最近、ある、英語学習者向けの日本語の本を読みました。その本の中から引用します:
最近では、ネイティブ英語が会社に損害をもたらすケースさえある。イギリスとフランスの企業から航空管制機器の売り込みを受けた、ある韓国企業が選定したのはフランスの企業だった。理由は、フランス人の英語のほうがわかりやすく、メンテナンスの際につき合いやすいからだ。(一部改変)
私の率直な意見としては、この本は感情的に「ムリ」です。最初から偉そうなトーンが全開で、それは最後まで変わらず。書いている方はそんな気持ちは持っていないのでしょう。嫌味な本です。これは、日本語版ニューズウィーク誌に何年かにわたって掲載されたpostを集めて一冊の本に仕上げたものだそうです。私は一度も読んだことはなさそうです。上記の引用の事例については、私は初めて知りました。昔Thomsonというフランスの会社が航空管制システムを製造して売っていましたので、それはおそらくその系統の会社のことでしょう。いずれにせよ、これはただのguess workで、このpostとは無関係。
さて、この引用部の言わんとすることは、正しいです。ネイティブがペラペラと勝手なことを話して、ノンネイティブに正しく伝わるかどうかをあまり考えない・・・よくありがちに見えます。そんなことに無頓着なUKのメーカーの製品よりも、英語をlingua francaとして考え、英語の持つ、外国人に理解されにくい可能性のある表現、慣用句、語句の使用を最小限にすることは大事でしょうね。
同じことはコンシューマー用製品にも言えます。昔、私はちょっとしたアクシデントで社外セミナーに参加できなくなった人の代理で、あるセミナーに参加したことがあります。(受講料を返還しないことが契約条件に明記されていましたので・・・)あるケーススタディ。取説を書くのに、ある企業では設計担当者が最適だろうということで現場の技師に任せたそうです。できたものは、素人から見るとちんぷんかんぷんだったそうです。その会社はそのことで、取説がいかに大事な商品であるかを再認識し、それからは専任の部署を立ち上げ、エンジニアの協力を得て、その部署の責任において消費者に分かりやすい取説をつくることにしたそうです。つまり、専門家が良い、と評価するものと、一般人が良いと評価するものは同じとは限らないという例です。上記の航空管制システムの調達先の話に似ています。
上記の本に軽く登場しますが、Jean-Paul Nerrièreという人が globish という用語を発明しました。globalに通じるEnglishという意味なのでしょう。これの仲間があってpidgin English というもの。本来の英語を元に、まるで教育のない商売人同士が取引し、交渉し、決済するときの共通言語のことをpidgin Englishと言います。pidginとはbusinessという言葉を広東語話者が発音したときに、非広東語話者に聞こえる音がbusinessではなくてpidginなのだそうです。それが語源だと言われています。(もしかすると、厳密な意味では pidgin English/globishには大きくて明白な違いがあるのかも知れませんが・・・)
cf Globish (Nerrière) | wiki
これを英語のニュースで見ると、例えば、CNNで登場する英語とPBS(アメリカの公営放送)で使われる英語の差です。CNNは大前提として、チャキチャキの英語を話すオーディエンスに対して放送していますが、PBSの方は移民、教育水準の低い人、早口の英語を苦手とする老人たちを想定して、より一般的なオーディエンスを念頭においています。
このブログでは英語の文化的側面に注目することも、我々が目指すべき「英語」のくくりの中に時々入れますが、たまにこんな側面を再認識することも重要でしょうね。
最近では、ネイティブ英語が会社に損害をもたらすケースさえある。イギリスとフランスの企業から航空管制機器の売り込みを受けた、ある韓国企業が選定したのはフランスの企業だった。理由は、フランス人の英語のほうがわかりやすく、メンテナンスの際につき合いやすいからだ。(一部改変)
-----『英語超入門 仕事で使える英語を身につける』p29
私の率直な意見としては、この本は感情的に「ムリ」です。最初から偉そうなトーンが全開で、それは最後まで変わらず。書いている方はそんな気持ちは持っていないのでしょう。嫌味な本です。これは、日本語版ニューズウィーク誌に何年かにわたって掲載されたpostを集めて一冊の本に仕上げたものだそうです。私は一度も読んだことはなさそうです。上記の引用の事例については、私は初めて知りました。昔Thomsonというフランスの会社が航空管制システムを製造して売っていましたので、それはおそらくその系統の会社のことでしょう。いずれにせよ、これはただのguess workで、このpostとは無関係。
さて、この引用部の言わんとすることは、正しいです。ネイティブがペラペラと勝手なことを話して、ノンネイティブに正しく伝わるかどうかをあまり考えない・・・よくありがちに見えます。そんなことに無頓着なUKのメーカーの製品よりも、英語をlingua francaとして考え、英語の持つ、外国人に理解されにくい可能性のある表現、慣用句、語句の使用を最小限にすることは大事でしょうね。
同じことはコンシューマー用製品にも言えます。昔、私はちょっとしたアクシデントで社外セミナーに参加できなくなった人の代理で、あるセミナーに参加したことがあります。(受講料を返還しないことが契約条件に明記されていましたので・・・)あるケーススタディ。取説を書くのに、ある企業では設計担当者が最適だろうということで現場の技師に任せたそうです。できたものは、素人から見るとちんぷんかんぷんだったそうです。その会社はそのことで、取説がいかに大事な商品であるかを再認識し、それからは専任の部署を立ち上げ、エンジニアの協力を得て、その部署の責任において消費者に分かりやすい取説をつくることにしたそうです。つまり、専門家が良い、と評価するものと、一般人が良いと評価するものは同じとは限らないという例です。上記の航空管制システムの調達先の話に似ています。
上記の本に軽く登場しますが、Jean-Paul Nerrièreという人が globish という用語を発明しました。globalに通じるEnglishという意味なのでしょう。これの仲間があってpidgin English というもの。本来の英語を元に、まるで教育のない商売人同士が取引し、交渉し、決済するときの共通言語のことをpidgin Englishと言います。pidginとはbusinessという言葉を広東語話者が発音したときに、非広東語話者に聞こえる音がbusinessではなくてpidginなのだそうです。それが語源だと言われています。(もしかすると、厳密な意味では pidgin English/globishには大きくて明白な違いがあるのかも知れませんが・・・)
cf Globish (Nerrière) | wiki
これを英語のニュースで見ると、例えば、CNNで登場する英語とPBS(アメリカの公営放送)で使われる英語の差です。CNNは大前提として、チャキチャキの英語を話すオーディエンスに対して放送していますが、PBSの方は移民、教育水準の低い人、早口の英語を苦手とする老人たちを想定して、より一般的なオーディエンスを念頭においています。
このブログでは英語の文化的側面に注目することも、我々が目指すべき「英語」のくくりの中に時々入れますが、たまにこんな側面を再認識することも重要でしょうね。