字幕なしの英語聴き取り応援団

英語の映画などの発話部分だけを編集、抽出して、繰り返し聞くという学習方法をおすすめするブログです。留学などの費用、時間をかけずに、実用的な英語力を涵養することができます。3か月以内に結果を出しましょう。既に210本以上の映画を紹介済み。

2018年09月

今日は、取り留めのない、言葉の散歩にお付き合いくださいませ。今日は北太平洋方面です。

綴りと発音は、教養の鏡のようなものだと私は考えております。過度に神経質になる必要はありませんが、高い教養の方には、より高度な綴り字の知識がふさわしいです。さらに言えば、高度な綴りの知識にはそれにふさわしい発音があるはずだと私は考えます。日本では、名前に使える漢字の制限がありますが、読み方は「自由」なのだとか。このためにおよそ字とは関係ない音の名前の多いこと。これって本当に良いことなのでしょうかねえ。

さて、ロシア極東地区にある巨大なカムチャツカ半島。これをNHKなどはカムチャッカと発音します。 カムチャツカなのか、カムチャッカなのか。どちらでしょうか。答えはカムチャツカです。ラテン・アルファベットではKamchatkaと綴ります。(キリル文字ではКамчаткаと綴ります。)このラテン・アルファベットはキリル文字を置き換えただけです。より正確には、カムチャートカのようです。トの発音には子音〔t〕だけで、〔o〕は入りません。

ちなみにこの半島には富士山のような美しい山(通称カムチャツカ冨士)があります。標高4800m以上あります。地震の巣の上に位置しております。この列島をアリューシャンといいますが、これは英語です。Aleutianと綴ります。Aleut族と呼ばれる人々がいて、話す言葉がAleut語です。Eskimo-Aleutと呼ばれる語族があるそうで、そのうちの一方を指すようです。Eskimoとここで呼ぶ人々とInuitとの関係などについては、私はまったくの無知です。もうしわけありません。あくまでも、英語という切り口で、ユーラシアの東の果ての地名について述べているに過ぎません。ロシア国内の自治領です。

Eskimo-Aleut語族が言語学者以外の人々に注目されるようになった理由は、ある言語学者がこの語族には、100以上の雪を表す言葉がある、と報告したときからです。普通言語学者しか注目しないことのはずですよね。英語にはsnowだけ。強いていえば、blizzard(猛吹雪)という言葉がある程度。100という単語の多さに、アングロ・サクソンがすぐさま反応しました。自分達の言語が非常に単語数が多い、という悩みあるいは誇りを日頃持っていましたので、自分達をしのぐ言語が発見されたのか、という興味でした。その後あまり聞きません。たぶんこの言語学者を、あるいは発見を茶化してsnowcloneなる公式まで考え出されたようです。

日本語では、米、稲、苗、籾などの言葉があります。言語学的な経験則では、関連単語の多い語はその言語において重要な単語です。

ちなみにblizzardという言葉ですが、ある辞典によると、これは1820年頃にアメリカン・イングリッシュで登場しました。面白いのは、アメリカのMidland地方と呼ばれるところで使われ始めたらしいことです。カナダ以北のblizzardのある地域ではないらしい、というところが興味深いです。OEDによるとblizz(強風の音)に由来する擬声語だろうということです。まあ、語源がわからない単語があるのは仕方ありませんよね。

明日はOEDの使い方の一例です。

本日はこの映画の単語についての説明です。この映画には、あまり難しい単語はないのですが、イディオム、俗語が非常に多い映画です。我々外国人は知らないイディオムとなると手も足も出ません。すべてを覚える必要はありませんが、一部は覚えておく価値があると思います。アメリカ人でも、あるイディオムらしき言葉を尋ねても、知っている人もいれば知らない人もいる、ということは覚えておく価値があると思いますね。日本語でもそうですけどね。

monument    第1義は記念建造物。第2義は、不朽の名作。この映画では後者の意味。
God willing    (決まり文句)神の思し召しあれば
end up        上がり
blast        (多様な意味を持つ単語。辞書を見ることをお勧めします。)ここでは、「バンバンとやる」-->大音響と共に進む、というイメージでこの単語を捉えることが近道だと私は思います。
compelling    (adj)説得力のある 元の語compelとは関係はあまりない
swell        She's swell. 粋である、素晴らしい。(膨らんでいる、ではない。)
blow up        ここではおそらく燃やすの意味
That's the idea.  ここでのideaは「狙い」を意味する。意味は「それが狙いなのさ。」
point man    (軍隊用語)パトロールの先頭の者
stick it out    最後まで辛抱する、持ちこたえる
shake        追跡を振り切る
make out    うまくやって行く
blank        空砲
task        ここではvt  任務を課す
Fuhrer        ドイツ語 総統
undue        無茶な
sarge=sargent
command and control=(軍事)指揮統制、だが、ここではcommand and control centerの意味、=指令所
KP        (軍事)炊事兵 kitchen police
have at it    try it/do it
C.O.        =commanding officer 字句通りには命令将校 日本語では指揮官(あまり正確ではないが・・・)
hotfoot it    大急ぎで行く
sport        男同士の呼びかけ、友人または見知らぬ人に。Hey, sport! よう兄弟!

