力本願の翻訳で乗り越えることは私は不可能だろうと思います。これこそが世界を動かす言語を身に付ける意義だと私は思います。あくまで私の意見です。押し付けるつもりはまったくありません。

いつかインドネシア人とこの種の話をしたことがあります。彼はオランダ人がかつてインドネシアでした犯罪的植民地経営については嫌悪していました。ですが、なにかまともなことを学ぼうとするとオランダ語でしか学ぶことができない、と言っていました。それが別に本当にオランダ語である必要があるかどうか-----おそらく別にドイツ語でも英語でも良いのでしょう。(彼は英語がペラペラでした。何も今更オランダ語を・・・とは思いましたが、その人物は聡明でしたので、強い根拠があるのでしょう。)過去のいきさつなどからインドネシア人はオランダ語に依存せざるとえないとことでした。

人間を本当に理解するためには、類人猿をも見ることが必要でしょう。日本語しか知らないということは何も知らないということとほぼ同じだと私は思います。少し電子辞書の話から脱線しました。


今回Disneyという名前ですが、もともとはフランスのノルマンディー地方のIsigny (Isigny-sur-Mer)に由来するようです。ノルマン・コンクェスト(NC)のときに、随行した人々の中にIsigny出身の人がいて、D'Isignyと呼ばれたことが起源のようです。その人々はLincolnshireに住んだそうです。Walt Disney自身は、アイリッシュ系であることを公言していたそうですので、その後、その人々の一部はIrelandに移住したのでしょう。なお、イングランド人はNCの後に作られた課税台帳Doomsday Bookのときに、男性はすべて苗字を付して、フルネイムだけで誰それかを特定できるようにされましたので、身分に関係なく、中世から苗字を持っています。

この作品では、「現在」と「Mrs. Traversの過去」とが交互に描かれます。場所も、カリフォルニア、オーストラリアのどこか、ロンドンが入れ替わります。そこにMary Poppinsの時代設定が少しオーバーラップしてきてやや複雑です。言葉もそれに合わせてかなり広範な単語、イディオムが使われます。過度に単語にとらわれる必要はあまりないように思います。

さて、この映画の基本は、原作者(Mrs. Travers)とディズニー社側との映画化交渉ですが、あまりその側面は描かれていません。この映画では、典型的な英語の決まり文句が登場します。もしまだご存知でないのであれば、触れておく価値のあるものです。(下品な表現ばかりなので、覚えても使うことはないだろうと思いますけど。)

something is brewing イディオム 何かが起ころうとしている(about to beginはsomething is brewingを言い換えている)
sham フリをする
neonate 新生児
reciprocated 互恵的
anguish 苦悶
cavort はしゃぎまわる 
It's just as well 決まり文句 かえって好都合だ
filthy 下品な
final say 最終決定権
exploratory 予備的
preposterous ばかげた
launderette コインランドリー
steed 馬
good riddance 決まり文句 せいせいしたよ
ghastly 嫌な
subtlety 機微
pixy 妖精
shan't<shall not
Okey-dokey=OK
discomfiting 困惑させる
chirp チュンチュン鳴く 
prance 跳ね回る
whippet 豆戦車
catch on fire 燃え出す/大成功する
ember もえさし
dangle ちらつかせる
all this time 今まで
corral 檻に入れる
frivolous どうでも良い
governess 住み込みの家庭教師
tarnish 汚す
pore じっくり考える
grip 捕まえる 
torment 苦しめる
say-so 許可、決定権
benefaction 善行
vulgar 下品だ
horrid 恐ろしい
give it a whirl 試しにやってみる
extemporize 即興でする
horrid 恐ろしい
nag=pony
gable 切り妻
nasturtium 植物の名
aristocrat 特権階級
suffragette 女性の婦人参政権論者
neglectful 不注意な/怠惰な
go some way toward いささかでも役立つ
go a long way toward おおいに役立つ
infernal 悪魔のような
predicament 窮地
ulcer 欠点/潰瘍 
give sb ulcers 大変な迷惑をかける
unriddle 謎解き
fix 出す  fix me breakfast 朝食を作ってくれる
To hell with it 決まり文句 クソ食らえ
butt 頭突き
milady 貴婦人
horrendiferous?
foul汚い 
flow 家禽
It's just that ただ~というだけ
banisters 手すり
clown 道化 ピエロ
patronizing 恩着せがましい
I dare say 言わせてもらうと
giddy くらくらするような
fluff つまらないもの
whimsy 奇抜さ
gravitas 重々しさ
no weight 価値なし
oh dear あらまあ(女性言葉)
Allow me. 私がお助けしますよ
hatchet 斧
whack バーン
take that 受けてみろ
bairn=baby???
buy into 巻き込まれる(Aussie Eng)
loathe 嫌う
stuffy 風通しが悪い   ex. My nose is stuffy 鼻が詰まってんだよね~
entertain 受け入れる (この用法ではエンタメとは無縁)
ghastly 空恐ろしい
pap 内容のない本、映画
apostle 使徒
conundrum 謎
exemplary 手本のような
fell blow=fatal blow
honest to God 正直言って
lay the table 食卓の用意をする
maypole 五月柱? 欧州の祭りで使われるシンボル  Wikipediaに絵があります
stature 名声
foreclosures差し押さえ
chattels 動産
debtor/sales 負債・販売比
shipyards造船所
collierie=coal miner
tannery 皮なめし業者
amalgamation=mergers
blasphemy 冒涜
impertinent無作法な
furrow 溝
coop 閉じ込める  生協の綴りはco-op。

これを見る人のword powerによってはまだまだたくさん調べねばならないかも知れません。

映画『ウォルト・ディズニーの約束』(原題Saving Mr. Banks)

公開:2013年

ジャンル:ドラマ

時間: 125分

主役: Emma Thompson as Mrs. Travers, Tom Hanks as Walt Disney

あらすじ:気難しいイングランド人女流作家が、自分の小説の映画化権をディズニーに売って、映画化されるまでの話。女流作家の子供時代の不幸な話として父親の死、母親の自殺未遂、乳母の登場などが、現在と絡み合って語られる。

聞き所:
いくつかの決まり文句が出てくるのでそれを覚えるには良い。ただし下品な内容。
エマ・トンプソンのRPのすばらしさ。私が知る限り最も美しいRPを話す女優です。

私の評価:
あまり出来のよい映画だとは思いませんでした。映画『メアリー・ポピンズ』を知らない人には楽しめない映画かも知れません。延々と女流作家の偏屈ぶりが描かれています。
英語のタイトルが何を意味しているのか、日本語のタイトルが何を指すのかよくわかりません。(映画を見ると少しはわかったような気になりますけど・・・)

エンタメ度   つまらない☆☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★★★ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★☆☆ 少ない
早口度     早い   ★★☆ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い
---------------------------------------------------------
合計           6★(満点15★)

方言:きれいなRPと、アメリカン・イングリッシュが常に対立します

単語、熟語などは明日に。

今日の話題の中心は私のボヤキです。先ず、へんてこりんな、英文を引用します。ちょっとだけ我慢してサーっと読んで見てください。

And certaynly our langage now vsed varyeth ferre from that whiche was vsed and spoken whan I was borne.
(William Caxton's prologue to "Eneydos, 1490")

我々の知っている英語だとこうなります:
And certainly our language now used varies far from that which was used and spoken when I was born.

最初の文は、ウィリアム・キャクストンという、活版印刷をイングランドで最初に行ったと言われている人が、ある本の序文で書いた文です。単なる印刷屋のオヤジではありません。当時の教養人、翻訳家であり、実業家でした。これは15世紀末の文です。(綴りが今と違うのは主に発音自体が今と違うためです。加えて、動詞の活用などの語形変化が今と違います。u/vの使い分けも今と違います。)

キャクストンがが生まれたのは1420年前後と推定されています。没年は1492年頃です。(まだグレゴリオ暦ではないので没年自体が単純ではありません)。言葉を覚えたのが1430年前後として、この当時ですら、5,60年の差で言葉は大きく変化していたのです。1500年前後が中期の英語と現代英語の境目にあたります。「英語」は10世紀頃からものすごい勢いで変化をしますので、その変化が終盤にさしかかっていた頃の話です。それでもキャクストンに、自分が生まれたときとは英語はかなり違っていますよね、と言わせていたのです。

私の場合も日本語で似た感想を持ちます。私が生まれた頃には自分の周囲に「ら」抜き言葉はありませんでした。(正確にはすでにあったらしいのですが、関西地方での話だそうです。)最近は、自分はそれをやる、やらない、を言う代わりに、出来る、出来ない、と言います。仰る(おっしゃる)という言葉はほぼ死語で、言われる。最近では、財政、雇用、司法、支出はすべて語頭にアクセントを置きますが、昔はそうではありませんでした。

そもそも、今の若い日本人の日本語力はほとんど危機的状況かも知れません。おそらく私の知らない世界があり、日本の若者は日本語をどんどん進化させていると信じたいです。----そんなボヤキを、ニュージーランド人としていたら、状況はAnglosphereでも同様だと言われました。イングランドだけではなく、ほぼ同時進行で、南アフリカ、オーストラリアなどの国々で若者の英語力が低下し続けているのだとか。その理由に関してはいまだに確固たる支持を受ける説はないそうです。つまり、原因は不明ながら、欧米の英語圏でも若者の言語力は低下を続けているらしいのです。その一方で、英語を母語としない人々の間の英語のいろいろな試験では、実力は毎年伸び続けています。設問の内容によっては、そのうち逆転するだろうという学者もあるそうです。また、前後しますが、英語自体の変化のスピードは段々加速しているのではないかとその国の大人たちは感じているようでした。「犯人」はアメリカだそうです。