他にもまだたくさんあると思います。ですが、知らなくてもなんとかなるとも言えます。

この映画はできれば1回以上見ることをお勧めします。全部のパートを二度、三度見る必要はありません。聴き取り力アップのためには、繰り返し聴く箇所を自分で決めてそこを集中するだけで充分に効果が出ます。また色々なソース(音源、ここでは映画です)を試すことで、話す速さ、訛り、言葉使いなどが違いますので、多様なソースを教材にすることをお勧めします。

明日は「言葉の散歩」です。





映画『ミケランジェロ・プロジェクト』(原題The Monuments Men)

公開:2014年

ジャンル:ドラマ

時間:118分

主役:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン

あらすじ:
第2次大戦で連合軍がノルマンディー上陸を果たした後のヨーロッパ。ヒトラーのための美術館の構想の下、ドイツ軍が各国の国宝級の美術品をかき集めてどこかに輸送していた。ハーバード大の美術の教授(ジョージ・クルーニー)がアメリカ大統領にそれを阻止し、美術品を取り戻すことを提言。その提言が採用された。数人のチームをつくり、ドイツ人捕虜から目的地を割り出し、膨大な数の美術品を取り戻す。

聞き所:
戦争ドラマ、戦争映画をオリジナル音声で普段から聞いている人以外には、耳新しい単語、イディオムが多いはず。必ずしも覚える必要があるとは思えませんが、一度聞いておくと、次に聴き取ることはできるはず。意味がすぐに思い出せなくても、次に似た種類の言葉を聴いたときも、聴き取れるでしょうし、連想を働かせることができるはずです。聴き取り力も弱いし、単語力も弱い、というのでは「敵」だらけですよね。単語として聴き取るという力を育てることも重要です。

私の評価:
映画としてのデキはあまりよくありません。盛り上がりも、ハラハラドキドキもありません。なぜこんな映画をジョージ・クルーニーは監督したのでしょうかねえ。


エンタメ度   つまらない★☆☆ 面白い
文化理解要求度 高い   ★☆☆ 低い  
熟語、俗語量  多い   ★☆☆ 少ない
早口度     早い   ★★☆ 普通
ビジネス用例  少ない  ☆☆☆ 多い
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合計           5★(満点15★)

方言:
フランス訛りの英語が面白いです。特に、ケイト・ブランシェットCate Blanchettという女優の訛りが、迫真です。優れた俳優、女優は訛りをも完璧に克服するものだという良い例。彼女はオーストラリア人です。振る舞い、言葉が完全にフランス人に見えます。

単語、熟語などは明日に。

今日は取り留めのない話です。ですが、きわめて重要な話題でもあります。

先日NHKの放送で、古代人類史の話(再放送)3話を見ました。興味深かったのは、動物の骨から毛皮を縫う針を作り出す工程を見た人の大脳は、ブローカ野と呼ばれる脳の部分が活性化するということでした。脳のMRI画像が示されていました。(研究者はDietrich Stout, Emory Univ, Dpt of Anthropologyです。)

ブローカ野とは何か。Paul Brocaはフランスで19世紀中ごろ活躍した医者、人類学者です。1861年に、音声言語に対する反応が極めて単純な反応、"tan"とだけ応答する男性患者Leborgneルボルニュのことを知ったと言われてます。彼は21年間に渡り言語障害をわずらっていましたが、理解力などに大きな問題があったわけではありませんでした。まもなく、この患者は死亡します。脳を解剖してみると、ある部分の脳梗塞が言語障害の原因であることが推定されました。そのような例を集めて、結論として、大半の人の左脳の前頭葉下部に、今日ブローカ野と呼ばれる領域を示します。ここが言語中枢と呼ばれる部分です。彼の名前に基づき、Broca's area(ブローカ野)と呼ばれます。彼は大脳の場所によって担う機能が異なるという説にたどり着きます。

また、ウェルニッケ野という脳領域もあります。19世紀後半の人です。ドイツの神経学者Karl Wernickeに由来。失語症が脳の特定の領域と関連があるということを発見した人です。左脳の聴覚野と呼ばれるエリアの隣にウェルニッケ野はあります。聞いた言葉の理解はウェルニッケ野で行われると考えられています。我々にとっては両方とも大事ですね。

Leborgneの例のように、ウェルニッケ野は機能しているようで、聞いた言葉を理解しても、それに対して言語応答をしようとするときに関係してくるブローカ野に障害があると、彼の場合はtanという言葉でしか反応しなかったということになります。

さて、冒頭の、骨から針をつくる作業がブローカ野が関与している、ブローカ野は他に言語を統率する作業もしている、という話。私は実は女性の言語能力が男性よりもかなり優れていると考えるものです。(これによって女性が優れているというような話ではありませんよ。)とすると、男性は、ものづくりの工程をイメージすることが、女性より下手なのでしょうか。このあたりに関する専門家の研究はあるのでしょうか?私の意見では、どうも男性の方がものづくりの工程イメージでは優れているような気がします。ただこれは関わる分野とも関連があるかも知れません。たとえば、布から服を作る仕事と家具を作る仕事を比較する場合、女性は主に服に、男性は主に家具に関心を持つ傾向があるように私は思います。ですので、作業の分野が違うだけの話であり、男女の差なく、工程のイメージ化を行うことができる、ということにより妥当性があるのでしょうか。

実は、今の若者は、母語において、つまり日本語において、思考を文章化する、書かれた内容から意味を汲み取る、相手との文字または音声言語を通じてやり取りをする、ということが段々できなくなってきていると脳科学者達は警鐘をならしています。これは幼児期からの訓練によります。特に最近は、ツイッターなどの短文による、直感的な言葉のやりとりだけが、あたかも言語化のすべてであるように見えるほどです。仮にそうだとすると、母語でできないことを、英語の映画でできるということは考えにくいでしょう。

また、ブローカ野、ウェルニッケ野でも、外国語を学ぶと、その中に母語以外の領域が形成されるといわれています。そのときに、最初は異なる領域であったものが、たとえば、日本語領域、英語領域で、別々だったのものが、段々敷居が低くなるといわれています。自然にそうなるのではなくて、訓練によって、です。そのときに、言語以外の情報が重要な役割を果たす、と言われています。たとえば、このブログでは言語以外に色々な、話題を提供していますが、そのような知識が多い方がより効果的に学習し、敷居の低下に寄与するという説があります。そのためにこのブログでは、いろいろな角度からサポートするような話題を提供しております。

そのような言語生活に関係する脳の部分を刺激することで、自分の統語回路(文を書く、外国語音声を理解する)を刺激し、聴き取り精度を向上させ、発音をよりよくすることになるのです。

この理由により、母語でまともな言語コミュニケーションが出来ない人が、外国語でできるということが少しおかしな話だということになります。逆にいえば、母語でちゃんとできる人は、正しい訓練により外国語習得において、母語の持つ基礎を利用することができるということになりますね。

ちなみに、脳の力は年齢と共に老化するのかも知れませんが、筋力ほどには老化しないと考えられています。また、脳も筋肉も訓練次第で何歳になっても伸ばすことができると考えられています。ですので、英語の聴き取り力も年齢に関係なく伸ばすことができます。

さて、冒頭の、私が見たテレビ番組で、言語脳(ブローカ野)と、骨から針を手作りする工程の脳とが重なっている話ですが、どのように解釈すべきなのでしょうか。おそらく論理だって話をできる人は、何か新しいものを作り出そうとするとき、それをイメージして、形を整えて行くことができる、ということを示しているような気がします。逆も真なりかも知れませんよ。

明日は映画『ミケランジェロ・プロジェクト』です。

本日は知らない人には多少意味のある情報です。

日本で、学級委員を選ぶときの投票で、票数を数えるときには正の字を黒板に書きます、あるいは過去には書きました。欧米でこのようなときには、スラッシュを四本まで横に並べて、5本目に横棒で貫きます。文字ではありません。このまとまりひとつが5を表します。(そういえば中国でもやはり正を使うのでしょうか?)

日本語では〇×は明らかですよね。〇=good、×=not good/no goodを表します。ですが、欧米ではそうとは限りません。〇も×も単なるハイライトに過ぎません。yes/noあるいはgood/not goodを示すものではありません。ですので日本的に使いたい場合には、「〇=good、×=not goodだよ」と説明しておく必要があります。それにも関わらず、無視されることもありえますよ。私の経験ですが、非日本人達とブレインストーミングをやっていたとき、アイディアの絞込みにおいて、〇×がやがてごっちゃになり、訳がわからなくなったことがありました。消すときには、横棒で消す、というのはインターナショナルだと思います。(ちなみに、冗談で、「OXはoxenの単数形だよ」という、嫌味なガイジンもいます。That's bullshit.とやり返すかどうかは流れで判断しましょう。)

正解、不正解をいうときの日本語の表現のひとつは、「ピンポン」、「ブー」です。今では幼児言葉とも言い切れないと思います。これを英語でそのままいってもtable tennisとboo(ブーイングのboo;非難など)だと誤解される可能性が大です。英語では、ding dong、buzzと言います。ding dongは鐘の音で、日本語のピンポンとは少し違うような気もしますけれど。蛇足ですが、車の「ブーブー」という音はzoom zoomといいます。マツダの車のCMで出て来ますが、あれはクルマがブーブー、あるいはブーンといっているのです。なぜ大人向けのCMで幼児言葉を使うのかは私には不明です。

明日は、大脳の話です。





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