たまに書かせていただく私のボヤキ。今日はこれくらいにします。キャクストンの上の文はボヤキではないかも知れません。私のはボヤキです。そういえば、古代エジプトのヒエログリフ(神聖文字)でも、「近頃の若い者は・・・」というボヤキがあるそうです。5千年前の人々も似た思いをしていたようです。

フランス語を習い始めてすぐに感じる疑問の1つは、フランス語ではなぜ-mentが付いている単語は副詞なのだろうか、という疑問です。英語でdevelopmentという言葉は名詞です。分解するとdevelop+mentです。英語では、-mentはおそらくすべて動詞の後に付くものですよね、たぶん。

一方、フランス語では少し違います。たとえば、英語でlargely大いに、という言葉はフランス語ではlargementです。フランス語では-mentは副詞化するときに使われます。どういうことがこの背景にあるのでしょうか。

答えは、英語で-mentの由来と、フランス語で-mentの由来が少し違うから、です。フランス語の-mentはラテン語の精神を表すmensという単語の変化形(奪格という、由来などを表すときのラテン語独特の形)に由来します。英語のほうは、-mentumという、ラテン語の、名詞を作る接尾辞に由来します。(この接尾辞自体が更に別の言葉に分解されますが、ややこしい回り道になるので、ここでは触れません。)つまり、今は形は同じですが、元々の語が違うのです。名詞を作るための接尾辞が由来ですので、英語では-mentが付くと、すべて名詞です。例えば、govern+ment=governmentです。フランス語には奪格はありませんので、代わりに副詞をつくるようになったというわけです。

ちなみに、英語で-lyというのは、印欧祖語と呼ばれる元々の言葉から派生した、ゲルマン祖語に由来します。bodyを意味するligaという言葉に由来すると言われています。(ligaはイメージ的には今の英語の、例えば、ball-like球状の、という例で-likeとなって残っています。)そのためゲルマン祖語の各言語では、lig/lichかそれに近い形となって相続されて行きました。英語の場合、いろいろあったのですが、最終的には-lyという発音、綴りになりました。ドイツ語でも、これがそのまま残っていて、人間Menschの語尾に-lichを付けて、menschlich人間らしい、としますね。ここにも又、英語がゲルマン系の言語であることを示す例ということでしょうね。つまり、-like,-lich,-lyは兄弟なのですね。

推移、変化の細かい部分に関しては歴史言語学者、比較文法学者に任せるとして、ポイントとしては、見た目では同じ接尾辞-mentではあっても、由来、使い方が違ったために、別の使い方がなされるようになった、ということですね。フランス語から英語へと、中世に国の主従の関係で近くなり、たくさん単語が英語に入ってきましたので、その1つなのだろうと想像して片付けようとしても、片付け切れない違和感がありますよね。フランス語の教師は誰もそのことを説明してくれませんでした。それは学生が質問しなかったからでしょうか。あるいは自分が英語を学んだ時から随分と年数が経っていたためにそんな学生っぽい疑問は忘れてしまったからでしょうか。あるいは単に教師が知らなかったから?いずれにせよ、語源的に分析した説明を見るとこのようにスッキリと分かる場合は結構ありますよ。語源の楽しみのひとつですね。

いつか、フランス語、ドイツ語を私は好きになれないとこのブログで書きました。ちょっとだけ続きを。その理由のひとつが、たとえばle café という言葉。英語ではthe coffeeで良いのでしょうか。the coffee?何それ?って感じですよね。le caféが嫌だとun caféでやってみると、one coffee?やっぱり何それ?って感じですよね。かくして私はフランス語に違和感を持ち続けております。文法の授業ではかなり違和感がありました。フランス語文法のあの教師はどこまでフランス語の定冠詞を理解していたか疑問ですね。ドイツ語だと固有名詞まで語尾変化をします。HamburgなのかHamburgerなのか?最初からオリジナルフォームをわかっている場合は良いでしょう。でも初めて見る単語だったら?その点、英語だとなんとなく許せる範囲で収まってくれています。でも、英語の発音と綴りのいい加減さ、イディオムと単語数の多さを最初から知っていたら、私の好みは方向転換していたかも知れません。個人的な好みでいうと、スペイン語(カスティーリァ語)はなかなか素敵な言語だと思いますけどね。でもスペイン語ができてもほとんど何の役にも立たないような気がしますし、そもそもスペイン語の聴き取り力をアップさせようと、映画を探してもたぶん何もないでしょうね。それに言葉は学習者を感化させるところがあります。もし自分がスペイン的になっていたら、と想像すると・・・すこしへこみそうです。

明日は、イングランド最初の活版印刷業者キャクストンのボヤキについて、です。

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